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アメリカ少年サッカー記2 段階的に人数を変える育成スタイル

こちらの少年サッカーは、年齢によって、試合中のプレーヤー人数を細かく分けています。小学校低学年のU8(アンダー8、8歳以下)までは4人制、中学年のU9, U10は7人制、高学年のU11, U12が9人制、U13以降が11人制です。このように試合の人数やフィールドサイズを段階的に変えることで、子供の理解度や技術力の成長に合わせ、試合でできる事を徐々に増やすよう工夫されています。

例えば、息子のサッカーを振り返ると、7、8歳頃は、キックオフから数秒後には、子供達のポジションはぐちゃぐちゃになって、みんながボールに集まり、チームメイトのボールまで奪い合ったりしていました。このいわゆるお団子サッカーの状態は、ユースの育成の観点から見ると全く問題ないとされています。むしろ、この時期には、個人でボールタッチやドリブル、シュートといった基本的なサッカースキルの習得することを重視します。試合でも、フィールドの人数が少ないので、どの子もたくさんボールに触ることができます。

それが、9歳くらいからは、子供達は自分のポジションを理解し始め、チームメイトと協力して相手を崩す場面が見られるようになります。この年代は7人制になり、フォーメーションやポジションなどの情報を学んでいきます。息子に話を聞いても、「あの時、パスを出そうと思ったけど、味方がオフサイドの位置にいてパスが出せなかったから、自分でドリブルした」と言うなど、サッカーを断片的に理解する発言が増えていきます。

さらに小学校高学年では9人制となり、フォーメーションや戦略にもいくつかパターンが生まれ、チームによって特徴が変わります。息子のチームで最近よく行うのは、デフェンスを3人、中盤の選手を2人、オフェンスの選手を3人配置するフォーメーションです。選手も、このフォーメーションでこのポジションの場合は、どうプレーをすべきか、という理解が進み、試合や作戦によってチームがダイナミックに変化します。また、子供に色んなポジションを経験させ、個々の特徴や強みを見つけていきます。

息子達のチームはあと2ヶ月でU12のシーズンを終え、6月からはU13に上がります。大きく変わることは、試合の人数が11人制になることと、サッカーコートのサイズが、大人と同じフルコートになることです。フィールドの面積は9人制と比べ2倍以上大きくなるので、子供にとっては大きなトランジションです。チームは、来シーズンを見越して、少しずつ11人制に向けた練習を導入するなど準備を始めました。

こういった子供に1ステップずつ学ばせるスタイルは、アメリカのお家芸で、学校でもびっくりするぐらい簡単なことから一つ一つ子供達に習得させる学習が一般的です。サッカーも同様で、段階的に情報を増やしていく練習が多いです。11人制の試合では、チームで連動した動きが求められるため、選手一人一人がより戦略的に理解することが求められます。これまで感覚的にプレーをしていた息子も、その重要性がわかってきたようで、難しいと頭を抱えながらも練習に一生懸命取り組んでいます。

このように、学習は段階的に学ばせる一方で、色んな制度を変更するのは面白いくらい突発的です。実は、学年ごとに試合中の人数とフィールドサイズを変えるルールは、ほんの3年前に突然導入されました。それ以前は、U11以下が8人制、U12以上が11人制という、日本と同様の2カテゴリーしかありませんでした。しかも、新制度導入に伴い、U12以下はヘディング禁止、さらには、学年の分け方も、学校での学年の切り方(8月1日〜翌年の7月31日生まれ)から、生まれ年による分け方(1月1日〜12月31日生まれ)に変更されました。この変更にも、州で独自のルールを設けていて、以前に住んだハワイ州や今いるユタ州ではU12は9人制でヘディングも禁止されているものの、ネバダ州やカリフォルニア州では、U12で既に11人制に移行しヘディングも導入しているようです。同じ国でも、州によってルールやスタイルが異なる、という不思議な状況になっています。多様性を強調するアメリカらしい風潮かもしれません。