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結果よりも褒めてあげたいことって?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは!大槻です。
新年度になって忙しい時間を過ごしているかと思います。新しい環境、新しい仲間との時間は新鮮なものではありますが、まだ少し緊張しながら活動をしているのではないでしょうか。でも大丈夫です。焦らずに自分のペースで少しずつ慣れていけば良いと思います。

さて、今回は「結果よりも褒めてあげたいこと」について考えていきたいと思います。我が子のプレーには、いろいろと注文を付けたいところですが、グッと堪えて子ども達のやる気を育ててみませんか?

試合の結果やゴールの有無だけ気にしてない?

 

皆さんは「燃え尽き症候群(バーンアウト)」という言葉を聞いたことはありますか? 以前の記事でも何度か触れたことがあります。

子どもの気持ち、置いてけぼりになってない?
その反省会、本当に必要ですか?

「燃え尽き症候群」とは、今までやる気満々で取り組んでいたのに、突然やる気を失ってしまう症状のことです。一般的には、期待と希望を抱きながら努力を重ねてきたのにも関わらず、目標を達成出来なかったり、挫折してしまった時などに起きると言われています。ただ、最近は外的な要因から燃え尽き症候群になってしまう子も増えてきているように感じます。

例えば、あまりにも早い段階から結果や競争を求められてしまい、それによって心が疲れ切ってしまったり…。これはサッカーに限ったことではないかもしれません。スポーツ以外のことでも早期から子どもに詰め込むような働き掛けが多くなってきてはいないでしょうか? 子ども達の心をどのように育てていくのかにもっと気を配っていかなければならないと思うのです。

「今日の試合勝った?」
「今日はゴール決められた?」

試合後によく聞く質問ですよね。でも、試合に勝つこともゴールを決めることも「結果」ですから、この何気ない質問も無意識のうちに結果を求めてしまっていることになります。サッカーにおける結果は必ずしも自分自身だけではコントロールできませんし、上手くいくこともあれば、いかないこともあります。それなのに、結果を求め続けられたら、どうでしょう。先ほどの「燃え尽き症候群」のように、心が疲れ切ってしまいそうです。

それでは、結果以外に何を評価していけばいいのでしょうか?

成功も失敗も積み重ねた「過程」を大事にしよう

 

「試合に勝つこと」や「ゴールを決めること」は、勝負事なので必ずしも自分自身ではコントロール出来ないところがあります。こういった「結果」を引き寄せる確率を少しでも高めるためにするのが練習ですよね。結果は自分自身ではコントロール出来ませんが、それにたどり着くための練習、つまり「過程」はコントロールが出来るのです。

例えば、ゴールを決めたという結果だけを評価して褒め続けた子がいたとしましょう。練習での取り組みが悪くても、試合でゴールさえ決めれば褒めてもらえるのです。そうなると、「ゴールさえ決めればいいんだから、練習は程々でいいかな…」と思ってしまうかもしれません。つまり、ゴールを決めるという結果に対する評価だけを気にするようになり、練習という過程に対する意識が薄くなってしまうのです。

しかし、先にも述べたようにサッカーは自分自身だけではコントロール出来ないところもあります。ゴールを決められないこともあるでしょう。いざそうなった時、その子は自分に矢印を向けて一生懸命練習に取り組むことが出来るでしょうか?

一方で、「ゴールを決めるためのシュート練習に取り組む姿勢」を褒め続けていれば、たとえゴールを決められなかったとしても、その後も一生懸命練習に取り組むようになるはずです。結果が出ないことがあっても、次はどんな練習をすれば良いかを考えるようになるでしょう。そして、一生懸命練習に取り組みゴールが出来たのなら、過程があって結果に繋がるという成功体験になります。そういった経験は、本人の中でずっと残っていくものになります。

過程を大切にすることが出来れば、成功も失敗も振り返ることが出来ます。つまり経験を積み上げることが出来るのです。結果よりも過程を大切にすることの一番の意味は、この経験を積み上げられるところにあると思っています。

物事に立ち向かう姿勢を身に付けるために…

 

結果だけを評価されて育った子と、過程を評価されて育った子の間には物事に立ち向かう姿勢に違いが出てきます。何事にも当てはまるかもしれませんが、どんなことでも上手くいっているときは、ポジティブに動けるものです。しかし、肝心なのは上手くいかないときです。上手くいかなくても、その状況を打開するために何が出来るのかを考えられるようにならなければなりません。

親の思いとしては、試合に出場して欲しい、ゴールを決めて欲しい、トレセンに選ばれて欲しいなどなど…我が子の活躍を望んでしまうものです。しかし、それが親のエゴになってはいけません。子ども達が結果を引き出すためにどのような過程を積み上げていくのか、その時々にどんな風に立ち向かうべきなのかを導き、見守っていくことが大切だと思うのです。大人になれば嫌でも結果を求められてしまうことが多くなりますから、そうなったときにどんな取り組み、心構えで物事に臨めば良いのかを習慣として身に付けていく必要があると思っています。

そう言う私もあれこれ言いたい気持ちを抑えながら、息子の練習終わりは「楽しかった?」とだけ聞いています(笑)。

WRITER PROFILE

 大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー