【睡眠×ジュニア世代】練習で睡眠不足はあり?!今こそ考えたいジュニア世代の睡眠
みなさんこんにちは!
【スポーツ×睡眠】をコンセプトにアスリートの睡眠サポートを行っている、スリープトレーナーのヒラノマリです。
みなさんのお子さんは、部活動やクラブチームの朝練や夜練はありますか?
アスリートの方との睡眠コンサルティングの中で、学生時代の部活動やクラブチームの練習の話が出ることも多いのですが、皆さん口をそろえて「朝練が眠かった。もっと寝たかった」とおっしゃいます。
それもそのはず、実はジュニア世代(とくに思春期)の睡眠は少し特殊なのです。そこで今回は、ジュニア世代の睡眠について考えたいと思います。
子どもの睡眠時間の短さはケガにも繋がりやすくなる
みなさんのお子さんは、普段どのくらいの睡眠時間を確保していますか?
上記のグラフは世界の子どもの睡眠時間を調査したものです。小学校高学年を対象にしたこの調査では、イギリス、フランスでは半数以上の子どもが10時間以上寝ているのに対し、日本では10時間以上寝ている子どもはたったの4%です。この結果からも分かるように、日本の子どもの睡眠事情は深刻と言われています。
この調査によれば、日本は8時間以上に次いで8時間未満睡眠の子どもが多いという結果になっていますが、育成年代では睡眠が平均8時間以下の選手は同8時間以上を確保している選手と比べてケガのリスクが1.7倍になるという研究もあり、8時間以下の睡眠によってケガのリスクが1.7倍になってしまっているお子さんが日本に32%いるという見方もできます。
ケガをして悔しい思いをしないためにも、まずはお子さんの未来を考えながら睡眠時間を確保することが大切なこと言えます。
体内時計から紐解く、朝練が辛い理由
少し前にダルビッシュ有選手のTwitterでも話題になっていましたが、朝に強い朝型か夜に強い夜型かの体内時計は、ある程度遺伝子によって決まっていると言われています。
遺伝子である程度決まっている体内時計ですが、思春期になると、もともと朝型の遺伝子を持つ人でも、視交叉上核と呼ばれる体内時計の親時計が大人よりも先に進みすぎることで早起きが苦手になったり、夜更かしが多くなったり、朝起きられなくなったりと、夜型になりやすくなります。
部活動やクラブ活動などに打ち込む年代は、夜型の体内時計になる思春期にちょうど重なります。思春期の朝練が辛いのは気持ちの問題だけでなく、体内時計の変化も一つの理由と言えるのです。
このような思春期特有の特徴を踏まえて、アメリカの一部の学校では始業時間を遅らせることで生徒の集中力を高める『スタート・スクール・レイター』という取り組みを行い、生徒の成績が上がったという例もあるほど!
このスタート・スクール・レイターは、体内時計の変化によって朝起きれなくなり、不登校になってしまうお子さんを減らすという目的もあると言われています。
そしておもしろいのが、思春期に体内時計が夜型になるのは一時的な変化で、年齢を重ねるにつれてまた元の時計に戻るという点です。
もちろん、この現象に甘んじて夜型生活を推奨するのは良くないですが、体内時計の変化を考慮することもジュニア世代の睡眠にとって重要と言えそうです。
とはいえ、家庭での努力で睡眠時間の確保はできたとしても、体内時計の変化も考慮した生活というのは難しく、教育の現場やジュニア世代のスポーツの現場も一緒になって取り組む必要があると思います。
子どもたちが心身共に充実した学生生活・選手生活を送れるような取り組みを進めていくためにも、まずは私たち大人が睡眠の知識をつけていけたらいいかもしれませんね。