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新学期に見直したい20のこと-睡眠編

新学期に見直したい20のこと-睡眠編

今、スポーツ界では睡眠をトレーニングの一環として捉えている選手も多いそう。スリープトレーナー・ヒラノマリさんに睡眠の大切さや、パフォーマンスアップにもつながる睡眠のトレーニング「スリトレ」について教えてもらいました。

09.ジュニア世代の睡眠は大人よりも重要!

ジュニア世代の睡眠には「身体と脳のメンテナンス」「身体と脳を育てる」という役割があります。前者は大人も共通していますが、後者はジュニア世代特有のもの。そのため、大人以上に睡眠が大事になってきます。また、ジュニア期のスポーツ選手を対象にした研究では、睡眠時間が6時間の子はケガの発生率が70%以上だったのに対し、9時間の子は20%以下という結果に。さらに、スタンフォード大学のとある研究では、睡眠時間を増やしたことで運動のパフォーマンスが上がったことが証明されています。ケガのリスクを減らし、パフォーマンスアップのためにも睡眠は重要なのです。

10.睡眠は運動能力&勉強に影響している

睡眠中は、ノンレム睡眠(脳も身体も眠っている状態)とレム睡眠(脳は起きていて身体は眠っている状態)を交互に繰り返し、朝方の浅いノンレム睡眠に運動技能の記憶を定着させる役割があります。睡眠時間が少ないと、朝方の浅い睡眠が出現せずに起床するため、その日練習でできていたことも記憶されない結果に。また、前半の深い睡眠中に、脳内で新しく得た情報が整理され、記憶力は高まります。十分な睡眠をとることは、サッカーの上達や成績向上にもつながっているということです。

11.子どもにとっての睡眠の質と適切な睡眠時間を把握する!

子どもにとって質のいい睡眠とは、しっかりと成長ホルモンを分泌させること。成長ホルモンは、骨や筋肉の発育はもちろん、ケガの治癒や免疫力を強化する働きもあるからです。成長ホルモンの分泌を促してくれるのは、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニン。ただし、夜にブルーライトを浴びてしまうと、メラトニンの分泌が抑制されてしまうため、夜のブルーライト対策が重要に(方法は下記を参照)。睡眠の質を高めるには、睡眠の量も大切。不足してしまうと、記憶力や集中力、情動面への影響、言語発達、将来の肥満リスクを高めるなど様々な悪影響につながることも。下記の表を参考に、子どもの睡眠時間の見直しを!

子どもの適切な睡眠時間

1~2歳 3~5歳 6~13歳 14~17歳
11~14時間 10~13時間 9~11時間 8~10時間

※アメリカ国立睡眠財団による年代別の理想的な睡眠時間(2015年)より。

12.睡眠の質を高めるために夜はブルーライト対策を

ブルーライトは、パソコンやスマホだけでなく、白色系のLED照明やテレビの画面からも出ています。夕方以降、リビングや子ども部屋の照明は明るさを落とし、白色のLED から電球色(オレンジ色)に変えるといいでしょう。また、数千円で手に入る子ども用のブルーライトカットメガネもあるので活用を。夜6時以降は外出時だけでなく、家でテレビを見る時も着けるといいでしょう。夜、スマホやパソコンを使う時は、ブルーライトカットモードにすることも忘れずに。

13.睡眠時間を伸ばすためにまずは15分早く寝る!

睡眠のトレーニング「スリトレ」とは、自分に適した睡眠を知って実践すること。睡眠時間が不足しているようなら、睡眠時間を伸ばすための「スリトレ」を行うといいでしょう。サッカージュニアにオススメのスリトレは、15分ずつ就寝時間を早める方法。まずは1週間、毎日、いつもの就寝時間より15分早く寝るようにしましょう。1週間続けられたら、次の週はさらに15分早く寝るようにして、徐々に就寝時間を早めていきます。1週間単位が難しければ、2週間単位、3週間単位などできるペースでOK。毎日負担にならない範囲で続けていけば、自然と睡眠の量が増えていくはずです。

アスリートも行っている「スリトレ」!

point

❶子どもの睡眠時間とスケジュールをカレンダーなどに記録

point睡眠時間とサッカーの練習など子どものスケジュールを1週間記録して見える化すると、睡眠の傾向がわかるように。

❷1日1日ではなく、1週間単位で睡眠時間の計画を立てる

point「火曜はサッカーで遅くなるから水曜に早く寝る」など、1週間のトータルで睡眠時間をざっくりと計画。睡眠時間が不足しているなら少しでも増えるように、足りている場合は維持できるように計画を立てて取り組もう。

14.生活リズムがつかめなくても起床時間は守ること!

新学期になり、生活リズムがつかめず、毎日の就寝時間がバラバラになってしまっても、起床時間は守ることが大事。日によって起床時間が変わってしまうと、体内時計がずれてしまい、自律神経が乱れやすくなるだけでなく、深部体温(脳や内臓など身体の内部の温度)が下がる時間帯やメラトニンの分泌にも影響してしまいます。そのため、寝ようとした時に身体が眠る体勢になっていないので中々寝つけないことにも。寝る時間が遅くなっても、起床時間は守るようにしましょう。

15.試合前日の夜や環境の変化で眠れない時の対処法を知っておこう

サッカージュニアの中には、試合前日、気持ちが高ぶってしまい、中々眠れないケースも。その場合、脳が興奮状態になり、脳内の温度が高くなっているので、おでこに冷却シートを貼ってあげるといいでしょう。また、新学期になり環境の変化から眠れなくなってしまった場合、30分経っても眠れなければ、一度ベッドから出るように促して。リビングで好きな本などを読ませ、眠たくなったらベッドに戻ればOK。子どもは眠れないと不安になってしまうので、「1日ぐらい寝られなくても大丈夫!」と声をかけて安心させてあげることも大切です。

COLUMN睡眠は身体の外側と内側からの対策が大事

睡眠というと、枕やマットレスなどの寝具や寝室環境など「身体の外側」の対策を考えがち。でも、湯舟に浸かって深部体温を上げる、朝ごはんをしっかり食べて体内時計を整えるなど「身体の内側」からのアプローチも重要なのです。新学期がスタートするタイミングに生活習慣を見直して、よりよい睡眠につなげましょう!

イラスト/アキワシンヤ

「新学期に見直したい20のこと-食事編」はこちら