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新年度にあらためて考えたい、子どもたちと一緒にサッカーを楽しむためのヒント【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

新年度にあらためて考えたい、子どもたちと一緒にサッカーを楽しむためのヒント【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。

そろそろ桜が散り始めてきた頃でしょうか。
新緑が芽吹くこの季節、新しい学年、新しいチームでの活動がスタートするご家庭も多いのではないでしょうか。子どもたちは新しいユニフォームに袖を通し、新しい仲間との活動にワクワクしていることでしょう。
保護者の皆さまも期待と不安の入り混じった複雑な心境かと思います。

そこで今回は新年度のスタートにあたって、もう一度私たち保護者の心構えについて考えてみませんか? 子どもたちと一緒にサッカーを楽しむためのヒントを整理していきたいと思います。

子どもたちのサッカーは誰のもの?

新年度になると、つい「今年こそレギュラーに!」「あの大会で優勝を!」なんて、親の期待が膨らみがちですよね。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

〝誰のためのサッカーでしょうか?〟

子どもたちが好きで始めたサッカーです。
サッカーは子どもたちのためにあるんです。試合で勝っても負けても、ミスしても、ベンチに座ることが多くても、子どもたちはどんな時もサッカーを通してたくさんのことを学んでいます。

想いを共にする大切な仲間との出会いやミスがあっても、そこに向き合い努力を積み重ねる姿勢は長い人生を考えたときに、それだけでもゴールや勝利以上に価値があるような気がします。

良いときも悪いときもあるかもしれませんが、結果や成果だけを評価するのではなく、子どもたちの取り組む姿勢を評価してあげてください。一番近くにいる保護者の皆さまの「大丈夫だよ」の一言が、子どもの心を軽くすることでしょう。結果を急ぐより、子どもがサッカーを「楽しい!」と思える環境を、私たちが作ってあげましょう。

新しい仲間、コーチとの出会い

新年度は、チームメイトやコーチが変わることも多いと思います。
もしかしたら、「あのコーチ、ちょっと厳しそう…」「新しい子、上手でうちの子が埋もれちゃうかも」なんて心配が頭をよぎるかもしれません。

そんなときは、視点を変えてみてください。

新しい出会いは、子どもたちが成長するチャンスでもあります。
先輩との関係性や上手な子との練習の中で、自分自身を発揮できないようなことがあるかもしれません。それでも子どもたちにはどのように振る舞うのか、どのように考えるのか、といった態度や姿勢の部分への働き掛けが必要だと思います。

過去にこんなことがありました。
中学1年生になったばかりの選手が、最初は自分より上手な先輩に圧倒されていた様子でしたが、半年後にはその先輩と一緒に笑いながらボールを蹴っている姿を見たことがあります。もちろん大人の働き掛けや環境作りは必要ですが、子どもたちは、大人が思う以上に柔軟に、仲間からの刺激を受けて成長していくものです。

私たち保護者にできるのは、「どんなコーチかな?」「新しい友達、どんな子?」と、子どもと一緒に見守ってあげてください。もし子どもが「コーチが怖い」とか「友達とうまくいかない」と漏らしてきたら、まずは耳を傾けて、「そっか、どんな感じだった?」と聞いてあげてください。解決策を急ぐより、話を聞いてあげるだけで、子どもは自分で一歩踏み出す勇気を見つけていくものですよ。

時間と心の余裕を持つ

新年度は何かとバタバタしますよね。
子どもの新学期、保護者会の予定、試合の送迎…。
スケジュール帳は、まるでマネージャーなのか? と思うくらいです(笑)。

忙しさの中で忘れちゃいけないのが、「心の余裕」ですよね。

「私がこんなに頑張っているのに、何であんなプレーしてるの!?」なんて言ってしまうことありませんか? 実は私もつい熱くなってそんなことを言ってしまったことがあって、子どものしょんぼりした顔を見て猛烈に反省したことがあります。。。

子どもにとって、試合後の車の中や家での時間は、親との大事なひとときです。
そこでの一言が、子どものサッカーへの気持ちを左右することもあります。
「今日、かなり走ってたね!」「あのディフェンス、かっこよかったよ」と、まずは良かったところを伝えてあげてください。もしアドバイスしたくなっても、「次はこうしてみたらどうかな?」と、優しく提案するくらいで十分。忙しい毎日でも、子どもとのポジティブな会話の時間を少しでも作ってあげると、親子の絆も、サッカーの楽しさも、深まっていくと思います。

健康とバランスを大切に

新年度は、子どもたちの体も心も大きく変化する時期。
サッカーの練習や試合が続いていくなかで、勉強や友達との時間も増えて、忙しくなります。そんなとき、保護者の皆さまに気をつけていただきたいのが、「栄養」「休養」「トレーニング」の3つのバランスです。

「しっかり朝ごはんを食べてますか?」 「睡眠時間は足りてますか?」この3つのバランスが取れている状態が、健康やパフォーマンスの向上に重要です。
しっかりと食事をすること、そして睡眠時間については小学生なら8~9時間、中学生でも7~8時間は寝てほしいところです。疲れがたまると、ケガのリスクも上がってきますし、体が思うように動かずにサッカーが「つらい」と感じてしまうこともあるでしょう。

最近では幼い頃からスマートフォン、タブレットなどで動画を見続けてしまうようなこともよく聞く話です。家族でルールを作るなどして、子どもの生活リズムを整えてあげる工夫も必要かもしれませんね。

まとめ

新年度は、子どもたちにとって新しい挑戦の始まりです。
そして、私たち保護者にとっても、子どもと一緒に成長するチャンスでもあります。
試合に勝っても負けても、子どもがピッチで笑顔を見せてくれたら、それだけで十分。
サッカーは、子どもたちに仲間や努力、喜びを与えてくれる素晴らしいスポーツです。

私たちにできるのは、その背中をそっと押してあげることだけなのかもしれません。
子どもたちと一緒に、サッカーのある日常を楽しみましょう!

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル

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