大学サッカーに進んで良かったことは?【大学サッカーのすゝめ総集編2022】
高校卒業後、それぞれの目標を持って大学サッカーへとチャレンジし続ける大学生プレーヤーを紹介する「大学サッカーのすゝめ」。2022年版では、関東一部・二部 計24校・48名の選手を紹介してきました。
2022年版の総集編として、各質問の多かった回答や選手達のコメントをピックアップしてお届けしていきます。
第2回目は、「大学サッカーに進んで良かったこと」について。実際に大学サッカーに進みプレーしていく中で感じた、大学サッカーの利点とは? また、進学前に抱いていた大学サッカー・大学生活のイメージとのギャップも聞いてみました。
大学でサッカーをすることの利点って?
Jリーグでの大卒ルーキーの活躍も増え、近年注目度が増しつつある大学サッカー。とはいえ、高卒プロを目指すプレーヤーもいる中で、あえて大学に進学してサッカーを続けることにはどんな利点があるのでしょうか? 選手達の回答から、大学サッカーで得られるものを探ります。
利点①よりプロに近い環境でプロになるための準備ができる
最も多かったのは、プロに近いレベルでプレーすることができ、尚且つ4年間かけてプロになるための準備ができるといった回答。大学サッカーでは、同じチームにプロ内定者がいたり、対戦相手がプロ内定者という場合も少なくありません。そういった選手達と切磋琢磨することで、自分には何が必要か、何が足りないかを感じることができるようです。
日野翔太選手(拓殖大学)
「(大学サッカーに進んで良かったことは)『プロへの道』が明確に見えることです。同じ大学の先輩も含め、身近な選手が次々とプロの道へ進んでいます。そういったプロに進むような選手たちとプレーすることで、自分自身を更に高めるだけでなく、自分を見つめ直すことができましたし、大学サッカーには成長に繋がる時間がたくさんあるなと感じています」
猪狩祐真選手(産業能率大学)
「(大学サッカーに進んで良かったことは)プロサッカー選手になる前にプレースピードやフィジカル面での違いを実感できたことです。その中で自分の武器がどこまで通用するか、プロになるためには何が必要なのかを知ることができたと思います。また、プロ内定選手が対戦相手にいることも多く、技術を盗むチャンスや学ぶ機会が溢れています。日々の練習試合や公式戦の一つ一つが刺激的ですし、より高いレベルでプレーできるところは大学サッカーの魅力だと思います」
また、高校でサッカーに区切りをつける人も多い中、大学に進んでサッカーを続ける選択をするということは簡単なことではありません。その分、本気でプロを目指している選手も多く、そういった仲間達とプレーできることが嬉しいという声もありました。
鈴木燦次選手(明治学院大学)
「大学までサッカーを続ける人は高い志を持ってプレーしているので、そのような人たちと毎日切磋琢磨しながら練習ができるのは本当に幸せなことだと思います。新しい人間関係を築いたり、心身共に鍛えることもでき、間違いなく充実した生活を送れるのは大学サッカーの良さですね」
オボナヤ朗充於選手(日本体育大学)
「大学でもサッカーを続けるということは、サッカーに骨を埋める覚悟があるということです。そんな想いを持った人が多く集まる大学サッカーには、凄まじい選手が大勢います。今まで出会ったことがない選手に出会い、戦いを重ね成長する度に大学サッカーに進んで良かったと感じます」
利点②試合機会が多く、実戦経験を積める
利点①とも関連しますが、試合機会が多いことで実戦を通して成長できる点をあげる選手も多かったです。大学サッカーでは、リーグ戦に加えてカップ戦やカテゴリーごとの公式戦があり、その分試合に出場するチャンスも多いです。高卒でプロ入りした直後からコンスタントに試合に出場するのは非常に難しいことですから、その点を考えると4年間でしっかり経験を積めるのは大きいですよね。
安斎颯馬選手(早稲田大学)
「(大学サッカーに進んで)やはり試合に出ることの大切さを実感しました。高校卒業後の19~20歳は本当に伸びる時期だと思うし、実戦を積むことが何よりも重要。大学は出場機会がプロに比べて多くあるので、この点が大学サッカーの利点ではないでしょうか」
瀬良俊太選手(筑波大学)
「大学サッカーはカテゴリーが複数あり、トップチームだけではなく、多くの選手に公式戦に出場する機会があります。この点は大学サッカーの特徴かと思います。自分も一年目から出場機会を貰うことができ、多くの試合を経験することができました。リーグ戦やカップ戦を戦っていく過程で、自分の課題を整理することができたと感じています」
布方叶夢選手(国士舘大学)
「(大学サッカーに進んで良かったことは)自分の可能性を広げられることだと思います。試合に絡めば多くのクラブから注目されますし、その結果として選択肢も増えます。そして、大学サッカーは今まで自分に足りなかったことを4年間で克服し、武器を磨く場所です。今、同世代で活躍している選手を追い越すチャンスも十分にあると思います」
利点③ピッチ外でも様々な経験ができ、成長に繋げられる
