笠柳 翼(V・ファーレン長崎)「“前育魂”で培った強い気持ちと人間性」
巧みなドリブルで上州のタイガー軍団を引っ張った10番が、長崎でレベルアップに励んでいる。プロの環境で強化されつつあるフィジカルと、高校で磨いた武器が笠柳を「ネクストレベル」へ導こうとしている。
デビュー戦では自分との約束事をしていた
── Jリーグデビュー(3・26 J2金沢戦)では、ボールを受けると自ら斬り込んで思い切りシュートを放ちました。
「アタッキングサードでのファーストプレーは絶対にパスを出さないでシュートまで打ち切ると決めていました。入団当初から開幕戦デビューを目指していたので、時間はかかってしまいましたが、公式戦に出られたことで一つ成長できたと思います」
── 高校で努力したことは?
「強い気持ちを持って、ドリブルを仕掛けることを続けてきました。過去に試合で3回ドリブルを仕掛けて連続で失敗したことで一回パスをしたことがあったんです。そしたら山田(耕介)監督から『なぜパスを出した? 一本でも(ドリブルが)通ればいいんだ』と言っていただきました。おかげでドリブ ルを高校時代に身に付けられたと思いますし、監督からは『常に上には上がいる』という向上心の重要性を教えていただきました」
── プロを目指したのは?
「高校入学で親元を離れたときに、親への恩返しの気持ちも込めてプロになる決意を固めました。高3の夏にプロ内定が決まったときは第一に恩返しが思い浮かんだと同時に、このままでは絶対に足りない、というモチベーションで1年間やってきました」
フィットネスコーチにより5㎏の増量に成功
── プロで感じたことは?
「守備の個人戦術の圧倒的な差です。高校ではグループで守るのが基本と思いますが、プロの個人守備の質は高校とはかけ離れていました。アタッカーの選手でも個人で守り切ることができる。そこの差をまず感じました」
── フィジカルは?
「筋力、カラダの大きさも全然違います。最初の頃はセカンドボールの回収は歯が立たなかったし、一歩の動き出しのスピード感が違いました。今では週初めに必ず筋トレを入れ、GPSのデータを計測した上でトレーニングに励んでいます。食事も寮で3食しっかりと摂り、長崎に来て2カ月で5㎏ほど増量しました。しかもスピードも速くなっているので、元日本代表のフィジカルコーチで現V・ファーレン長崎の早川直樹フィットネスコーチ指導のもとトレーニングできる環境に感謝しています」
── 早稲田大学人間科学部eスクール(通信教育課程)の特別選抜入学試験に合格されたそうですね。
「両親からは勉強もしろと常に言われてきました。もともと遊びに行くのは好きじゃなくて、学校の勉強もしっかりやってきました。プロになっても勉強で“息抜き”できればいいと思ってトライしました。努力は積み重ねられるので、頑張りたいと思います」
── プロ1年目、今季の目標は?
「まずはしっかりカラダをつくりたいです。試合に出れば結果を出す自信があるので、いつ呼ばれても問題ないようにコンディションを整えて臨みたいです」
笠柳選手に聞きました!
「はじめてのJリーグ」意識調査
Q.プロの練習(試合)に参加し、改善すべきと感じたことは?
A.技術面、フィジカル強化
Q.プロになって取り組んでいることは?
A.トレーナーの指示による筋トレ、GPSでのデータを基にフィジカルコーチによる走力のスピードアップトレーニングを行い、寮でバランスの取れた食事をとっています。
Q.高校生のうちにやっておいてよかったことは?
A.足りないところを練習してきたことです。あとは前橋育英の山田耕介監督から人間性の部分はずっと言われてきました。オフ・ザ・ピッチの部分でサッカーだけでなく、普段の生活から気を付けてきたことは今に活きていると思います。
Q.高校生部活プレーヤーにメッセージ!
A.一つのことに満足せず、上には上がいることを知ってほしい。目の前のことに一喜一憂せず、上を向いて練習してください!
写真/©VVN