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アメリカ少年サッカー記14 「コロナショック~少年サッカーにも影響が」

あっという間の感染拡大と活動中止

3月中旬に、サッカーキャンプが予定されていました。これは、オリンピック育成プログラムの選手を集め、レベルの高い指導が受けられると告知されたものでした。会場はアイダホ州で、我が家から比較的近かったので、既に申し込みをしてありました。

ところが、3月に入り、新型コロナウィルスの感染の情報が多くなりました。毎日、感染者数が増え、私達が住むユタ州もウイルスに感染した患者に関する情報が出てきました。サッカーキャンプの2週前、運営側からのメールでは、アイダホ州は新型コロナの感染者がまだ出ていないので、キャンプを予定通りやります、との連絡でした。しかし、その後も全米各地で感染者が猛スピードで広がり、他州同様、ユタ州も小学校から高校まで全校が休校になりました。結局、この休校が決まった翌日に、サッカーキャンプの延期も決まりました。学校とサッカー活動の、長い休止の始まりでした。

サッカー活動に替わるもの

学校の休校に前後して、ユタ州のユースサッカー協会や各チームの活動も中止になりました。全米では、10人以上の集まりが禁止されているため、チームメイトと自主的な練習もできません。終わりの見えない学校の休校や活動休止に、最初は戸惑いましたが、今では少しずつ1日のリズムがつき、息子はサッカーの自主練に励んでいます。

休校中は、生活リズムを整えるために、時間割を作りました。学校は、各教科の先生から毎日課題が出され、それをオンライン上のウェブサイトから提出する、という学習スタイルです。オンラインでの授業は提供されないので、学習は自分のペースでできます。息子は、学校のワーク時間を1日に2回設け、その間に休憩やランチを挟みました。さらに、朝、午後、夕方にサッカーの練習時間も作りました。午前中は、室内でできるフットワークを練習し、午後は外で高くあげたボールのトラップ練習や壁あて、夕方は2km程度のランニングが入ります。私も夫も、在宅勤務に切り替わり家で仕事をしますが、夕方は散歩や息子のランニングにつき合うようにしています。

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サッカー選手のための環境作りや取組み

チームからは、短時間でも良いから一緒に練習をしようか、というコーチの声かけがあり、YouTubeの生中継を利用して、リモートで一緒に練習をする試みが始まりました。1回目のチーム練習は、残念ながら放送がうまくいかず、できませんでしたが、試行錯誤を前提に、とりあえずやってみる、ところから始めます。これは学校のオンライン学習も同じです。

他には、ユースの育成プログラムを展開する州のプロチームが、子供向けに練習プログラムをネットに公開しています。練習内容は、2m以内の狭いエリアで行うフットワークを中心に、自宅待機でもできる練習が組まれています。さらに、お友達が所属する他州の大型クラブでは、クラブ内でXboxのFIFAのゲーム大会を開催し、予選から決勝戦まで行っています。こういったオンラインのソーシャルなイベントは、子供同士の交流を促し、子供達の精神ケアに役立っているかもしれません。

 

今や、自分達の練習だけでなく、世界中のプロチームの試合も全てキャンセルになり、サッカーに触れる機会がぐんと減っています。さらに、毎日、世界各地で起きている深刻なニュースが流れ、室内に籠ることで、子供でも鬱になりやすい状況です。この未曾有の非常事態に、母として、家族の一員として、何ができるか、と模索しています。結局のところ、在米サカママとしてのミッションは2つ−Stay safe(できるだけ自宅にいて、ソーシャルディスタンスを保つこと)と Stay healthy(こまめな手洗い、適度な運動、十分な睡眠を促し、健康を維持すること、会話を増やし子供の心のバランスに気にかけること)、なのかな、と感じています。

地域や国によって状況は大きく異なりますが、日本や色んな国にいる皆さんも、健康に過ごされますように。

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WRITER PROFILE

近本 めぐみ
近本めぐみ

日米で色々な大学、研究所を渡り歩く理系研究者。現在はアメリカ在住、在米歴と息子のサッカー歴が8年のサカママ。サカママWEBでのコラムを通して、アメリカならではのサッカー育成の面白いところ、興味深いところを発信していきます。

★外部ブログ「アメリカ発少年サッカーの育成事情」でも執筆中