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自信ってどうしたらつく?「積立型」と「ボーナス型」の自信

元プロサッカー選手で現在はメンタルトレーナーとして活動する山下訓広さんによる連載第6回目。
今回のテーマは「自信のつけ方」。自信があるのとないのとでは、プレーにも差が出てくるもの。着実に自信をつけるためには、何が必要なのでしょうか?

自信には「ボーナス型」と「積立型」がある

 

一生懸命練習しているのになかなか自信が持てない…。そんなことはありませんか? 誰よりも練習しているのに自信がない人、さほど練習をしていないのに自信がある人。この違いはどこにあるのでしょうか? そのヒントは、自信がどうやってつくものなのかを知る必要があります。

実は、自信には2つの種類があります。一つは「ボーナス型の自信」、もう一つは「積立型の自信」です。なんだか保険のような言い方だなと思ったかもしれませんね(笑)。それでは、両者にはどんな違いがあるのかを説明していきましょう。

ボーナス型の自信

ボーナス型の自信は、結果や他人からの評価など「外部からの要因」によって得られる自信です。具体的には、試合に勝ったときや、点が取れたとき、自分のプレーに対する高評価を得たときなどが考えられます。ボーナス型の自信は自分で狙って得られるものではありません。自分の実力を100%発揮できたとしても、結果が出るとは限りませんし、必ずしも評価を得られるとは限りませんよね。結果や他人からの評価は自分でコントロールができないものであり、ボーナス型の自信もまた自分でコントロールできるものではありません。さほど練習してないのに自信がある人の自信は、このボーナス型でしょう。

積立型の自信

もう一方の積立型の自信は、自分が今まで取り組んできたことや努力してきたことから構築される自信です。「積立」の言葉の通り、自分の経験によってコツコツと積み重なっていく自信で、ボーナス型とは異なり自分でコントロールして積み上げることができます。

積立型の自信を構築するために必要なものとは?

この2種類の自信を考えたとき、どちらを優先してつけた方がよさそうでしょうか? それは、自分でコントロールして積み上げることができる積立型の自信です。

積立型の自信を構築するには、小さな達成感を積み重ねることが重要になります。そのためには、コツコツと練習を重ねることが必要。でも、冒頭でお話ししたように、練習をしているのに自信がつかない!という方もいるかもしれません。その場合は、設定している目標が高すぎることが考えられます。目標が高すぎると、いくら練習を重ねてもすぐには達成できないものです。そうすると、目標を達成できないことで自己否定を繰り返してしまい、やればやるほど自信を失っていく可能性さえあります。

 
高すぎる目標だけだと、逆に自信を失ってしまうことにも…。

積立型の自信に必要なのは、あくまでも「スモールステップ」です。大きな目標に対して、小さな目標を立てていけばいいのです。日々小さな達成感を味わえるような目標設定をすること、これが非常に重要になります。自分が頑張れば達成できるようなステップを細かく設定していくことは面倒ではありますが、積立型の自信にはこの作業が必要なのです。

実を言うと、私もプロ4年目まではボールを繋ぐことに自信がありませんでした。ヘディングや守備には自信があったものの、繋ぐ場面でボールが来ると、「パスミスしたらどうしよう…トラップがうまくできなかったら…」と不安になってしまい、自信を持ってプレーすることができなかったのです。この時の目標は、ボールをしっかり繋ぎ、時にはスルーパスやロングキックなどで決定的な場面を演出することでした。ただ、これはそう簡単に達成できるものではありません。毎回やればやるほど自信を失っていたと思います。

そこで私は、この大きな目標の前にスモールステップを作っていくことにしました。最初の目標は、ボールの中心を捉えてリフティングを30回すること。プロ選手にしては、かなり初歩的なところからのスタートです(笑)。そして少しずつ回数を増やしていき、次にパスのトレーニング、次はトラップ…とステップを重ねていきました。最終的には、近くの選手に質の良いパスを出すなど、試合中でもスモールステップを考えてプレーするようになりました。周りから見れば大したプレーには見えないかもしれませんが、自分の中でこのステップを踏めると、「今日もできた」という達成感を積み重ねることができました。そして次第に、ボールを繋ぐことに自信がないという感覚も無くなっていったのです。

 

自信の有無は成長度にも関わるもの。コツコツと積立型の自信をつけよう

スモールステップは日々の小さな達成感を味わうことが重要ですが、小さな達成感ゆえにボーナス型の自信に比べると自信がついたという実感がしづらいものでもあります。私は11年間プロ選手としてサッカーをしていましたが、そのプロ生活を支えたのは、高校、大学の7年間で積み上げられた自信だと思います。ただ、高校生、大学生のときは自信がついてきているという実感はありませんでしたし、これは今振り返ってみて言えることでもあります。それくらい積立型の自信というのはハッキリとは感じづらいものなのです。

それじゃあ実感が湧きやすいボーナス型の自信の方がいいんじゃない?と思うかもしれませんが、ボーナス型の自信だけに頼っていると、いざ結果が出ない、他人から評価されないといったときに不安定になってしまいます。自信を持ってプレーしているのと、自信がない状態でプレーしているのとでは、成長度も大きく変わってくるものです。だからこそ、積立型の自信を大切にしてほしいと思います。

もしお子さんが自信を持てずにいる部分があるなと感じたら、まずはお子さんに目標を立ててもらい、それに繋がるスモールステップを作るお手伝いをしてあげてください。自信が出てくると新たな挑戦、新しい目標に挑戦したいという積極性も出てくるはずです。お子さんの自信構築のために、ぜひ参考にしてみてくださいね。

WRITER PROFILE

山下訓広

1986年5月29日、千葉出身
流通経済大学付属柏高等学校、流通経済大学卒業後、J2 ロアッソ熊本に入団。
ロアッソ熊本退団後、シンガポール、ミャンマー、インドネシアと東南アジアでプロサッカー選手として活躍し11年間のプロ生活を経て、現在は株式会社43Labに所属しメンタルトレーナーとしてトップアスリート、ビジネスマン、ジュニアアスリートに向けたメンタルトレーニングを行っている。

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