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自然に囲まれた街で展開される、女子サッカー発展への取り組みとは!?

自然に囲まれた街で展開される、女子サッカー発展への取り組みとは!?

皆さま、こんにちは。サカママ歴4年の竹村こずえです。第4回となる今回は、セレッソ大阪スポーツクラブが唯一公立高校に指導者を派遣している、高知県立大方高等学校の女子サッカー部についてお話ししたいと思います。サムネイル画像は大方高校女子サッカー部の森周三監督です。顧問の公文菜子先生が撮影された写真がとてもかっこよく撮れていたので、こちらの写真をサムネイルにさせていただきました。

セレッソとともに歩む女子サッカーの発展への取り組み

高知県の黒潮町では、街を挙げてスポーツツーリズムの推進に力を入れています。その取り組みの一環として、高知県立大方高等学校では、2020年度に発足した女子サッカー部へセレッソ大阪から指導者を招聘するなど、女子サッカーの発展を目指す街でもあります。

私は大方高校の事務補助(主に高知県西部の教員研修の補助業務等)として同校へ勤務しています。直接関わることはありませんが、女子サッカー部の練習を見る機会があったり、校長室に飾られているセレッソのユニフォームや事務室にあるセレッソのカレンダーなどを見たりするなど、身近に感じることができています。

今現在9歳の娘は5歳の頃から西部地区女子サッカー協会が月1回開催している、黒潮町でのガールズサッカーに参加させていただいているため、ずいぶん前からセレッソからの派遣指導者の方にご指導いただいております。

(一社)セレッソ大阪スポーツクラブより派遣された監督の指導のもと、地元の女子Jr.ユースチームと連携
(一社)セレッソ大阪スポーツクラブより派遣された監督の指導のもと、地元の女子Jr.ユースチームと連携

海と松原の美しい、自然豊かな環境でできる本格サッカー

まず、一番の魅力は自然豊かな充実した環境で活動ができるというところだと思います。学校から自転車で5分ほどの距離には、人工芝2面、天然芝2面のサッカー場を有している土佐西南大規模公園があり、練習は基本的にそちらを使用しています。練習で天然芝を利用することもあり、とても贅沢な環境だと思います。近くには、海沿いにランニングにぴったりな遊歩道もあり、綺麗な砂浜と海を見ながらリフレッシュもできます。

 

次の魅力は、何より(一社)セレッソ大阪スポーツクラブから指導者が派遣されているというところです。そのため、地方にいながらも“本物”の指導を受けることができます。また、大方高校女子サッカー部は地域の女子Jr.ユースチームとも連携をしており、中学・高校とサッカーを継続することができる環境が整っています。

大方高校の森監督へ質問

大方高校の森監督はなでしこリーグでの女子サッカーチームでの指導経験もあります。今回、森監督にお願いしていくつか質問をしてみました!

大方高校の森監督

-Q1.女子チーム指導するにあたり、さまざまな知識をお持ちの森監督ですが、日頃から研修等も受けているのでしょうか?

「研修というものをどう捉えるかによって答えは変わってくるとは思うのですが、僕にとっては日々のやりとり全てが研修だと思っています。現場から『課題』を抽出して、その解決のための『仮定』や『調査』をして『実践』をする。それを『分析』して『評価』をして次につなげる、の繰り返しですよね。

一般的な講習型の研修については、もちろん有意義なものもありますが、どうしても主催者や講師の伝えたいことのほうが強くなる傾向があって、自分の中で『調査』したい内容と合致しないことが多いんです。なのでサッカーに限らず、分からないことは直接聞きに行ったり、見に行ったりすることのほうが多いですね」

-Q2.大方高校女子サッカー部には初心者の子もいると思いますが、経験者の子との指導の違いなどはやはりありますか?

