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アメリカ少年サッカー記3 隣の芝は青く見えるサッカー環境

日本とアメリカのサッカー環境を比べたとき、大きく違う要素の一つに、サッカーグランドが挙げられます。日本では土のグランドも良く使われると思いますが、アメリカでは土のグランドがなく、天然芝のグランドが一般的です。そこで、今回は芝のグランド事情についてご紹介します。

農業大国であるユタ州は芝などの園芸も盛んで、私達が住む地域は、街の至る所に青々とした芝が広がっています。この天然芝の環境で、日々の練習や試合を行う子供達は、恵まれたサッカーの環境にいると思われるかもしれません。ところが、この天然芝、意外と厄介なフィールドです。

芝が生えている地面は、平坦ではなく意外とデコボコしています。これは、降雨や積雪で排水を繰り返し、色んなスポーツ利用によるダメージも受けるからです。天然芝グランドでは、ボールがイレギュラーにバウンドしてしまうのはしょっちゅう。さらにひどい時には、穴も出現するので、周辺にコーンの目印を置いて、試合を行ったりします。選手が穴に走りこんで怪我をするのを防ぐ措置とは言え、このコーンは真剣勝負の試合でかなり邪魔くさい存在です。さらに、芝が伸びて丈が長くなるのも、サッカーを難しくさせます。深い芝の上では、パスしたボールは、なかなか転がっていきません。芝の長さによって、キックの強度を微調整しなければならず、試合会場の芝の状態から、今日の試合は難航しそう、という事もあります。

実はこの天然芝のグランドは、通年では使えません。冬季は芝を休めるため、ここの地域はフィールドを閉鎖します。その期間は11月から3月までの約半年間。この間は、雪も降るので、サッカーの練習や試合は、人工芝の敷かれたインドア施設を利用します。人工芝は、天然芝と比べて蹴ったボールのスピードが増し、よりパスが伸びます。季節の変わり目に、人工芝での試合が始まると、これまたキックやチームプレーを調整するわけです。それでも、フルコートのインドア施設が地域に出来たことは有難く、おかげでここの地域の子供達は季節や天候に関係なくサッカーが続けられます。さらに、息子のチームは、無料で借りられる小学校の体育館も使い、冬季にサッカー技術に特化した練習を行うなど工夫して、フィールド閉鎖のハンディを補っています。

今年は、春先にたくさん雨が降り、水はけの悪い天然芝フィールドは、何度も閉鎖されました。そのため、3、4月の春のリーグ戦は、たくさんの試合がキャンセルされ、再スケジュールが組まれました。すでに週末の試合スケジュールは埋まっているので、再スケジュールされる試合はどんどん平日に入ります。息子の参加するリーグ戦カテゴリーは、州の広域から強いチームが参加するのもあって、ホーム戦なら地元で行いますが、アウェイ戦は車で片道2時間かかる場所もあります。平日のアウェイ戦の時は、子供を学校から早退させて、試合開始時間に間に合うように連れていきます。最初は、学校よりサッカーを優先させるスケジュールに驚きましたが、今では慣れてしまい、アウェイ戦は、私達も早々にオフィスを出て、家族みんなで遠足気分で出かけています。

待ちに待った新緑の季節でのサッカーシーズンが始まりました。

近本めぐみ:「アメリカ発 少年サッカーの育成事情」https://utlogan.blog.fc2.com/ でも執筆中

WRITER PROFILE

近本 めぐみ
近本めぐみ

日米で色々な大学、研究所を渡り歩く理系研究者。現在はアメリカ在住、在米歴と息子のサッカー歴が8年のサカママ。サカママWEBでのコラムを通して、アメリカならではのサッカー育成の面白いところ、興味深いところを発信していきます。

★外部ブログ「アメリカ発少年サッカーの育成事情」でも執筆中