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熱中症に気を付けて!子どもに起こる特徴と応急処置

熱中症に気を付けて!子どもに起こる特徴と応急処置

サカママコラムをご覧のみなさま、こんにちは。元養護教諭で小6と小4のサッカー兄弟の母、AYAです。6月に入り気温の高い日が多くなってきました。北国出身で本当に暑いのが苦手な私…真夏が今から不安です(涙)。

この時期に心配になってくるのが『熱中症』。テレビやネット・他メディアでもよく見聞きする言葉ですが、炎天下でもサッカーの練習や試合はあるし、暑い中頑張る子どもたちのサポートが必要ですね。今回のコラムは『子どもの熱中症』についてお伝えしようと思います。本格的な夏を迎える前に ≪効果的な対策・予防≫ を確認して、暑い季節を乗り越えましょう!

子どもの熱中症の特徴

子どもの熱中症の特徴

気温が高いとき、人は皮膚の血流量を増加させ、体の表面から周囲に熱を逃がすことで体温を調節しています。子どもは汗をかく能力が未発達であり、大人よりも体重に対しての体表面積が広いため、気温の変化などの影響を受けやすく、体の熱が熱しやすく冷めやすいという特徴があります。

気温が皮膚温(皮膚の表面温度)よりも低い場合には、熱放散(体の表面から熱を逃がすこと)で大人と同じように深部体温(脳や内臓などの体の内部の温度)を調整することができます。しかし、気温が皮膚温よりも高い場合や、地面からの照り返しが強い夏季の炎天下などでは、大人よりも熱しやすい子どもの深部体温は周囲の気温や湿度の影響を受けやすく、急激に体温が大きく上昇し、熱中症のリスクが高くなります。

以前のサカママコラムにもありましたが炎天下に外で行うサッカーでは、試合前やハーフタイム、試合後など余裕のある時間に上手に「クーリング」を行い、体の中に熱がこもりやすい子どもたちを守っていかなければなりませんね。
身体を内側・外側から冷やして熱中症対策!クーリングの方法を知ろう!

「熱中症」とは? ~分類と症状 ~

具体的に「熱中症」とはどのような状態になることなのか、一例を表にまとめました。

熱中症の原因と特徴

どんな状況で起こるのか 原 因 発症をしたときの特徴
  • 気温や湿度が高い環境で一定時間過ごしたとき(屋外・室内 どちらでも)
  • 気温や湿度が高い日に、スポーツをしているとき
  • 多量に汗をかいているのに塩分や糖分を含む水分を摂っていなかった
  • 暑い中、走り続けていた/大きな声を出すことが続いていた(体力の消耗)
  • 長時間立ったままだった(脳への血流減少)
  • 直射日光に当たり続けていた
  • 風のない、換気をしていない場所で過ごしていた
  • 顔が赤く、ひどく汗をかいている
  • 口数が少なくなる
  • 手足の動きが鈍くなる
  • だるさや吐き気がある
  • 「寝たい」「動きたくない」などと言うことも

また『熱中症』はその症状によって3つに分類されます。よく「熱中症」と「熱射病」という言葉が混同されがちですが、正確には重症度によって分類された言葉です。表にまとめるとこのようになります。

分類と症状

重症度1子どもの熱中症の特徴 重症度2子どもの熱中症の特徴 重症度3子どもの熱中症の特徴
分類 熱失神/熱けいれん 熱疲労 熱射病
症状
  • 体温平熱〜38°C未満
  • 大量に汗をかいている
  • 皮膚が冷たい
  • 顔色が蒼白
  • 生あくびが出る
  • 腹痛、吐き気、嘔吐
  • めまい、たちくらみ、失神
  • 体温40°C未満
  • 汗をかいている
  • 顔色が蒼白
  • 呼吸が早い、脈がゆっくり
  • 嘔気・嘔吐、めまい
  • 痛みを伴う筋肉の痙攣
  • 脱力感
  • 集中力の低下
  • 体温40°C以上
  • 汗をかいていない
  • 皮膚が赤く乾燥している
  • 意識がない
  • つじつまの合わないことを言う・刺激していないと目を閉じてしまう・反応がない

熱中症の応急処置

応急処置1:とにかく涼しい場所へ移動する

風通しのよい日陰や、涼しい風のある室内へ

応急処置2:服を脱がせる・ゆるめる/体を冷やす

  • 服を脱がせる、ウエストからシャツを出す、下着やズボンをゆるめる
  • 皮膚にぬらしたタオルやハンカチを当てて、うちわなどで風を当て体を冷やす(汗と一緒に熱をうばう気化熱を利用する)
  • 冷えたペットボトルや保冷剤、アイスバッグ(氷のう)などを体の『首』のつく部分(手首・足首など)や関節(脇・股関節・膝裏など)へ当てる 

POINT

救急車を要請した場合も熱中症に気が付いた時点で、すぐに処置をし続けることが大事です!

