日本代表の「空の移動」を支える航空会社の役割【サッカーを仕事にするということ】
サッカービジネスの最前線で働く人々を特集する恒例企画。今年はサッカー日本代表のサポーティングカンパニーとして、現場で尽力している方々を中心にお話を伺った。日本代表などサッカーの試合で度々目にするブランドロゴ、その背景にはどんな人々の想いが込められているのだろうか。“選手”ではない各々のサッカーとの関わり方をここに紹介する。
鈴木秀規さん
日本航空株式会社
宣伝部 運営グループ アシスタントマネジャー
Q1 高校で何に熱中した?
アーチェリー部で心身を鍛える
「高校時代はアーチェリー部に所属し、勉強よりも部活動に熱中していたように思います。アーチェリーは激しい動きこそありませんが、実は基礎体力がないことには弓を引くことすらできないスポーツなんです。おかげで心身共に鍛えられたと思います。個人と向き合う場面も多いですが、団体戦で仲間と一丸となって試合に挑むことも面白みの一つでした。ちなみにサッカーは小学校までやっていて、高校時代は観戦するのが大好きでした」
Q2 現職への経緯は?
公共事業への使命感、国際的な舞台への憧れ
「公共事業に関わりたいという想いを持っていました。どんな仕事も『人のためになる仕事』ですが、学生の当時、よりそれがわかりやすかった、電力会社や鉄道会社などインフラに関わる企業を幅広く受けていました。その中で国際的な舞台で活躍できる航空会社に惹かれ、縁あって日本航空に就職することになりました」
Q3 日本代表支援の意義は?
世界で戦う日本代表を盛り上げたい
「私が現在の宣伝部に異動したのが2年前になりますが、当社としては1999年からサッカー日本代表のサポーティングカンパニーとして支援しています。『世界で一番選ばれ、愛される航空会社』を目指す中で、世界で戦う日本代表を応援する、盛り上げる施策を航空会社としてお手伝いさせていただいています。私も含めてサッカーが大好きな社員が多数いますので、そんな社内のつながりも楽しみながら業務をしています」
Q4 反響があった取り組みは?
日本代表のチャーター便運航、舞台裏をYouTube配信
「航空会社として世界で戦う日本代表のチャーター便を運航しています。これまでその様子を公開できる機会はなかったのですが、日本代表の舞台裏に密着したYouTube 動画『日本代表Team Cam』に提案したところご快諾いただき、普段目にしない空港での風景を同チャンネルで配信いただきました。東京2020前のU-24日本代表の密着動画では、サッカー歴20年の副操縦士の機内アナウンスや、おもてなしの一環として社員が横断幕を掲げる様子が配信されました。選手の『空の移動』という、今まで一般ではなかなか見られなかった景色をご紹介したことで、SNSでも多くの反響をいただき選手の皆さんをより身近に感じていただけたように思います」
Q5 コロナ禍での活動について
SNS活用で新たな層への拡大
「お子様を対象としたスタジアムツアー、試合会場でのブース設置など、直接サポーターの方に触れていただく機会が減り、心苦しい思いをしたのは事実です。スポーツの感動はスタジアムの熱気に触れ、選手たちの躍動を目にすること以上のものはないと思います。例えば代表選手と直接ハイタッチした特別な体験は一生の思い出となるでしょう。しかし、コロナ禍でのYouTubeやSNSでの施策は、コアなサッカーファンだけでなく、より多くの方に弊社の取り組みや選手の皆さんの人柄を知っていただく機会になったと思います」
Q6 地域社会への貢献は?
サポーターとのつながりを実感
「日本の都市と都市を結ぶ私たちとしては、地域に根ざしたプロスポーツチームへの支援を通して、地域がより元気になるお手伝いをしています。92年のクラブ設立からサポートしている清水エスパルスは先日30周年記念試合が行われ、弊社からも500人ほど応援に行かせていただきました。ファン歴の長い方が、昔プレゼントしたJALのロゴが入った横断幕などを掲げてくださったり、試合前のアクティビティなどではサポーターの方々から感謝の声を直接いただいたりと、こうしたつながりから、サッカー、そしてスポーツの温かさ、前向きなパワーを実感しますね」
Q7 今後の計画について
航空会社として盛り上げる施策を!
「いずれコロナ禍が収束してくれば、より空での移動の機会も増え、みなさんにお届けできる施策も増えていくと思います。例えば現在は国外でプレーする選手が多いので、もしかすると親善試合を海外で実施するケースが増えてくるかもしれません。日本のお客様向けの観戦ツアーなど、航空会社ならではの施策、新しい可能性が探れると思います」
Q8 高校生に伝えたいことは?
変化の時代だからこそ後に活きることがある
「全然関係のないと思えることが、人生では後々活きてくることがあります。今は本当に変化の激しい時代です。例えばコロナ禍で国民の移動そのものが制限されてしまう等、今まで『当たり前』と思っていた前提が変わってしまう世の中です。サッカーはもちろん、幅広くさまざまなことに挑戦することが糧になりますので、興味のあることにどんどんチャレンジしてください」
思い出の1ページ
子ども向けのスタジアムツアーでの笑顔
「JFA ユースプログラム」の一環としてサッカー日本代表のスタジアムツアーを開催したときの一コマです。憧れの選手と出会えた子ども達の興奮はもちろん、代表選手たちの立ち振る舞いは本当に素晴らしく、この特別な時間に携われたことが何よりの思い出となっています」