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イギリスサッカー便り【アカデミーへのチャレンジ】

イギリスからこんにちは!

日本でも再び新型コロナウィルスの感染が拡大しつつあるようですが、ここイングランドでは11月5日から2回目のナショナルロックダウンに入っています。スーパーや病院など生活に必要な場所以外はクローズされ、育成年代のサッカーの活動もシーズン真っ最中で再び休止となりました。

ただ、前回のロックダウンと大きく異なるのは、学校はあるということ。とはいえ、我が家にとって生活の一部だったサッカーの活動が約1ヶ月休止されるのは、とてもやるせない気持ちです。ソーシャルディスタンスを確保しながらであれば、屋外で二人までの練習は許されているので、週末はチームメイトとペアを組んでトレーニングです。来月サッカーの活動が再開されたときのために、コンディションを整えていって欲しいと思います。

sam

 

生活に浸透しているフットボール

イングランドといえば、プレミアリーグを思い浮かべる人も多いのではないかと思いますが、息子たちが学校やサッカーの友達に必ず最初に聞かれることは、どのチームのファンなの?ということ。はじめましての自己紹介を兼ねた会話の中で、ほとんど聞かれるらしいです。

それも、

Which team do you like?(どのチームが好きなの?)

ではなく、

Which team do you support?(どのチームのサポーターなの?)

という聞かれ方なんだとか。

次男が、「リバプールとマンC」と答えたら、「No way!(ありえない!)サポートはひとつだよ!!」と言われたらしいです笑 長男の数学の先生は、リバプールの大ファンらしく、毎週のプレミアリーグの結果によって先生の機嫌が左右されるから、リバプールの勝利がとても大事なんだ、と長男が話していました。そんな風に、イギリス人にとってフットボールというのは日常生活にとても浸透しているなぁと思うエピソードがたくさんあります。

小さい頃から、そこら中にある広い芝生でボールを蹴ってきた子供がとても多いこの国で、サッカーを頑張っている子たちがプロのサッカー選手を夢見ることはごく自然なこと。もちろん、みんながみんなサッカー選手を目指しているわけではないですし、プロの選手になるだけが成功なわけでもありません。ですが、まずはプロチームのアカデミーを目指す、ことが大きな目標になっている子供達は多いと思います。

息子たちのチームでは、毎年シーズンが始まる前に選手と保護者が参加するミーティングがあるのですが、コーチから選手たちに来シーズンさらにステップアップできるよう目標を持ってやって欲しいという話がありました。例えばAチームに上がる、出場時間を勝ち取る、など具体的な目標も出る中で、最後に言われたのが”アカデミーを目指す”。コーチからはっきりと、アカデミーでプレーすることを大きな目標をして頑張って欲しい、と言われました。

*ここでのアカデミーとは、プロチームの下部組織を指しています

 

大事なのはチームでがんばること

では、プロチームのアカデミーを目指すにはどうしたらいいのでしょうか。

日本で、Jリーグの下部組織のアカデミーに入団するには、まず1次2次3次・・とセレクションを受けて合格する・・・という公募型が一般的だと思います。もちろんスカウトの目に留まり、練習会に参加して加入・・という場合もあるかもしれません。

ここイングランドでは、アカデミーにチャレンジしてみたい、と思っても、定期的にセレクションが行われているわけではありません。アカデミーへのチャレンジは、まずスカウトされることがファーストステップになります。

では、スカウトされるためにはどうしたらいいのか・・・・それは所属チームで頑張ること です。

毎週末行われるリーグ戦にスカウトが来ていることは珍しくありません。そしてそれは近隣のチームのスカウトだけでもありません。ここから片道4時間ほどの距離にあるビッククラブのスカウトが来ていたこともありました。いつどこで誰に見られているかわからない・・・言いかえれば、本当に毎試合毎試合がセレクションのようなものなのです。

イギリスに来た最初の頃、毎試合毎試合全力でやり続け、結果を出していくことがチームでのアピールだけでなく、その先にあるアカデミーにもつながるんだよ、と言われたことがあります。その時は、その言われたことがあまりピンと来ませんでした。何もわからないイングランドでのサッカー生活の始まりだったので、少しでもアカデミーにつながりのあるところでサッカーをするチャンスがあれば・・・と思い、チームでプレーしながら、プロ下部組織のエリートセンターやファンデーションクラスのようなところに通ってみたり、情報を得ようとしました。ですが、エリートセンターやファンデーションなどは、直接アカデミー本体と繋がっていることはまれなケースが多く、そこからアカデミーへの道は可能性としてとても低いということもわかってきたのです。

チームのコーチからも、色々やりすぎてオーバーワークになったり、結果として怪我をしたりするよりは、毎週末の試合を頑張っていれば必ずいつかチャンスは来るから、と言われていたので、毎週末の試合でしっかり結果を出すこと、そこにフォーカスすることに。

そんな時、次男に本当にチャンスがやってきました。今年の2月ごろ、あるプレミアリーグのチームのスカウトから声がかかった、とコーチから連絡がありました。初めに言われた、チームでコツコツ努力してアピールし続けることがアカデミーにつながるということが、本当だったんだと思いました。焦らず、地道にチームで頑張ってきたことが、一つの形として評価してもらえたのはとても嬉しかったです。

 

アカデミーチャレンジの流れ

スカウトされたらアカデミー・・・いえいえそんなに甘くはありません。

各アカデミーで、独自の育成プログラムが組まれているので一概には言えませんが、アカデミーの選手としてサインするまでの流れの一例が以下になります。

  1. スカウトされる
  2. アカデミー養成所のセレクションへ
  3. 合格すれば養成所に加入、そこで実力を磨く
  4. ターム(3、4ヶ月)ごとに評価され、判断が入る
  5. 実力が認められた選手はアカデミーの8週間のトライアルに推薦される
  6. 合格すればアカデミーでサイン

もちろん時期や年代などによって例外もあると思いますが、このような流れになっている場合が多いようです。

スカウトされることは、アカデミーチャレンジのスタートラインにようやく立てるということです。言いかれば、まだスタートラインに立っただけです。そこから狭き門に向けての厳しい本当のチャレンジが始まります。4で数ヶ月ごとに判断が入るとありますが、養成所に入っても実力が足りないと判断されたら、即またグラスルーツフットボールに戻って新たなチャンスを待つことになる・・というシビアな世界でもあります。

次男は、養成所に加入してすぐロックダウンで活動が休止、9月にスタートしましたがまた今月から休止・・と、なかなかスムーズには行かずですが・・・。アカデミー養成所の様子などは、また次回以降お話させていただけたらと思います。来月にはサッカーの活動が始まってることを願って、体調管理など気をつけて行きたいと思います。

 

紅葉

 

WRITER PROFILE

クリストファーズ佳世
クリストファーズ佳世

イギリス在住、3兄弟(16歳、14歳、11歳)を育てる現役サカママ。 神戸市在住時は、地元の強豪クラブチームで6年間サカママ生活を満喫。2019年3月にイギリス移住後は、サッカーの本場・イングランドでシーズン1年目の新米サカママとして生活をスタート。 日本とイギリスのサッカー事情の違いなどを、サカママならではの目線で伝えていきます。