子どものサッカー現場、安全は誰が守る?親子で知っておきたい「もしも」への備え
みなさんこんにちは! スポーツ看護師の金子会里です。子どものサッカーのサポートをしていると日々がとても早く感じる今日この頃です。みなさんも週末は試合や遠征などで各地のグラウンドへ足を運ぶことが多いと思いますが、日々サポートをするなかで、その会場の「安全」について考えたことはありますか?
私は会場全体の導線や搬送経路、AEDの位置などをまず確認しているのですが、今回はもしもの備えを「知っておく」ことで、誰もが子どもたちのサッカー現場をより安全に見守れるように、という想いでお伝えしていこうと思います。
スポーツ現場にいつでも救護スタッフがいるとは限らない
実は先日、10歳の息子と同世代の子がサッカーのチーム練習中にピッチ上で倒れ、搬送されたという出来事を耳にしました。AEDがすぐ現場に用意できれば、誰か一人でも心臓マッサージで胸骨圧迫を継続できていれば、とさまざまな想いがめぐり胸が痛みました。
日々のトレーニングが毎回無事に終わり、元気で帰宅することが当たり前のことだとつい感じてしまいますが、いつどこで何が起きるかは誰にもわかりません。
持病からの心臓発作や、ボールが胸に直撃することで起きる心臓震盪など、ニュースなどでは知られていない「もしも」の事態は起きているのが現状で、楽しいはずのサッカーのある日常で、少しでも悲しい思いをする人たちを減らしたいと切に願います。
ケガや事故などもそうですが、目の前に人が倒れていたら「助ける」ことには「勇気」がいりますよね。その勇気の一歩を「行動」から始め、「連携」という形でサポートするだけでも、スポーツ現場の安心安全は格段に上がると感じます。
欧州と比べるとその差は歴然
日本のサッカー環境は、欧州などに比べると十分な安全へのサポート体制が整っていないのだそうです。U−15の試合現場のメディカル人員を欧州と比較するとその差は歴然です。
実際に日本の地域のジュニアサッカー環境では、保護者や指導者がBLS(一次救命処置)やファーストエイド(応急処置)について一任されていることが多いかと思います。もしも目の前で倒れた選手がいたら、助けられるのはそこにいる人たちだけだと思うと、誰もが「もしも」の事態に対応できることが、一番の安全安心への近道なのでは? と改めて思います。
まずはAEDの場所を確認することから
スポーツ施設にはAEDの場所を示す建物がありますが、気にかけたことはありますか? 意外と見過ごしがちですが、1分1秒が大事な救命の現場では、この場所を知っておくことが本当に大切。心停止を放置すれば1分毎に生存率が7〜10%下がると言われていて、すぐにAEDを取りに行ける人がいる、応援を呼べる人がいる、それだけでも大事な連係プレーになるのです。
専門的な知識がなくても明日からすぐにできる行動の一歩、ぜひ気にかけて普段の練習場所や遠征先でAEDの場所を確認してみてください。
AEDは電源を入れると自動で音声ガイドが誘導してくれる
AEDを扱ったことがない人のなかには、怖くて触れない! という人もいるかもしれません。ですが、AEDは電源を入れると自動で音声ガイドが手順を教えてくれ、電気ショックが必要かどうかを判断してくれます。パッドの貼る位置も中に図で書かれていますので、その通りに貼ってください。
心臓マッサージ(胸骨圧迫)と平行してAEDは使用しますので、実際に講習会などで一連の流れを学んでみるのもおすすめです。BLS(一次救命処置)はスポーツの場面だけでなく、災害や事故などさまざまな「もしも」への備えにもなりますので、今こそ気にかけてみてほしいと思います。
また、「JFA+PUSHコース」という小学生から受講可能な2時間のプログラムもあります。チームや親子で参加できますので、ジュニア期の早くから安全への取り組みを経験する機会をたくさんの方に持ってほしいと感じます。
【参考】JFA編 スポーツ救命講習会テキスト
※スポーツ救命ライセンス講習 https://jalsa.or.jp/seminar/spo-q/
※JFA+PUSHコース https://jalsa.or.jp/seminar/jfapush/