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アメリカ少年サッカー記

アメリカ少年サッカー記13 「ユースサッカーを支えるスポンサー」

ユースサッカーのクラブチームのホームページを見ると、スポンサー企業のロゴを掲載するクラブがあります。大きいクラブだと、10近いスポンサー企業をもつ所もあるほどです。アメリカのユースサッカーの活動は、色んな企業から支援を受けています。

息子が以前に所属したクラブは、日本人が創業した製麺会社がスポンサーでした。練習用のトレーニングシャツから、試合で着るユニフォームまで、この会社のロゴが大きく印字されていました。サッカーチームは遠征などでお金がかかるので、この会社は、経済的に不自由な家庭の費用をサポートしたい、とありました。クラブは、優秀な選手に低額でサッカーができるよう奨学金制度を設けています。

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幅広いスポンサー支援

スポンサー支援は、クラブだけでなく、ユースサッカーの幅広い活動に広がっています。地域で行われるカップ戦にも、スポンサー企業がついています。例えば、去年、参加した大会は、マイクロソフトがスポンサー企業の一つでした。その大会では、大会本部近くにパソコンを設置し、実際の試合と並行して、eスポーツと呼ばれるFIFAのサッカーゲームの大会も行いました。コンペティティブチームを集めたレベルの高い大会だったので、さすがにeスポーツのイベントはさほど盛り上がってはいませんでしたが、サッカーフィールドでゲームの大会も同時に行う企画は斬新で、強く印象に残っています。

他にスポンサーがつくイベントとして、夏休み中に行われる数日間のサッカーキャンプがあります。面白かったのが、ナイキがスポンサーをした地域選抜のサッカーキャンプでした。この時は、参加者はソックスを含めナイキ商品のみを着用するという規則がありました。ただし、スパイクとシンガードに関しては、どのメーカーでも許されます。この情報がしっかりと告知されなかったため、参加者の多くがナイキ以外のトレーニングウエアを持参してしまいました。結局、アディダスなど他社製品のロゴは、テープで隠すことで問題を解決しました。

州選抜の育成プログラムもまた、スポンサーがついています。ユタ州の活動を支援する企業は、なんと、サッカーラボをもつ整形外科の病院です。この病院は、選手にリュックや上下のトレーニングジャージを支給し、選手権に参加する交通費や宿泊費も支援しています。

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スポンサー側のメリット

このように、選手は、スポンサー企業から経済的なメリットを受けます。では、スポンサー側は、子供達のスポーツの活動を支援して、どんなメリットを得るのでしょうか?

一番先に思いつくのは、ロゴなどを目にすることで企業を幅広く知る宣伝効果です。クラブの低学年の子供達も、トレーニングシャツに印刷される企業名はよく覚えています。他には、少年少女のスポーツに支援することが、企業イメージの向上につながっています。特に、株式を上場する企業はどのような社会貢献をしているかが株主や消費者から問われるので、ナイキのようなスポーツ関連企業にとって子供のスポーツへの支援は大変大きな意味を持っています。

さらに、スポンサー活動を通して、顧客層とのコネクションができる、というメリットも挙げられます。例えば、ユタ州のオリンピック育成プログラムを支援する整形外科は、州チームの選手向けに、サッカーのための栄養学、メンタル、怪我予防を学ぶワークショップを開催します。そこで、サッカーラボが一般に提供する、パフォーマンスの向上や怪我のリスクを診断するためのプログラムも紹介します。このワークショップを通して、選手側はクリニックの具体的なサービスを知る機会となり、スポンサー側は、サッカーを真剣に取り組み、怪我やパフォーマンス向上でクリニックを訪れる可能性の高い家庭とのコネクションを得るのです。双方にとって、ウィンウィンの仕組みが成り立ちやすく、実際、整形外科は、少年少女スポーツのスポンサーで、よく目にする企業の一つです。

今回は、ユースサッカーの活動への色んな支援を紹介しましたが、実は息子が現在所属するクラブチームにはスポンサーがついていません。小さなクラブがスポンサーを得るのは、まだ難しいのが現状です。そんな息子のチームでは、遠征費が高い時に、子供達でアイスクリームを売って資金集め(ファンドレイジング)をしています。

 

★「アメリカ発 少年サッカーの育成事情」でも執筆中

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WRITER PROFILE

近本 めぐみ
近本 めぐみ

日米で色々な大学、研究所を渡り歩く理系研究者。現在はアメリカ在住、在米歴と息子のサッカー歴が8年のサカママ。サカママWEBでのコラムを通して、アメリカならではのサッカー育成の面白いところ、興味深いところを発信していきます。

★外部ブログ「アメリカ発少年サッカーの育成事情」でも執筆中