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サッカージュニアの熱中症対策~対策編~ 水分摂取をうまく促す方法

イオン飲料「ポカリスエット」でおなじみの大塚製薬株式会社に熱中症対策についてお話を聞く本特集の第2弾は、正しく効果的な水分摂取方法です。どんなタイミングでどれくらいの水分を摂るといいのか、それを子どもに促すコツなどのお役立ち情報が満載です!

「とにかく水をのめばいい」ではない

前回の基礎編では、子どもは大人よりも熱中症になる危険度が高いということを大塚製薬株式会社ニュートラシューティカルズ事業部の浅見慎一さんが教えてくれました。熱中症にならないためにはさまざまな対処法がありますが、その中でも水分摂取は特に重要です。

とはいえ、ただやみくもに水を飲めばいいというわけではありません。意識や飲料の種類と量、タイミングなど、サカママがすぐに実践できることを1つ1つ解説します。

「ウォーターローディング」を意識

ウォーターローディングとは、プロアスリートも実践する水分摂取法で、普段からしっかり水分を摂取することで体内の水分量を満たしておき、試合に臨むというもの。

サッカージュニアもこれを意識して普段から実践すると良いでしょう。特に大量の汗をかく練習や試合前にはしっかり水分を摂取し、体内の水分量を満タンの状態にしておくことは、熱中症対策として、またパフォーマンスを十分に発揮するためにも欠かせません。子どもはのどの渇きを感じないと自分から飲料を摂らないので、大人がこまめに声がけをしましょう。

バスに乗る前に一口、会場に到着したら一口、練習前に一口というように、ある程度強制的に「飲ませる」仕組みをルーティンとするのが、ウォーターローディングにはおすすめの方法です。

「水を飲むとお腹が痛くなる」という場合は

試合前に水分をたっぷり摂っておくことが大切とわかっても、「お腹がたぷたぷして嫌だ」「水を飲んでから走るとお腹が痛くなる」と、嫌がる子どもも少なくありませんね。

運動時に大量の水分を一度に摂ると消化器官に負担がかかり、お腹が痛くなるといわれていますので、少しずつこまめに水分を摂ることを大人が説明し、子どもの思い込みを払拭するようにしてみてください。

「水を飲むこと」のメリットを上手に伝えて

いくら大人が口うるさく「熱中症にならないために水を飲みなさい」と言い続けても、子どもはサッカーに夢中になり注意を忘れがちです。そこで、こまめな水分摂取もトレーニングのひとつであることを上手に伝え、子どもの意識改革を行いましょう。

ウォーターローディングは、足がつらない、集中力を切らさないなどフィジカル・メンタルの両面でメリットもたくさん。つまり、良いプレーができるコンディションづくりにつながります。「試合で活躍するために水分摂取が大切」と伝えると、子どもの目の色が変わるかもしれません。

飲みたいタイミングで飲める環境に

日本ではかつて、根性論を重視し水分摂取が制限されていた時代もありました。味噌汁や漬け物など食事で水分や塩分をしっかり摂っていたという食文化的背景も影響していたとはいえ、現代では考えられません。

今ではスポーツ科学への知識も普及し、熱中症の危険が広く知られるようになりましたが、まだまだ「いつでも飲める」というチームばかりではありません。

「監督やコーチの説明中も飲水可能」
「控え選手も、試合に出ている選手と同じタイミングで水分補給」
「飲みたいと思ったタイミングでいつでも飲む」

などのルールに加え、自由に水分補給ができる環境づくりを大人から働きかけましょう。チームの士気や礼儀はもちろん大切ですが、命にかかわる水分補給が最も優先されるべきであることは言うまでもありません。「飲みたい」というタイミングを逃さないよう大人がサポートしてください。

スポーツ飲料が推奨される理由

熱中症対策のためには、塩分などのミネラル分が含まれるスポーツ飲料が適していることは、ご承知の通りですが、その理由をきちんとお子さんに説明できますか?その理由は2つあります。

理由1:体内の水分量と体液濃度を維持

スポーツ前に体内にある水分量を満タンの100とし、サッカーをしてそのうちの20が汗で体外に排出され、80になったとします。その際に失われた20を「水」のみで補うと、体液の濃度はスポーツ前に比べて薄まってしまいます。

薄まった体液をもとの濃度に戻そうと脳が指令を出し、余分な水分を尿として排出します。その結果、水を飲んだのに水分量は80のまま。汗で失った水分量は回復していないことになります。さらに体は体液濃度が薄まるのを避けるため、飲水を拒否。つまり、「のどの渇き」を感じない状態になっています。

体内の水分量が80かつ、濃度が薄まった状態でサッカーをすれば、脱水による熱中症の危険に加え、ナトリウム濃度の低下による体調不良のリスクも高まってしまいます。

 
資料提供:大塚製薬株式会社

これに対して、体液の濃度が適切に維持する塩分などの電解質が含まれた飲料を摂ると、体内の水分量は100をキープしやすくなります。大量に汗をかく場合において、体液のバランスに近いスポーツ飲料が適しているのは、このような体のメカニズムによるのです。

 
資料提供:大塚製薬株式会社

理由2:おいしさ+すばやい吸収

以上の理由から、サッカー中の水分補給には水やお茶ではなくナトリウムなどの電解質が含まれる飲料がおすすめです。日本スポーツ協会が推奨するナトリウムの量は、100ml中40~80mg。食塩水の場合は0.1~0.2%の濃度が目安です。さらに、糖分も4~8%ほどあるとベター。水分の吸収をスピーディーにしてくれるからです。

とはいえ、塩と砂糖が入った水は、味わいとしてはいまいち。子どもも喜んで飲んでくれません。そこでスポーツ飲料の出番です。塩分や糖分などが熱中症対策に適した分量で含まれているのはもちろん、「飲みやすさ」にもこだわって開発されています。

子どもに甘いものを飲ませたくないといった理由でスポーツ飲料を薄めるママもいるかもしれません。でも、糖分は腸管での吸収スピードを上げる働きがあるので、脱水からの素早い回復が求められるシーンでは不可欠なのです。また、活動時のエネルギー源としても不可欠な成分です。

ピッチサイドでは水しか飲めないけれど…

ここまでを読むと、サッカー時にスポーツ飲料を飲むことの重要性を認識したサカママが多いかと思います。ですが、1つ問題が……。ピッチサイドでは水しか飲めないというグラウンド、とても多いですよね。

この問題については、「試合前後やハーフタイムなどにピッチから離れたところでスポーツ飲料を飲ませてあげるなどの対策を取るように心がけましょう」と浅井さん。グラウンドで飲むもは水のみと指定されていても、スポーツ飲料も持たせ、ルールを守って飲むように子どもに伝えておきたいですね。

水分摂取を習慣化しよう

熱中症は、重症化すると命に関わるとても怖い症状です。大人に比べて体温調整機能が未熟な子どもにとって、対策が重要であることは言うまでもありません。大切な子どもが楽しく安全にサッカーをする上で、「しっかり飲むこと」は何よりも大切と言っても過言ではありません。

ジュニア世代が無理なく適切に水分を摂取するためには「習慣化」が近道。当たり前のように水分を口にする意識づけと環境づくりを、私たちサカママがサポートしてあげましょう。ちょっと口うるさいと思われても、「しっかり飲みなさい」と言い続けることで、子どもたちも水分補給の必要性を理解するようになるはずです。

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