周りからの評価を気にせず、普段のパフォーマンスを発揮する方法とは!?
元プロサッカー選手で現在はメンタルトレーナーとして活動する山下訓広さんによる連載第24回目。みなさんは、他者からの評価を意識してしまい、本来の力を出しきれなかったという経験はありませんか?今回のテーマは、「周りからの評価を気にせずに普段のパフォーマンスを行うためのマインドセット」についてです。
評価が気になって集中できなくなる
「監督に見られているといつも通りプレーできない」
中学3年生のA君からこんな相談がありました。
「監督が見ている試合だと、すごく評価されている気がしてしまい集中できなくなります。周りを気にせずいつも通りにプレーしたいのですがどうしたらいいですか?」ということでした。
周りからの評価が気になるのは多くの人が抱える課題です。私自身も他人からの評価が気になることはあります。しかし、そんななかでも自分のパフォーマンスをいつも通り発揮するために、どのようなマインドセットが必要なのか紹介していきます。
評価や結果を意識しすぎないことが大切
まずはどのように評価されたいのか聞いてみました。
「得意なドリブルを特に評価されたいです。あとは途中交代で出場することが多いので、スタメンとして試合に出したいと思える選手になりたいです」
評価されたいという想いが強いことがわかります。
ドリブルする時はどんなことを考えながらプレーしているのか聞いてみました。「絶対に抜いてやると思っています。縦に抜くことが得意なので縦に抜こうと。あとは取られたらダメだということも考えています。そうすると、いつものタイミングでいけない感じがするんです」とのことでした。
「抜いてやる」「取られたらダメ」このように評価が気になるゆえに、自分の結果のことを意識していることがわかります。もちろん評価されるために結果を求めていくことはスポーツのなかで大切なことかもしれません。しかし結果を意識しすぎると本来のパフォーマンスが出せないことがあります。
意識が分散すると質が下がる
評価を気にせず、自分のドリブルができている時はどんなことを意識しているか聞いてみました。
「とにかく相手の腰を見ています。体のフェイントをしながら腰が正面に向いたときに縦にスピードを上げていこうと意識しています」
自分の思ったとおりのドリブルができているときは、「相手の腰を見る」「スピードを上げる」など自分の行動に意識が向かっていることがわかります。大きな違いは「結果」と「行動」を意識しているのか、「行動」だけを意識しているのかという点です。
当然、結果を出すためにプレーしているので重要なことですが、「結果」と「行動」2つのことを意識しながらプレーをすると質は下がります。
普段の生活でも同じことが言えます。例えばテレビドラマを見ながら会話をしているとドラマの内容がわからなくなったりすることはないでしょうか?つまり2つのことを同時に行おうとすると行動の質が落ちるということです。そこで考えていくことは、『結果を出すためにどんな行動をするのか』、ここに意識を置くということです。
やるべきことに集中して本来のパフォーマンスにつなげよう
先ほど挙げられた行動を一緒に整理していきました。
「相手の腰を見る」「体のフェイント」「スピードを上げる」この3つがA君にとってはドリブルで抜くために重要な行動ということでした。A君は「次回監督が見ている試合でこの3つを意識しながらドリブルしかけてみます!」と言いメンタルトレーニングを終えました。
2週間後、A君ともう一度話してみると、
「いつも通りのドリブルができました! ドリブルする毎に監督の視線も気にならなくなり自分のドリブルだけに集中できた気がします」ということでした。
誰しも評価を気にしてしまうことがあるかもしれません。するとより結果を求めたくなります。そんな時に大切なのは結果を出すための行動を整理していくことです。お子さんが評価に巻き込まれいつも通りのプレーができなくなっているときは、どんな行動が結果につながるのか一緒に整理してあげると、より良いパフォーマンスが出しやすい環境づくりができるでしょう。