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言葉がけでスキルが上がる3つのポイント③「フィードバック」

皆さまこんにちは!いかがおすごしでしょうか? チームプロデューサーの丸山寛之です。
コロナの感染者数も落ち着き、日常生活も平常に戻りつつありますね。そうは言っても海外では感染者が広がっている国もあり、手放しで喜べる状態ではなく、まだまだ警戒は必要な状況です。感染対策には気を付けながら活動を行いましょう!

先月は「言葉がけでスキルが上がる3つのポイント」と題して、「①信頼関係の構築」、「②場づくり」、「③フィードバック」のうち、二つ目の「②場づくり」についてお伝えしました。今月は三つ目の「③フィードバック」についてです。

言葉がけでスキルを上げていくためには、前提として「①信頼関係の構築」がないと、せっかくかけた言葉も「相手の心に入っていかない」という話を前々回にさせていただきました。そして、「信頼関係」を築くにはどのようにすればよいのか?という話もさせていただきました。
そして前回は、練習や試合において選手自身が自らの考えを話したり、コーチ等、他の人の話を聞いて、理解し、効果的な行動に移していったりするには、「リラックスと集中」の環境を作り出すことが重要との話をさせていただきました。

そして今回は三つ目の、「③フィードバック」です。フィードバックは「リラックスと集中」の環境を作り、選手に適切なアドバイスができて、実行に移した後、言葉がけにより、さらなる飛躍に向けて選手が改善行動をとれるようにすることを目的としています。

フィードバックの3つのポイント

ここで言う「フィードバック」とは、選手自身に自分では気づいていない部分を気づかせ、さらなる飛躍に向けて改善行動に移すために行う言葉がけのことです。「振り返り」とも言ったりしますが、フィードバックは成長の基本です。その一番のポイントは、本人が気づいていない自分自身のことをいかに気づかせるか?です。

自分の知っている自分、また、他人が知っている自分について図にしてみました。

 

「B:自分は知らないが他人は知っている自分」と「C:自分は知っているが他人は知らない自分」を広げると、「A:自分も他人も知っている自分」が広がり、コミュニケーションがとりやすくなります。Cを広げるためには「自己開示」が必要ですが、Bを広げるためには「フィードバック」で他者から自分の知らない部分を伝えてもらう必要があります。

ただし、ただ伝えればいいかというとそんなことはありません。伝え方には3つのポイントがあります。それは、「①伝える目的」、「②事実に基づいて具体的に伝える」、「③伝える順番」がポイントです。一つずつみていきましょう。

①伝える目的

目についた改善点を片っ端から言う人がいますが、それでは選手が混乱するだけです。改善点を伝えるときには、そのことを伝えた結果、選手にどのように育ってほしいのかという目的を意識してみてください。
例えば、「ボールを受ける前に周りを見て、ボールをコントロールしてゴールを決めるような選手になってほしい」という「目的」があり、選手が「周りを見る」ことができていなかったとします。そうしたときには、まず「どういう選手になってほしいか」の「目的」を伝え、そしてフィードバックすることが大切です。すると以下の様なフィードバックとなります。

「ボールを受ける前に周りを見て、ボールをコントロールしてゴールを決めるような選手になってほしいと考えています。今のプレーだと、事前に周りを見ることができていなかったように見えました」

といった具合です。「目的」を先に告げることで相手は「なぜそのようなことを言うのか?」がより明確になり、聞く意欲が高まります。

②事実に基づいて具体的に伝える

観察して見えた事実に基づいて話をしなければ、本人も問題を自覚することができず、改善行動に結びつきません。
例えば上記の例ですと、「周りが見えていない」という事実を「今のプレー」という起こった事実に基づいて告げています。この時、「事前に周りを見れていなかったが、他の事を考えていたんじゃないのか?」というような想像だったり、「事前に周りを見れていなかった。いつもそうなんだろ?」というような思い込みといった、事実ではないことが入ってしまうと相手の納得性が落ちてしまいます。そうすると、その後の改善行動にも繋がらないということになります。

③伝える順番

伝える順番は非常に大切なポイントです。これを間違えてしまうと、全て台無しになってしまうこともあるくらいです。例えばこんなフィードバックを行ったとします。

「ボールを攻撃方向に向けてコントロールができていたのは非常によかったです。さらに良くしていくためには、事前に周りを見て、自分の目の前にいる相手だけではなく、その先にいる相手やスペースまで見えていれば、他の選択肢をとることができて、もっとよかったと思います。でも全体的にはよかったから大丈夫です

こんな風に最後にフォローを入れるようなかたち(赤字部分)で伝える方が結構います。でも、このように言われた選手はどう思うでしょうか?「なんだ全体的によかったんなら、まあいっか」と思い、せっかく伝えた改善点も抜けてしまいがちです。
なので、最後の赤字の部分はいりません。「良いフィードバックは、良かった点に始まり、改善ポイントで終わる」ということを意識しましょう。

 

ということで今回は、「③フィードバック」についてお伝えして参りました。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。 皆さま、お体に気を付けてお過ごしください!!

WRITER PROFILE

丸山寛之

コア・エリート株式会社 代表取締役社長。 JFA公認C級コーチ、JFA3級審判員。 強いチームをつくる、チームプロデューサーとして経営コンサルティング、企業研修、講演等の傍ら東京都においてU-12の女子サッカーのトレセンコーチ、U-15の女子クラブチームのコーチを行う。また、年に数回はJFAのガールズフェスティバル等の開催にも加わり、将来のなでしこ育成に携わっている。

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