音楽の力で子どものメンタルをサポートする方法!親だからできる子どもの心の育て方
スポーツにおける「メンタルトレーニング」の重要性が年々高まっています。一流のサッカー選手はみんなメンタルトレーニングを取り入れていたり、強豪サッカーチームにはメンタルコーチが帯同していたりと、「メンタル」には今後も更に注目が集まっていくことでしょう。
「でも、メンタルって目に見えないし、なんだか難しそう…」
「本格的にトレーニングしないとダメなの?」
そんなママたちの心配する声が聞こえてきそうですが、実はそんなに難しく考えなくて大丈夫です! 今回は、心理の専門家の観点から、親だからこそできる、音楽の力を使った子どものメンタルサポート方法についてお伝えします。
音楽は誰でも使えるメンタルコントロール法の1つ
スポーツ選手が試合会場に向かう時、何か音楽を聴いている様子を目にしたことがありませんか? 選手の皆さんは、自分の集中力や気持ちを高めるために音楽を聴いているのだろうと想像ができますよね。他にもトレーニングルームで音楽を流しモチベーションを上げながら練習していたり、ロッカールームで音楽を流してチームで盛り上がったりと、さまざまなシーンに音楽は存在しています。
音楽には気持ちをコントロールする力が宿っています。それは、音楽が持つ力そのものだったり、音楽とイメージが結びついていて、そのイメージが感情に影響を与えたりするからです。歌詞から力をもらえるというパターンもあります。このような音楽の力を利用するのに、特別なトレーニングは必要でしょうか? いいえ、必要ではありません! 音楽は誰でも今すぐ使える非常に効果的なメンタルコントロール法です。メンタルコーチじゃなくたって、私たちサカママでも十分音楽を活用することができます!
音楽の力が役立つ2つの大事な場面
音楽の力を借りたい時とは具体的にどんな場面でしょうか?ざっくり大きく分けると「気持ちを高めたい場面」と「気持ちを落ち着けたい場面」の2つです。サカママが遭遇しそうな場面を、もう少し具体的に説明したいと思います。
気持ちを高めたい場面
- 練習への意欲を上げたい時
- 大事な試合の日の朝
- 試合会場に向かう移動中
- 試合に向けたウォーミングアップ中
さまざまなシーンが思い浮かびますが、やはり試合前が、最も気持ちを高めたい場面だと思います。こういう場面で気持ちが上がる音楽が流れていると、子どもの集中力はグッと高まり、「やるぞっ!」「俺は強い!!」「絶対勝つ!!!」そんな気持ちの高まりを力強く後押ししてくれるでしょう。
このように自分で気持ちを高める行為は『サイキングアップ』と呼ばれ、スポーツをするうえで大事なメンタルスキルの1つとされています。でも、難しく考えずにまずは(音楽を聴くと、こうやって気持ちが高まるんだなぁ)と、子ども本人に体感してもらうことを大事にしましょう。
気持ちを落ち着けたい場面
- 子どもが試合に負けて悔しくて涙している帰り道
- 練習がうまくいかなくて悩んでいる時
- ハードな練習で体も心も疲れ切った時
気持ちを落ち着けたい場面とは、負けた時や気持ちが凹んだ時が多いと思います。心地よい音楽が流れてきたら弱った心がじんわり温まり、エネルギーを回復することができると思います。親はあれこれ言わずに音楽をかけてあげれば、子どもは自然とリラックスすることができるでしょう。こうやって音楽の力を借りて積極的にリラクゼーションを行うことも、メンタルスキルに含まれています。
音楽によって気持ちのオンオフを整えることは、親は音楽が聴ける環境を作ってあげるだけなので、とてもサポートしやすいですよね。成長してきたら子ども自身が好きに音楽をかけられる環境を整えてあげることもお勧めです。
音楽の力を実際に感じたエピソード
ここからは、私が実際にサカママとして感じている「音楽」と「心」の繋がりのエピソードをご紹介します。
気持ちを高める場面で使う音楽
我が家では、サッカーの練習や試合に移動する車の中が最も音楽と触れ合う場所になっています。お子さんによって好きな音楽がいろいろあると思うのですが、我が家は子どもがその時はまっているアニメの主題歌を流してあげると、自動的に気持ちが高まるようです。子どもに「何が聴きたい?」と尋ねると、リクエストが返ってきます。
ONE PIECE、ブルーロック、アオアシ、スラムダンク、ハイキュー‼︎、マッシュル…
ラインナップを見ると、The少年ですね(笑)。ただ、大事な試合に向かう時は、とにかく気持ちが上がる曲にこだわります。
待ちに待った大会、ここに向けて準備をしてきたよね、という大会に向かう道中はSarah Brightmanの「A Question Of Honor」。
日本代表戦の時にTVからよく流れている音楽であり、絶対に負けられない戦いがそこにある! という言葉のイメージが染みついているので、それを利用させてもらっています。最初は落ち着いた雰囲気から段々と音が盛り上がっていく感じが気持ちとリンクします。試合会場に着く少し前から流してあげるのがポイントです(笑)。
過去に負けた対戦相手がいる時は、Official髭男dismの「Cry Baby」。
東京リベンジャーズの主題歌だったこともあり、リベンジのイメージと結びついています。何度打ちのめされても立ち上がるぞ! 二度と負けるか! という気持ちにさせてくれるようです。
試合会場までチームメイトも数人乗せて移動する時は、ウカスカジーの「勝利の笑みを君と」。
サッカー日本代表の応援ソングであり、チームの子たちがみんな知っていて大好きな曲なので、合唱しながら移動します。みんなの気分がどんどん上がっていくのが分かります。
気持ちを落ち着ける場面で使う音楽
とある大会で、子どもがメンタル的に相当落ち込み、観戦していた私もズーンと重苦しい気持ちになった時がありました。その帰りの道中、押し殺して涙を流す子どものために、何か音楽を…と思って探したところ、親子の心を浄化してくれたのが大原櫻子さんの「瞳」でした。
第93回全国高等学校サッカー選手権大会のイメージソングですね。その時の心境に歌詞がストライクで、ずっとリピートして流しているうちに、子どもはぐっすり寝て、私も家に着くころには自然とすっきり気持ちが切り替わっていました。子どもも気持ちを引きずることなく、けろりと元気になりました。
それ以降、全国高校サッカー選手権の歴代イメージソングは、気持ちをリラックスさせたい時のプレイリストにずらりと入りました。試合をやり切った帰り道などで聴きますが、本当に癒される曲が多いと感じています。
少し番外編ですが、音楽にはチームの一体感を高める効果もあると思います。子どもたちが宿泊合宿から帰ってきた時のことです。子どもたちが乗っているマイクロバスが戻ってくるのを保護者たちで待っていました。すると、いつもはみんな疲れ切った顔で帰ってくるのですが、その時はバスが近づいてくると共に何やら大合唱が聞こえてくるのです。何を歌っていたのかは分かりませんでしたが、子どもたちはみんな笑顔で合唱していました。
それだけで、(ああ、やりきったんだな。いい合宿だったんだな。チームがまとまったんだな)と思わせてくれました。サッカーというチームスポーツにおいて、みんなの心を1つにすることは容易なことではありませんが、子どもたちが楽しそうに一体となって大合唱する笑顔を見て、音楽の力って本当にすごいなとあらためて感じました。
親も子も音楽の力で心のスイッチを切り替えよう
今回は音楽の力で子どものメンタルをどうサポートするかについて書かせていただきました。誰でも今日からできる、簡単なメンタルサポートであり、しかも効果は抜群です。気持ちを高めたい時、気持ちを落ち着けたい時、オンとオフのシーンに合わせて、子どもが好きな曲をたくさん流してあげてくださいね。
今後も、心理学の難しい話は簡略化しつつ、ちゃんと効果がデータによって裏付けされている、サカママにぴったりのメンタルサポート方法を紹介していきたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました。