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「連戦の疲労回復に効果的なアイスバス(氷風呂)」アメリカ少年サッカー記25

大会などで試合が続くと、どんどん怪我人が出て、試合に出られる人数が減ってくることはありませんか? 最初の試合はよく動けていたのに、数試合目以降は、どの子も体が重たそう。試合の途中に、足を攣ったり、足を引きずったりして、退場する子も出てきます。こうした怪我は、連戦による疲労が影響しているかもしれません。

今シーズンは、そんな連戦への取り組み方が大きく変わりました。コーチは「これをしないで次の試合に来たら、大バカだよ!」と言い、怪我の防止のためにある回復術を導入しました。この対処法をした時としない時では、その後の試合のパフォーマンスが大きく変わります。お陰で、連戦での怪我やパフォーマンスの低下について、少し心配が減りました。

筋肉をクールダウンし、疲労を取り除くアイスバス

コーチが取り入れた回復術は「アイスバス」というものです。日本語で言うと「氷風呂」ですね。

大会がある時は、1週間で多くの試合をこなします。例えば、息子のチームの場合、4日間で6試合が入る時がありました。連戦のある大会は、試合時間がやや短めになりますが、それでもフルゲームは60分以上です。ポジションごとに選手を調整しても、一人の1試合のプレー時間は35~45分に及びます。

このように試合が続くと、酷使した足が炎症し、疲労が蓄積して、怪我につながります。アイスバスは、この炎症を素早く抑え、疲労を取り除いてくれます。日本で小中高と十年以上サッカーをした夫は、このアイスバスをアメリカに来てから知りました。日本ではあまり馴染みのない回復術かもしれませんが、アメリカではアイスバスはU10年代からプロ選手まで広く普及している回復術です。

アイスバスの方法

それでは、アイスバスの方法を紹介します。水深、水温、浸かる時間を確認してくださいね。

  1. バスタブに水をためる
    水深は、太もも全体がつかる深さまで、水をはります。
  2. 氷をバケツ1、2杯入れる
    氷を入れて、水温をさらに下げます。理想の水温は、9~16℃です。
  3. アイスバスに浸かる
    アイスバスに、脚全体が浸かるようにします。浸かる時間は、20~25分が目安です。

アイスバスを行う際に注意するポイント

アイスバスでは、水着を着て入ります。ところが、それだけだと寒いので、水着の下に下着も履いています。さらに、足先が冷えすぎる場合には、ソックスを履くことも推奨されています。

また、一日に数試合あり、試合の間に5、6時間空くような大会では、1試合ごとにアイスバスに入ります。このため、遠征先ではシャワーだけでなく、バスタブがついた部屋を予約するようにしています。ちなみに、以前は選手で集まってホテルのプールで遊んだりもしましたが、今のコーチはプールは疲れるので遠征中は禁止にしています。

少し余談ですが、アイスバスの注意点をもう一つ。アイスバスに浸かっている間、息子は携帯でゲームをしようとしていたのですが…どうやら多くの選手が電子デバイスをアイスバスに水没させているようです(笑)。携帯が壊れるリスクは大きそうなので、我が家ではアイスバス中は本を持たせています。疲労回復しながら1日に必要な読書もでき、一石二鳥です。

アイスバスの効果は?

 

アイスバスの効果はどのくらいか、疑問に思う人がいるかもしれません。一度、チーム全員がアイスバスに入らず、同じ日に2試合目をプレーした時は、数人の怪我人を出してしまいました。それまで試合中に複数の怪我人を出すことはなかったので、やはりアイスバスは怪我予防として効果が大きそうです。

また、試合中に太ももを怪我した選手は、試合の後に45分もアイスバスに入りました。怪我をしたくない、怪我を悪化させたくない一心で、子ども達は積極的にアイスバスに入ります。息子の場合は、連戦の試合ではパフォーマンスがアップダウンしますが、アイスバスに入った後は比較的動けて、疲労の回復効果はすぐ現れます。冬のアイスバスで体が冷えないかと心配になりますが、嫌がらず積極的にアイスバスに入る様子を見ると、アイスバスの効果を一番感じているのは本人かもしれません。

連戦による子どもの体への負荷は、チーム状況で異なります。交代選手の人数や、フォーメーション、子供のポジション、チーム戦略でも変わります。それでも、どのチームの選手も大会の日程が進むにつれ体が重くなるのを見ると、小中学生の年代では、試合の連戦はまだまだ負担が大きそうです。もし過密スケジュールの試合が入った時は、試合の後にアイスバスを試してみてください。その怪我防止や回復の早さに、驚くかもしれません。

WRITER PROFILE

近本 めぐみ
近本めぐみ

日米で色々な大学、研究所を渡り歩く理系研究者。現在はアメリカ在住、在米歴と息子のサッカー歴が8年のサカママ。サカママWEBでのコラムを通して、アメリカならではのサッカー育成の面白いところ、興味深いところを発信していきます。

★外部ブログ「アメリカ発少年サッカーの育成事情」でも執筆中