大学サッカーの特徴の一つが、学生主体の運営。試合の運営や広報活動などを学生自らが行うことで、ピッチ外でも様々な経験を積むことができます。それらを通して、人として成長できたと感じるとの回答も見られました。
龍前大翔選手(日本大学)
「日本大学サッカー部では、チーム内に多くの班活動があります。学生が主体となってチームに貢献することが必要とされているので、サッカーに対して様々な角度から関わることが増え、高校の時よりもよりチームのことを考えるようになったと思います。こういった点は、大学サッカーに進んで良かったことの一つです」
蛯名亮太選手(慶應義塾大学)
「部活動という経験を通して、組織の目標のために献身的に動く姿勢を学べたことが大きかったです。部員数が100を超える大きな組織の中には、選手だけでなく、主務、副務、学連、マネージャー、トレーナー、学生コーチなどさまざまな役職があります。その中で学生主体を掲げ、部活動に関わることの多くを部員達で創り上げ、自分がやりたいことだけではなく、犠牲心を持って個人の利益よりも組織の利益の最大化を一番に考えることは、大学サッカー、そして部活動だからこそ体験できたことだと思います」
また、サッカー部での活動の他、学業を通した成長をあげる選手も多数いました。学業との両立は大変ではありますが、大学で学ぶことはセカンドキャリアを広げることにも繋がるのではないでしょうか。さらに、大学の授業はより専門分野に特化していくので、体育系の学部では学んだことをサッカーにも活かせるといったメリットがあるようです。
長江皓亮選手(東海大学)
「ピッチ上での成長はもちろんですが、それ以上にピッチ外でも成長できることが一番大きいように感じます。大学サッカーでは、サッカーだけをやっていればいいのではなく、勉強もしっかりやらないといけません。個人的には、勉強を疎かにしていると、サッカーにも影響が出ると思っています。サッカーと勉強をはじめとした私生活のバランスをとること、これは大学サッカーに進んだからこそ学べていることだと思います」
丸山優太朗選手(流通経済大学)
「ただサッカーだけをするのではなく、学生ですから勉強もしないといけません。私はスポーツ系の学部を選択し、サッカーとも連携できるようにしました。授業で学んだことをサッカーにも活かせることが一番の良い点だと感じています」
利点④サッカーができること、周囲への感謝を改めて実感できる
大学サッカーで運営側を経験することで、多くの人が自分達のサッカーに関わっていることを知り、改めてサッカーができることに感謝できたという意見が多く見られました。特に今回アンケートに回答してくれた選手達は、コロナ禍の最中に高校卒業・大学入学を迎えているので、よりそのありがたみが感じられたのではないでしょうか。
長澤シバタファリ選手(関東学院大学)
「自分の大好きなサッカーを続けられることです。グラウンドなどの練習環境はもちろん、スタッフも含めて切磋琢磨する仲間にも恵まれ、日々成長を実感でき、とても幸せに思います。これからもより一層成長し、支えてくれている人に恩返しができるよう頑張ります」
石倉潤征選手(城西大学)
「『サッカーは、多くの人が関わって下さって成り立っている。また、その人達への感謝を忘れてはいけない』。当たり前のことではありますが、大学サッカーに進んでこのことを再確認することが出来ました。大学サッカーでは、高校時代に行っていない仕事や役割をチームで分担し、学生自らが主体的に行動していくことになるので、今までとは違う感じ方や見方が得られます。それらを通して学んでいくことで、人間性の部分で成長することができますし、それがまたプレーにも繋がっていくと思います」
サッカーのことやキャンパスライフ、ギャップはあった?
大学に進学して良かったことを聞いた質問では、選手達の満足度の高さが伺えましたが、進学前に抱いていたイメージとのギャップはなかったのでしょうか?サッカー面、生活面に分けてみていきましょう。
サッカーについてはイメージ通り?とにかくレベルが高い
サッカー面に関しては、あまりギャップはなく、想像していた通りレベルが高かったという意見が大半でした。中には、想像していた以上にレベルが高かった…との声も。
加納大選手(中央大学)
「サッカー面では、高校サッカーよりも1つ、2つレベルが上がりました。特にスピード感やフィジカル面などは、想像していたよりもかなり高かったです」
井出唯楓選手(東海大学)
「大学サッカーは高校サッカーよりも一段とレベルが上がるものであり、レベルの高い選手しか進めない道だと思っていました。実際にイメージしていた通り高いレベルを要求されましたし、最初はそのレベルについていくことが大変でした」
小山田賢信選手(産業能率大学)
「フィジカル、技術、意識などサッカー面も生活面も全てにおいてまだまだ自分が未熟であるということを感じさせられました。プロになるためには、高校生の時よりも全てに対して高い意識で取り組む必要があると気づきましたね」
先輩たちが優しく、上下関係がいい意味でない!
