どうする? サッカー中の歯のトラブル! 正しい対処法を知っておこう
みなさんこんにちは! スポーツ看護師の金子会里です。今回はスポーツ外傷のひとつ、「歯のトラブル」についてお伝えしようと思います。
歯が生え変わる時期の子どもたち。ぐらぐらの歯が試合中に抜けてしまった! なんていう経験はありませんか? また、ボールが当たって歯が欠けてしまったり、接触プレーで歯が脱臼(抜ける)してしまったりすることもあり得ます。もしもの場面でも慌てず、誰もが正しい理解をもって対処できるよう、ポイントを押さえてお伝えしていきます。
歯の脱臼、子どもと大人の歯では対処がちがう
歯の脱臼とは、歯茎の骨から歯が脱落してしまう状態のことをいいます。ボールが当たってしまったり相手選手と接触したときや、ゴールポストに激突したときなどに歯の脱臼は考えられますが、乳歯の場合はほとんど再植できないといわれています。なので、乳歯が抜けてしまった場合は止血して大人の歯が生えてくるのを待ちましょう。
一方で大人の歯が脱落してしまった場合は、歯髄が回復することもあり再植できる可能性がありますので、抜けてしまった歯を正しく保存しながらすぐに歯科へ受診することが大切です。
歯が欠けてしまったときは?
歯の破損は、程度によってはプラスチックでの修復や被せ物などで修復できる可能性があるので、すぐに歯科への受診をおすすめします。破損が歯髄に達している場合などは神経を取る処置が必要な場合もあるので、自己判断でそのままにすることは避けましょう! 欠けた歯を放置することは、変色や歯の寿命を短くしてしまいかねないので、歯科医師の判断を仰ぐことが大切です。歯が完全に縦に割れてしまったり、歯の根もとのほうで横断するように欠けてしまった場合は、抜歯の可能性もあり得ます。
脱臼してしまった歯の正しい保存方法は?
大人の歯が脱臼してしまった場合はすぐに歯科受診が必要ですが、その間に抜けた歯をいかに正しく保存できているかによって再植率が左右されます。「ティースキーパー」など歯の保存液が救護バッグにあればそれを使用するのが望ましいですが、ない場合は冷たいミルクやドラッグストアなどで売っている生理食塩液に浸すことがよいとされています。保存状態が良く数時間以内に歯科受診することができれば、ほとんどは再植できるといわれているため、早急に正しい処置を行うことが必要です。
間違っても、抜けた歯をごしごし洗ったり、乾燥させることは避けましょう! 歯の根元には再植のために必要な膜がついていて、それが残っているかどうかが後に重要になってきます。汚れや砂が付いていてどうしても気になる場合は軽く流水で流す程度にして、そのまま保存液やミルクなどに浸しましょう。
最終手段は口の中でキープ
もしもその場に何もなかった場合は、歯科へ受診するまでの間、口の中に入れて保存するという方法もあります。これは最終手段ではありますが、抜けてしまった歯を乾燥させてしまうよりは自分の口の中の唾液で保存するほうが何倍も再植率が上がります。間違って飲み込んでしまわないように、下の前歯の歯と歯茎の間に入れるようにしてください。この方法を覚えておくと、もしもの時に慌てずに済みます。
スポーツの継続可否は止血できるかが重要
歯のトラブルには出血がつきものですが、サッカーを継続するかどうかは、出血のコントロールができるかどうかで判断されます。歯のトラブルと共に口の中に傷はないか? 傷口から出血はないか? を確認することが大切。出血があった場合は、ガーゼやティッシュなどで押さえながら圧迫止血を行いましょう。スポーツ中はアドレナリンが出ているので血が止まりやすい傾向にありますが、出血が止まらない場合はスポーツは中断となります。
大切な歯のもしものトラブルも慌てず、サッカーを全力で楽しむ子どもたちをこれからも正しく見守っていきましょう!
参考:日本スポーツ救護看護学会:スポーツ歯科学