「大いにありますよ。生まれたての赤ちゃんに漢字を教える親はいないですよね。やれることも限られているので、こちらのアウトプットの量も調整しながら接するべきだと思っています。よく実年齢に合わせて指導してしまうことがあると思うのですが、小学生だろうが、高校生だろうが初心者はやはり初心者ですので、高校生だからといって初心者である以上はそこへの配慮は必ず必要だと考えています。

選手自身が持っている情報管理容量の大きさはほぼ変わらないと思っていて、経験によって得てきた情報を処理して圧縮しながら容量を空けて、その空いた部分に次の情報を入れることによって得られる情報を増やしていくので、情報処理をする時間を与えずに未知の情報をひっきりなしに与え続けていったら、あっという間にフローして、フリーズしてしまうと思います。そうすると、選手の中でバーンアウトが起こりやすくなって、サッカーを辞めてしまうという一つのネガティブルートを現場側が作り出してしまう可能性があるわけです。それは僕の中で一番避けたい部分だと考えています。

そういったなかで、それを同じ環境下で両者をどう成長させていくかが指導者の腕の見せ所ではないでしょうか。もちろんグループ分けできる環境にあればそれが一番効率はいいのでしょうけど、そうじゃない環境で指導することのほうが比較的には多いと思います。その場合、上に合わせるとか下に合わせるとかではなく、同じ環境下でそれぞれに必要な情報を提供できるかどうかが重要だと思っています

-Q3.サッカーママに教えておきたいなという言葉かけ。良い例、悪い例を教えてください。

「難しい質問ですね。僕から言えることは、お子さんに対して、親としてのプレッシャーをあまり感じないでいただけたらと思います。世に出ている『良い例』『悪い例』は全て、皆さんのお子さんに対して行った検証の結果ではないということをまずは頭の中心に置いておいてほしいと思います。

皆さんのお子さんのことは皆さんが一番よく知っていると思いますので、皆さんが送ってこられた人生の中で大人や指導者から教わった経験で、良かったこと、悪かったこと、嬉しかったこと、嫌な思いをしたこと、発憤したことを思い出して、何がお子さんにとって最善なのかを考えることが重要だと思います。そして、是非検証してみてください。お子さんはどんな反応をして、どんな行動をするか。もしそれが難しいようであれば、隣で笑っていてあげてください。それだけで十分です」

-Q4.効果的なメンタルトレーニングを教えてください。

「メンタルっていうのは、僕は強いとか弱いとかはあまり表現として使いたくない言葉の一つで…。基準がないじゃないですか。メンタルの強弱で、ど真ん中のメンタルってどんな人ですか? という疑問に答えが出ないんです。

パフォーマンスをよくするために行っているのは、『メンタルトレーニング』というよりも『メンタルコントロール』のほうかなぁ、とも思うのですがどうでしょうか? 専門の分野ではないので下手なことは言えないのですが、まずは自分を認めることだと思います。そこに『自分』という基準を持つことが一番大事だと思います。誤解を恐れずに言うと、『臆病』というワードはネガティブなイメージがあるかと思いますが、臆病な性格だからこそ分かること、できることがあって、ちゃんとメリットがあるんです。なので、一見悲観的だと思われる部分も含めて、自分を理解することが大事だと思います。

じゃあ、そこからどうするか。今のままで満足であれば何もする必要はないでしょうし、満足できないのであればしっかり自分を分析して、解決の糸口を探っていけばいいのではないでしょうか。ここで大事なのは、親御さんの理想像をお子さんに押し付けるのはNGということだと思います。あくまでも本人がそれを望んでいるかどうかが重要で、もし具体的な理想像を持てるようであれば、『なりきる』のが一番の手段だと思います。例えば、その選手ならこんなプレーをする、こんな考え方をする、左利きだから僕も左足で蹴る、みたいなのが一番効果的だと僕は思います。そういうときってやっていて本当に楽しいですよね」

本当に研究熱心で素晴らしい監督だな、とあらためて思いました。森監督、質問に答えていただきありがとうございました!
4月になり、新生活がスタートしました。昨年度の卒業生も皆それぞれの進路で頑張っていることかと思います。女子チームが少ないからこそ分からない、気になる部分が多く、調べている方も多いかと思います。子どもの知識だけでは決められないこともある、という考えを私は持っているので、同じ考えを持った方の参考になればな、と思います。

次回は、高知県黒潮町で活動中の、全国大会優勝経験のある社会人サッカーチームFC KUROSHIO84について、監督の久保田聖也さんにお話を伺いたいと思います。

WRITER PROFILE

こずえ
こずえ

高校の授業でサッカー、社会人でフットサル習いました。サッカー初心者ママですが、田舎で小学校3年生になるサッカー女子の1人娘の子育てを夫婦で奮闘中。親子でサッカーをするのも観戦をするのも大好きです!

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