子どもが自らグングン育つ声がけ術Ⅰ
皆さまこんにちは!
サッカーコーチ・企業研修・経営コンサルタントの丸山寛之です。
寒い日が続きますね。サッカーをやるにはいい気候ですが、汗をかいた後の着替えや防寒対策等のケアをしっかりして体調管理には気を配りましょう!
さて、先月は「サッカー上達に本当に必要な事」というテーマで全体的な話を投稿いたしました。
今月からは、「サッカー上達に本当に必要な事」の要素を掘り下げて、毎月一つの要素を取り上げ、詳細に書いていきたいと思います。
今月のテーマは「子どもが自らグングン育つ声がけ術Ⅰ」としました。
皆さん普段どのようなことに気をつけて子どもに声がけをしていますか?
試合等に見ていてよく目にする光景として、コーチや親が叫ぶ場面が多々あります。
「なんでいかないんだよ!」、「どこ蹴っているんだ、よく見ろよ!」「やる気だせよ!」
シュートを外すと「それ、決めろよ!」等々、
コーチや親の希望を叫んでいるシーンをよく見かけますが、果たしてこの言葉がけは子どもの成長にとって有効でしょうか?
ちょっと視点を変えて質問です。
脳科学からの観点ですが、
人は自分自身の評価をどのようなプロセスをたどって形成していると思いますか?
言い方を変えると
「自分は足が速い」「自分は足が遅い」
「自分は物覚えがいい」「自分は物覚えが悪い」
「自分は人当たりがいい」「自分は人当たりがあまり良くない」
等々、
自己を形成しているイメージはどのようにつくられていると思いますか?
そうなのです。身近な人からの評価および自分自身の言葉(セルフトーク)によって形成されていきます。
例えば、クラスで50m走が5番目に早いタイムを出している子がいるとして、親から「あなたは本当よく頑張ったね。5番目なんてすごいじゃない!!足が速いんだね。」
と言われ続けたら、その子は自分のことを「自分は足が速いのかも」と思うようになります。
ところが、逆に親から「なんだ、5番目か。お前やる気あんのか?遅いなお前、1番じゃなきゃダメだよ」なんていわれ続けたらどうでしょうか?
その子は自分のことを「自分は足がそんなに速くないダメなやつ」と思うようになるでしょう。
50m走の結果は同じなのに子どもに形成される自己評価には大きな違いがでます。
このように、周りの人の声や周りの人から言われた声を自分の中で繰り返し言うことで、どんどん自己評価が形成されていくと脳科学では言われています。
怖いと思いませんか?親が期待を込めて厳しく言っていることが、子どもの自己評価がネガティブに形成されることに繋がり、子どもにとってはあまり効果的でなかったとしたら。
私はこの話を聞いたときに、知らなかったとはいえ、自分の子どもにもよくない声がけをしていたことを反省しました。
では続けていきます。聞くまでもないかもしれませんが、皆さんは自己評価が高い子どもを育てたいか、低い子どもを育てたいかどちらですか?
子どもの自己評価を高めたいと思っているとしたら、あなたの声がけは大丈夫でしょうか?
自己評価が高くなれば、何か困難なことにぶつかっても「自分なら乗り越えることができる」と考えて挑戦できるかもしれません。
逆に自己評価が低いと何か困難にぶつかった場合どのような反応になるでしょう?「自分には乗り越えるのはちょっと厳しいかな・・」こんな風に考えるようになるかもしれません。
皆さんも同じだと思いますが、私は自己評価が高い子どもを育てたいと思っています。なんならちょっと勘違いしているくらいでもいいと思っています。
サッカーを教えていて感じるのは、他人からみたらそんなにサッカーが上手くなくても「自分はちょっと上手いかも」と思っている子どもの方が、本当に上手い子を見て自分もあんな風になりたいと努力する力があるように思います。そして本当に上手になっていきます。
つまり、ポイントはネガティブな声がけではなく、ポジティブな声がけです。
もう一つ違う観点から声がけを考えてみたいと思います。
皆さんは、言葉で「他人の行動を変え続ける」ことができると思いますか?
どうでしょう?少し考えてみてください。
私は言葉で「他人の行動を変え続ける」ことはできないと思っています。
「サッカーの自主練をさせたい」「練習の時にもっと集中させたい」「タイミングよくシュートを打たせたい」「毎日決まった時間に勉強を集中してやらせたい」等々、子どもにやらせたいことは山のようにあるという親御さんは少なくないのではないかと思います。
でも言ったところでどうでしょうか?親が怒って無理やりやらせることはできるかもしれませんが、それは一時的なもので、継続させることや親がいない時でもしっかりやらせることができるでしょうか?
私は難しいと思っています。
そして、結果的にできなくて困るのは子どもです。
ところが先ほどのやらせたいことを、子ども本人が自ら考え、やると決めたらどうなるでしょうか?
「サッカーの自主練をする」「練習の時にもっと集中する」「タイミングよくシュートを打つ」「毎日決まった時間に勉強を集中してやる」と本人が自主的に決めたら、なんとかしてやろうとするのではありませんか?本人の腹のくくり方次第で継続もするのではないでしょうか?
そうなのです。
人は他人を変えることはできませんが、自分を変えることはできるのです。
そうすると声がけのポイントはもうお分かりですよね。
ポジティブな声がけに加えて、本人が最終的にやるかどうかは決められるように、自主性を促す声がけです。
具体的には、「いいところを見つけて褒める」ということと、「自分で決めるための気づきを与える質問」をするということです。
例えば、
親:「相手の間を縫うような細かいドリブルが上手だね。」←具体的に褒める
子:「うん」
親:「もっと上手くなりたいと思っているの?」←質問
子:「うん」
親:「どんな風に?」←質問
子:「もっと速いドリブルができるようになりたい」←気づき
親:「そっか、今度コーチに練習方法相談してみよう」
単純な例ですが、このように「ドリブルが上手」という自己形成がはかられると共に、「もっと早くドリブルできるようになりたい」とさらなるスキルアップの方向性を、子どもが自ら気づいています。
ただし、質問には注意が必要です。親が導きたい方向に誘導しようとしたり、「お前はいったいどうしたいんだ?」「本気でやる気があるのか?」みたいに詰問になってしまったりしてはいい質問とは言えません。誘導や詰問ではない、あくまで子どもの自主性を促すための質問に徹することが重要です。
端的にいうと「見守る姿勢」です。
ということで、子どもが自らグングン育つ声がけのポイントは「いいところを見つけて褒める」ということと、「自分で決めるための気づきを与える質問」が重要というお話でした。
次回は今回のテーマの続きとして、「子どもが自らグングン育つ声がけ術Ⅱ」として
具体的な声がけにはどのような言葉があるのかを考えていきたいと思います。
それでは寒い日が続きますが体調管理等お気をつけてお過ごしください。