高校サッカー特別対談 帝京長岡×昌平「6年計画で育む個と組織の成長」(前編) | サカママ メインコンテンツに移動

高校サッカー特別対談 帝京長岡×昌平「6年計画で育む個と組織の成長」(前編)

今や高校サッカー選手権の常連校である帝京長岡高校(新潟)と昌平高校(埼玉)。サカママオンラインフェスタでは両校の監督による対談が実現!前編では選手の個性を引き出す指導、親のサポートについてお届けします。

 

指導するうえで大事にしていることとは?

-日々、選手への声かけやアプローチなど、どういったことを意識して指導されているのでしょうか?

藤島監督(以下、藤島) 私がいつも選手たちに言っているのは、サッカーの本質を理解してほしいということ。サッカーの本質、楽しさが何かと考えた時、「駆け引き」は楽しさを表現できる部分だと思います。

駆け引きには、いろいろなアイデアが必要で、その中で重要になるのは個々の判断です。だからこそ、トレーニングレベルの中でも、選手の判断を大切にしていますし、それが選手の意欲を高めることにつながると思っています。サッカーを楽しむというベースがある選手が間違いなく成長していくので、常にそうしたことなども意識しながら指導しています。

谷口監督(以下、谷口) 高校サッカーなので、選手権を一つの目標にはしています。その中で大切にしているのは、普段のチーム内での紅白戦も含め、試合です。ただし、どんな試合であれ力を発揮するには、トレーニングだけでなく、サッカー以外の取り組みをきちんとやることが大切だと選手たちには伝えています。

うちのサッカーはシステムがあまり決まってないこともあり、サイドバックはこう、フォワードにはこういうことをしてもらわないとなど、求めたことはあまりないんです。私、コーチや監督、それぞれにサッカー観はあるので、こうであってほしいというイメージは伝えるのですが、選手一人ひとりが「こうなりたい」「これをやりたい」という部分を大事にしていますし、それを失わずに試合にも臨んでほしいと思っています。

大事なのは、受け入れられる柔軟性を持つこと

-今、1年生が入部する時期でもありますが、とくに1年生にはどういったことを伝えているのでしょうか?

藤島 環境が変わると、求められることも変わってくると思います。求められることが多くても、それを追求していくことができれば、サッカーはもちろん、人間の幅も広がり、自分自身のプラスになっていくものです。競争がある中で、求められることを追求しながら、自分の色を出すことが大切だと、まずは1年生に伝えています。

また、我々が自信を持って言っているのは「昌平に入ったら絶対にサッカーが上手くなる」ということ。ただ、上手くはなるけれども、最終的にゲームの中で表現するのは各個人なので、トレーニングを高めながらやっていくことが、個々の成長につながるとも話していますね。

谷口 一つは、素直であること。受け入れられる柔軟性、聞く耳を持つことが大事だと伝ええています。そうすれば、我々が目標としている、自分の周辺の空間を自分でコントロールできる選手へ成長していくと思っています。懐の深い選手というイメージですね。また、1年生はトレーニングが不足した状態でくる場合もあるので、スタート時は、あまり負荷をかけず、ベーシックな部分を中心にしたメニューを組んでいます。

選手の伸びしろを大切に

-中学時代はフォワードをやっていた選手(やりたいと思っている選手)が、高校ではディフェンスになるなど、ポジションが変わるケースも多いのでしょうか?

藤島 自分がやりたいポジションと求められるポジションは、変わってくることが多いですね。というのも、指導する中で“伸びしろ”をどうとらえるかが、すごく大切だと思っているからです。技術的に高い選手で、本来ならボランチやトップ下で通用するような選手を、あえてサイドバックで起用したりもします。そうすることで、学ぶ意欲につながったり、違う見方や考えも見出せるのかなと。今まで経験してきたことがないからこそ、感じる部分もあるだろうし、サッカーの見方も変わるかもしれない。いろいろなポジションの経験は、必ず選手にとってプラスにはなると思います。

谷口 例えば、センターフォワードの選手が行き詰まっているなと思ったら、あえてセンターバックを経験させてみることがあります。そうすることで、自分がどういう動きをされたら嫌なのかということがわかると思うんですよね。チームとしてのシステマティックな動きというより、個の特性を求めることが多いので「こういう意図でこのポジションにしている」ということを選手たちには伝えて、あえて選手の意向や特徴とは違うポジションを与えることはよくありますね。

-選手の伸びしろを見て、いろいろなことにチャレンジさせる。可能性を広げてあげることが大事だということですね。

谷口 高校生はまだまだ成長の段階ですからね。我々はその途中を担わせてもらっているだけです。私自身、決していい指導者ではないですけど、選手たちには、いい指導者に出会わせてあげたいというのがすごくありますね。ですので、選手たちだけで練習するといったことは決してありません。いい指導者に出会って、サッカーが本当にやりたいという思いを育んであげたいなと。高校生だからいろいろありますけど、それでも自分の足でグラウンドに出てくる、その想いを尊重してあげたいと思っています。

親のサポートで大切にすべきことは?

-子どもたちが中学、高校とサッカーを続けていく中、親ができること、また、どういったサポートをすべきでしょうか。

藤島 失敗を認めてあげることが重要なポイントだと思っています。失敗しないと何が正解かわからないし、失敗することで、自分自身の課題がみつかり、もっとこうしたいという気持ちも生まれてくると思います。

谷口 結果論になるのですが、チームを応援してくださる親御さんを持つ選手は、柔軟に受け入れることができたり、伸びる子が多いような気がしています。自分が試合に出ていなくても、チームのことを応援しにいつも来ている親の姿をみることで、子どももチームのためにプレーするようになりますから。また、そうした選手は、どのチームに行ってもスタンスが変わらないですし、次のステージに行っても通用してますね。自分のことを気にかけてくれるのはもちろん、チームのことを応援してくれている、そんな親の姿も子どもはみているんじゃないかなと思います。

藤島 私自身、親からサッカーをやれと一度も言われたことがない環境で育ったこともあり、自分でやりたいと思うこと、サッカーに対して純粋に楽しむことが成長につながると思っています。サッカーを本気でやる年代にさしかかっていくので、親御さんは、お子さんのいろんな気づきを大切にしながら、見守るスタンスも大事だと思いますね。

谷口 選手たちには何かのおりに、仲間に感謝しなさい、そして何よりも、親というスポンサーのもとに、何不自由なくプロのようにサッカーができているんだから、感謝してもしきれないんだよということを伝えています。できた選手であれば、高校1、2年生であれ、親に感謝を伝えながら頑張る子もいます。でも、家の中では言うことを聞かない子もいるでしょう。それでも、子どもたちは間違いなくわかっているのです。甘やかす必要はないのですが、食事や睡眠のことなど親御さんが知っている知識があれば、それを子どもたちに教えてあげてほしいなと。子どもたちは親に恩を感じていますし、必ずいつか恩返しをすると思いますので、サッカーを続けられるようにサポートをしてあげてほしいと思います。

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