対処法と判断

症状別の判断基準をまとめました。
※あくまでも目安となりますので症状が心配な場合は無理をせず専門の医療機関を受診してください

重症度1(軽度) 重症度2(中度) 重症度3(重度)
すぐに「自分で」水分を摂らせる
※症状が回復に向かっている場合は、現場の応急処置で対応可能
顔色が悪くなるなど、新たな症状が出て、時間がたっても改善してこない場合は救急車を呼ぶ
※「自分で」水分を飲めないときは重症度2の可能性が。医療機関を受診しましょう
直ちに救急車を呼ぶ
※「意識がない」ときは重症度3!すぐに救急車を呼びましょう

梅雨時期から初夏にかけてこそ油断ができない熱中症

梅雨時期から初夏にかけてこそ油断ができない熱中症

5月なのにすでに日本各地で、30℃以上を超える真夏日を記録した日がありましたね。そうかと思えばまた肌寒い日が続いたり、梅雨に入り雨が続いて湿度が高かったりして、まだ体が慣れていない状態です。熱中症が起こってしまう原因のひとつに、この『暑さに対する体の不慣れさ』があると考えられています。さらに、これからの時期は雨が続き湿度の高い日が続くと、暑さ指数が高くなくても熱中症が発生しやすい時期でもあります。

毎日の食生活で熱中症予防!

汗だくになった練習後や試合のあとだけではなく、暑さが心配な時期は下の表のような栄養素を摂るように心がけると体の中からも熱中症を予防することができます。毎日の食事や飲み物に気を付けることで、体調が整えられ、熱中症の予防に繋がります。

栄養素 主な食品・飲み物 効果
ビタミンB1 豚肉・大豆製品・うなぎなど 疲労回復・代謝を活発にする
ビタミンC パプリカ・じゃがいも・果物など 免疫力をアップさせ、抗体を作る
カリウム きゅうり、スイカ、海藻、魚類など 細胞の浸透圧(濃度の違う水分の調整)を調節する
クエン酸 梅干し、レモン、酢 ミネラルの吸収をサポートする。脱水症状の改善
ナトリウム 経口補水液、麦茶 電解質の補給・維持に役立つ

子どもは、急激に具合が悪くなって動けなくなったり、練習中や試合の日だと「大丈夫、やれる」と我慢してしまったり、さらには「自分でも状態が悪いことに気が付かない」こともあります。私が小学校で勤務をしていた時にも、実際に『観察しているときには大丈夫そうに見えても、急に具合が悪くなりバタンと倒れてしまう』という事例に出会ったことがあります。

無理をしないように周りが見極めることが大切

無理をしないように周りが見極めることが大切

現在の小6の息子を見ていてもそうです。リーグ戦など何種類もの公式戦が毎週のようにあり、「自分が武器を発揮してチームを勝たせるんだ」「もっと試合で納得のいくプレーがしたいんだ」という思いが日に日に強くなり、試合の日は無理しがち。もちろん、多少の頑張りや無理も必要な時もあります。でもまだまだ体もサッカー選手としても成長途中の子どもです。一瞬の無理で一生の後悔が残らないよう、しっかり周りが見極めてあげたいですよね。

JFA(日本サッカー協会)から、2016年に【熱中症対策ガイドライン】が出され、選手の安全とパフォーマンス向上を目的とした対策と注意を行うよう通達が出ています。「暑さ指数(WBGT)が試合開始時間に基準より上回っている場合には試合を始めない(キックオフ時刻を設定しない)」など、試合を運営するにおける条件や対策が詳しく載っています。周りの大人や指導者・コーチを含めて、これからの時期は命を守るためにその日の気温・湿度を含めた暑さ指数(WBGT)を用いて練習や試合の実施判断をしてほしいと強く願います。

熱中症ガイドライン|日本サッカー協会 (jfa.jp)

熱中症予防|フィジカルフィットネスプロジェクト|指導者|日本サッカー協会 (jfa.jp)
JFAから熱中症予防について啓発する動画が出ていましたので、参考にご覧ください。

温暖化が進み毎年暑さが厳しくなっている昨今。私たち親が子どものころとは気候が違ってきています。新しい知識と情報をもって暑い時期の子どもたちを見守っていけたらいいですね。


※この記事は個人の感想です。熱中症が疑われた場合は、専門の医療機関への受診をお勧めします

【参考資料】

WRITER PROFILE

AYA
AYA

サカママ歴4年目、小6サッカー少年と小4の兄弟のママ。
慎重派内弁慶な「The長男」と本能型チョロ助の「The末っ子次男」に、日々悩み振り回され、奮闘しながらも一緒に成長中。前職は養護教諭(保健室の先生)をしていたので、学校との関係や子どもたちの心身のケアについて、栄養学、心理学の知識もあわせて発信していければと思います。
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