体育会の部活動、しかも大学の…となると、何となく上下関係が厳しそうなイメージがありますよね。でも、実際のところは思っていた以上に先輩たちが優しく、いい意味で上下関係がなかったという意見が見られました。この先輩後輩の仲の良さは、サッカー部のPRポイントを聞いた別の質問でもあげている選手が多かったです。
藤井海和選手(流通経済大学)
「先輩が怖かったり、上下関係がとても厳しいのかなと思っていましたが、実際は全然そんなことはなかったです。先輩達は優しいですし、サッカー面ではいいアドバイスをくれます。私生活ではご飯に連れて行ってくれることもあり、良い関係が築けていると思います」
中川真選手(法政大学)
「生活面で言うと、高校サッカーは上下関係がとても厳しかったので、大学も厳しいだろうと考えていたのですが、先輩がものすごく優しくてびっくりしました。ただ、寮生活は思ったよりも厳しくて、実家に帰りたいと思ったことも多々あります」
大学生は思った以上に自由な時間が多い!
生活面に関して言うと、多くの選手が入学前のイメージとのギャップとして自由に使える時間の多さをあげていました。空いた時間はトレーニングや勉強にあてたりして、有効に活用しているようです。
板倉健太選手(東京国際大学)
「大学も高校同様自分の時間があまりないと思っていましたが、サッカー以外にも色々なことに時間を使えています。高校時にはできなかったことや、よりサッカーに打ち込む時間があることは嬉しいギャップだったかもしれません」
庄司景翔選手(城西大学)
「生活面では勉学と部活であまり時間がないと思っていましたが、意外と自由な時間も多いです。その時間の使い方は自分次第なため、どう過ごすかでサッカーにもかなり影響してくるなと感じました」
半代将都選手(筑波大学)
「思ったよりも自分で使える時間が多かったです。その時間をどのように使うかで、伸びる選手もいれば伸び悩む選手もいると感じました」
また、自由に使える時間が多いという意見と共に、「学業との両立は大変」といった意見も多数みられました。大学生である以上、学業が疎かになるのはNG。空いた時間に課題に取り組むなどして、文武両道を目指しましょう!
柿本音王選手(東京学芸大学)
「大学では授業期間も自由な時間が多いと思っていましたが、1・2年生の間は授業とレポート課題で思いの外忙しかったです。オンライン授業か対面授業かで違いはあるかもしれませんが、難しいレポート課題が幾つも出される日々は大変で、時間をうまく使うことの大切さを感じました」
【番外編】大学サッカープレーヤーの生活に迫る!
「大学サッカーのすゝめ」では、毎年選手の生活面に関する質問(住まい・通学時間・起床就寝時間など)も聞いています。ここでは、住まいと通学に関するデータをご紹介。
住まいに関しては、約半数が寮生活、実家と一人暮らしは同程度の数に。一人暮らしと寮を合わせると、36人と3分の2が親元を離れて生活しているということになりますね。
また、通学時間を見てみると、約半数の26人が15分以下という結果に。ちなみにこの26人のうち、実家暮らしは1人のみ。やはり寮や一人暮らしの方が通学時間はかからない傾向があるようです。
寮生活は想像以上にハード?!
先にもあがっていましたが、今年度のアンケートでは、「寮生活がけっこう大変!」といった回答がいくつか見られました。一口に寮と言っても、相部屋の人数、任される仕事の有無など様々なので、事前にどんな生活をしているか調べておくと、心構えができるかも…?!
﨑山友太選手(駒澤大学)
「駒澤大学サッカー部は寮生活なのですが、自分は高校時代も寮生活だったので慣れているつもりだったものの、一年生の間は寮での仕事などもあって思ったより大変でした」
鷲見星河選手(明治大学)
「先輩たちと同じ寮で生活することの大変さを少し甘くみていたかもしれません…。ただ、そういった環境があるおかげで、今まで知ることができなかった人と人との繋がりの大切さも実感できています」
身近に相談できる人がいる、すぐに仲を深めやすい…寮生活ならではのメリットもたくさんあります。多少の大変さもいい経験(…?)と思って、寮生活を楽しめるといいですね!
※「大学サッカーのすゝめ」は関東大学サッカー連盟のご協力のもと作成しています。記事内で使用している写真は各チームの了承を得た上で、連盟を経由してご提供いただいたものです。