「長い目で根気よく!子どものチャレンジを見守ろう」イギリスサッカー便り
みなさん、こんにちは!
今年も残すところ1ヶ月半、イギリスはすでにクリスマス一色になってきています。そして今月からカタールW杯2022が始まりますね!熱い戦いを家族みんなでとっても楽しみにしています。
さて、今月のコラムでは、私が子育てにおいてもサッカーにおいても大切にしている“チャレンジするということ”について少し書かせていただきたいと思います。
子どものチャレンジを見守る時に気をつけている3つのこと
ある企業の社長さんのスピーチで、「コンフォートゾーンを抜け出す」というお話がありました。ビジネスや心理学などで用いられる考え方ですが、「コンフォートゾーン」とは快適な場所、居心地のいい場所、という意味で、何のストレスや不安を感じることもなく落ち着いた精神状態でいられる場所を指します。ただ、何かを変えたい、何かを成し遂げたいと思うと、そのコンフォートゾーンから一歩抜け出し、少し自分に負荷をかける必要があります。その領域を「ラーニングゾーン」といい、ラーニングゾーンに身を置くことが成長につながるんだそうです。ただ、その負荷があまりに高すぎると、成長よりも不安やストレスの方が多くなってしまう「パニックゾーン」という領域に入ってしまうそうです。人は、この3つの領域を行き来することで成長していく、そのようなお話でした。
このお話を聞いたとき、ついつい楽な方、しんどくない方を選んでしまいがちだけれども、ラーニングゾーンに意識的に出入りすること=チャレンジすることを心がけたいと感じました。そして、子育ても同じように3つの領域のバランスを大切にして、子ども達にチャレンジできる環境を与えてあげたいと思っています。そのために私が親として気をつけているのが、次の3点です。
①好奇心を持って能動的にできることを大切にする
②あまりにリスクが高いものは避ける
③すぐに結果を追い求めない、失敗を責めない
まず何と言っても、「○○ができるようになりたい」「○○をやってみたい」という本人の気持ちを大切にすること(①)。ただ、今やれることとやろうとしていることがあまりにかけ離れていると、逆にやる気を失ってしまうこともありますから、そこのバランスを見てあげること(②)。そして、人それぞれ成長のスピードも違うので、結果ばかりを求めず、周りと比べず、失敗も成長の過程だと思って気長に見守ってあげること(③)。子ども達が何かにチャレンジする時は、この3つを意識して見守るようにしています。
一歩踏み出すチャレンジが成長につながる!
次男が今のチームのトライアルに参加した最初の感想は、「何もかもレベルが違う……みんな上手すぎる……」でした。これを聞いて、『ラーニングゾーンを通り越してパニックゾーンに入ってしまったか?』と少し不安になったのですが、次男はこうも言ったんです。「ただ、自分が通用する部分は確かにあった。それにみんなのレベルが高いから自分の基準値を上げれるチャンスだと思う」。
負荷が大きすぎるんじゃないかという不安やストレスより、そこに到達したいというワクワク感が勝ったようです。改めて、本人のチャレンジしたいという気持ちが何より大事なんだなと感じましたし、もし親が半強制的にやらせていたことなら、パニックゾーンに入って逆効果だっただろうなとも思った出来事でした。
また、こんなこともありました。今シーズンに入ってずっと負けなしだったある週末の試合で、コーチが「成長のためにはあえてチャレンジングな経験も必要」ということで、今までにやったことのない戦術を試すと選手たちに伝えたそうです。これはあえてラーニングゾーンに身を置くという意味だと理解し、試合を見守りました。
結果、たくさんのうまくいかないこともあった試合となりましたが、本人としてもチームとしても「じゃあどうやったらうまくいくか」を自然に考えるようになりました。成長にトライアンドエラーは不可欠ですよね。試行錯誤を続けたことにより、いつのまにかその戦術もストレスなくできるようになりました。チームとしての成長を垣間見た瞬間でもありました。
子どものチャレンジは、長い目で根気よく見守る
トライアルにしても試合にしても、すぐに結果だけを求められていたならきっとうまくいっていなかったと思います。ある程度長い目で見て、根気よくチャレンジさせてもらえたおかげで、結果もついてきた=成長につながったのではないでしょうか。これは子育ても同じで、ついついすぐ目先の結果を気にしてしまいがちですが、長い目でチャレンジを見守ってあげないといけないと思った出来事でした。
長い目で根気よく……こうやってコラムに書きながら一番自分に言い聞かせていることでもありますが(苦笑)、息子たちのチャレンジ、そして成長を引き続き見守っていきたいと思っています。