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高校サッカー特別対談 帝京長岡×昌平「6年計画で育む個と組織の成長」(後編)

今や高校サッカー選手権の常連校である帝京長岡高校(新潟)と昌平高校(埼玉)。サカママオンラインフェスタでは両校の監督による対談が実現!後編では6年間の一貫した指導のメリット、文武両道についてお届けします。

前編はこちら

セレクションはあり?なし?

-帝京長岡高校は、長岡ジュニアユースフットボールクラブ(長岡JYFC)、昌平高校は下部組織にFC LAVIDAを持ち、中高一貫指導ができる体制が整っています。やはりジュニアユースからあがってくる選手は多いのでしょうか?

谷口監督(以下、谷口) 今、幼・小・中・高校生年代を一貫指導できる環境が整っています。長岡は小さな町でもあるので、長岡JYFCには誰もが入ることができるんです。ただ、高校は人数のしばりもあり、今年はコロナ禍でもあったので、セレクションを初めて行いました。高校の練習に参加してもらい、その様子からジャッジさせてもらいました。

藤島監督(以下、藤島) セレクションは行ってなく、昌平でサッカーをやりたい選手は、高校に入れたらウエルカムな状況です。FC LAVIDAから上がってくる選手もいれば、他のチームからきてくれる選手もいますね。

6年間の一貫した指導でできることとは?

-6年間の一貫した指導のよさは、どういったところなのでしょうか?

谷口 中学生も高校生と同じ場所で練習をしているので、高校では緊張感のあるピリピリムードの中で練習をすることもわかっていますし、ある程度覚悟を持って入部してくれていると思います。

中高と一貫指導はしているのですが、大事なのは、長岡を出た後だと思っているんです。次のステージでステップアップする選手というのは、柔軟な思考回路を持って、よく聞いて、練習する子です。6年間で指導していると、性格的な部分も少し関与でき、そういったところまで見ることができるので、やはりメリットではありますね。まだまだ完成には遠いですが、学校機関でもあることから、ヨーロッパにはない育成機関がつくれそうだと思っています。

時に、高校生のケガしている選手が、幼稚園児の練習を手伝いにいったり、高校生が自主練の時間に、小学生をみてアドバイスをしていることがあります。そんな微笑ましいシーンをみると、この体制をつくってよかったなとも思いますね。

藤島 6年間のスパンで選手の成長をしっかりみられるのは本当にメリットだと思っています。また、FC LAVIDAの監督を含め全スタッフが、高校のサッカー部のコーチたちと共有する体制なこともあり、高校に行ってからのイメージを中学年代で作れるスタンスも非常にいいと思っています。

ただ、実際、昌平とFC LAVIDAが同じスタイルでやっているというわけではありません。中学年代では、例えば攻撃的な部分でいうと、しかけにフォーカスした指導をしている部分も多いものです。それは、高校からいきなり“しかけろ”といっても難しい部分があり、中学年代で、いいチャレンジを繰り返すことで、高校年代で、いろんな選択肢を生む環境がつくれると思うからです。

共通して言えるのは、ゲームへの貢献度の高い選手が試合に出ているということです。相手をみて判断するというベースは変わらないと思いますし、システマティックにこのプレーを選択しなければいけないという決まりごとはなく、大事なのは、ボールを持った選手がどう判断していくかです。だからこそ、選手に判断材料を与えることが大切なのかなと。

ジュニアユース年代で、いろんなチャレンジをして高校につなげていく。そして、僕らが選手の勝ちたいという気持ちを引き出しながら、いろいろなステージで戦っていける環境をつくっていくことが大切なのかなと思いますね。

-中学年代では、攻守の切り替えを身に付けておくことも大事だということですね。

藤島 上手い選手は、必然的に攻守の切り替えが早いものです。なぜなら、上手い選手はボールを取られたら悔しいと思うから、すぐに取り返す、実は当たり前のことなんです。逆に言えば、攻守の切り替えが遅いなら、まだまだ上手くないと思っていいのかもしれないですね。

駆け引きをして、ボールを取られて悔しいという気持ちが成長につながり、サッカーの本質的な部分にもつながっていくので、中学年代からのアプローチは重要ですし、そのクオリティを高校であげていければ、中高一貫指導ならではにつながるのかなと思います。

サッカーの判断力や適応力も、勉強とつながっている

-文武両道については、どのように指導されているのでしょうか?

谷口 勉強を自分のやるべきこととして捉えることができるかが大事だと思っています。「学ぶ」ということが、いかに自分の伸び率をあげていくのか。勉強ができれば、サッカーが上手くなる、イコールではないですけど、そういう要素は相当ふまえているということです。サッカーにおける判断力や適応能力も、勉強することとつながっている。だから必要だということを選手には伝えています。明るいうちはサッカーをやって、暗くなったら勉強をすれば、サッカーも上手くなるというのが私の自論ですね(笑)。

藤島 文武両道の位置づけは、学ぶことや意欲につながると思います。中学や高校のトータルの学習が、社会に出た時にすべて出せるかといったら、そこまで多くはないかもしれません。でも、勉強することで、人間としての引き出し、またコミュニケーションをとっていくうえで、いいアプローチをするための引き出しにつながっていくのです。だから、いろんなことの学びを得たほうが、自分自身の幅が広がるし、間違いなく将来につながっていくと思います。

勉強は、ちょっとしたきっかけで学ぶ意欲にかわりますし、わからないことがわかってくると楽しさにもつながっていきます。得意不得意はあると思いますが、そこを整理しながら、勉強とサッカーを両立することが大切なのではないでしょうか。

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