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身体を内側・外側から冷やして熱中症対策!クーリングの方法を知ろう!

みなさん、こんにちは。スポーツナースの山村です。
いっきに季節が進み、真夏がもうそこまで近づいていますね。今年は猛暑になると言われていることに加え、自粛生活の影響で暑熱順化がうまく進んでいないことも考えられるので、例年以上に熱中症対策が必要になりそうです。そこで今回は、熱中症対策の一つである「クーリング」をテーマに進めていきます。

熱中症対策には「クーリング」を!

 

例年今くらいの時期になると熱中症対策が話題になりますが、そもそも熱中症が注目されるようになったのはいつ頃からなのでしょうか。
熱中症が広く周知されるようになったのは1990年代頃からです。1980年代に熱中症による死亡事故が増えたことで、90年代に熱中症予防事故に関する研究班が設置され、ガイドラインや指針が発表されました。当時に比べると今は平均気温も随分と上がっています。運動時だけではなく、日常生活でもリスクが高くなっていますから、熱中症を予防する術をしっかり身につけておかなければいけませんね。

そして、サッカー現場での熱中症対策はどうなっているかというと、以前のサカママ記事でも紹介されていたことがありましたが、2011年より試合中の飲水タイムが設けられるようになっています。また、2016年にはクーリングブレイクと言って、ベンチに戻り身体を冷やしたり、水分補給をする時間を取ることができるようにもなりました。

このような変化の中で注目されている熱中症対策がクーリングです。暑熱環境下の運動などで起こる過度な深部体温の上昇を抑え、身体を冷やすことを指し、運動前に行うものを「プレクーリング」運動中に行うものを「パークーリング」と言います。

  • プレクーリング
    予め深部体温を下げておくことで、運動中の深部体温の上昇を少しでも緩やかにし、運動中の発汗開始の時期を遅らせることが目的です。
  • パークーリング
    運動中の深部体温の過度な上昇を抑制することが目的です。また、脱水の抑制や疲労感・温熱感覚(熱さ・寒さを感じること)の抑制などにも効果があります。

それでは、身体を冷やすのにはどのような方法があるかを紹介していきます。

内と外から身体を冷やす方法は?

プレクーリング・パークーリングともに、身体の中から冷やす方法と外から冷やす方法があります。

身体の中から冷やす「アイススラリー」

アイススラリーに関しては、住岡さんのコラムで取り上げられていたものを読んでいる方も多いかもしれませんね。アイススラリーとは、水と微小な氷がシャーベット状に混ざっている氷状飲料を指します(商品名ではありませんよ)。氷が水に溶ける際に体内の熱を多く吸収するので、冷たい飲料よりも冷却効果が高く、暑熱対策にぴったりです。また、液体よりゆっくり食道を通過していくので、毛細血管が冷やされ、深部体温の上昇を抑えることができます。他にも、口腔内の温度を下げることで脳の温度上昇を抑制する効果もあるとされています。

最近はドラッグストアでも見かけるようになったアイススラリーですが、実は家庭で作ることもできます。作り方は簡単で、氷(60%)とスポーツドリンク(40%)をミキサーにかけるというもの。他にも色々な作り方があるので、作りやすい方法を探してみるといいかもしれません。
市販のアイススラリーは少し値段がはりますが、糖分やミネラルなども入っていますし、出先で溶けても冷凍庫に入れればまたスラリー状になるというメリットもあるので、市販と自家製をうまく使い分けられるといいですね。

 
凍らせて保冷剤などと一緒に保冷バックに入れておけば、昼前くらいまでは持つので、プレクーリング用に飲むよう息子に言っています。

さて、いいこと尽くしのアイススラリーですが、注意点が一つ。アイススラリーは冷やした飲料よりも低温のため、人によってはお腹が緩くなる場合があります。心配な方は一度試しに飲んでみて、体調に変化がないかを確認しておくと安心です。

身体の外から冷やす「手掌前腕冷却」

身体を外から冷やす際には、氷水を溜めたて身体を浸すアイスバスや保冷剤の入ったアイスベストがあるといいのですが…これらをジュニアチームで準備するのは中々難しいところもありますよね。そこでオススメなのが、手のひらと前腕を冷水につける「手掌前腕冷却」です。

手のひらには静脈と動脈が直接つながっている箇所があり、ここにはたくさんの血液が流れているため、手を冷やすことで冷たい血液を全身に送ることができます。運動中など血流量が増加しているときに行えばより有効です。冷水につける時間は10程度が望ましいとされていますが、短時間でも冷涼感が得られます。冷水の温度は10~15度が効果的ですが、それより冷たくなってしまうと血管が収縮してしまい、冷却効果が悪くなってしまうので注意してくださいね。

手掌前腕冷却を行う際の容器としては、クーラーボックスなどが使えますが、個人的にオススメなのは「リカバリーバケツ」。

 

なんとこのバケツ、畳めるんです!場所を取らないし持ち運びも便利なので、クーラーボックスよりも使い勝手がいいですよ。自宅でのお洗濯なんかにも使えるのがサカママとしては嬉しいポイントです。

 
畳めばコンパクトに。持ち運びにも便利です。

親子共に熱中症対策を万全に!

コロナが落ち着きつつあり、子ども達のサッカーを観戦できる機会も増えてきましたよね。子ども達たちはもちろんですが、熱中症リスクは私たち親にもあります。日焼け対策だけではなく、今回ご紹介したクーリングなどの熱中症対策もしっかりとって、子どもたちと思いっきりサッカーを楽しめる夏にしたいですね。

WRITER PROFILE

山村麻衣子
山村麻衣子

シングルマザーとして3人の子育てをしながら、救命センターで看護師として働き、スポーツナースとしても活動しています。末っ子は高校サッカーで全国を目指し奮闘中です。万が一が起きている現場にいるからこそ、スポーツの現場でも安全や予防の必要性を感じているので、コラムではメディカル目線のサポート情報などを中心にお届けしていきます。