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成長期でもあるジュニア世代でも気を付けたいスポーツが原因で起こる『スポーツ貧血』とは?!

成長期でもあるジュニア世代でも気を付けたいスポーツが原因で起こる『スポーツ貧血』とは?!

みなさん、こんにちは。スポーツナースの山村です。
ママ世代は、貧血かも?という経験をした事があると思います。子どもたちには無縁かなと印象があるかもしれませんが、実はそうでも無いのです。運動やスポーツが原因で起こる貧血のことを『スポーツ貧血』と呼びます。

スポーツ貧血は持久力系の競技でみられることがあり、サッカー選手にも大きな影響を与えるものです。今回はそのスポーツ貧血について取り上げたいと思います。

貧血が起きる原因とは?

貧血とは、血液の中の赤血球が減少した状態です。ヘモグロビンという言葉も聞いた事があるかと思いますが、ヘモグロビンは赤血球の中に含まれるもので、鉄と結合し酸素を全身へ運ぶ役割を担っています。貧血になるとその運び屋が少なくなって(濃度が低くなる)、体が酸欠状態になります。

一般的に体内には3~5gの鉄があり、多くはヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、残りは貯蔵鉄として肝臓、秘蔵、筋肉にストックされています。貧血にはいくつかの種類がありますので、それぞれを紹介します。

①鉄欠乏性貧血

鉄分の摂取不足・吸収不足・喪失などにより赤血球の数が減った事で、酸素の供給が十分にできない状態となります。栄養として鉄分を摂取するのが通常ですが、不足するのは様々な要因があります。

よくある要因としては、栄養バランスに偏りがあると不足してしまいます。それ以外では、成長期にはエネルギーや鉄の需要が増加します。また激しいスポーツでは大量の汗をかきますが、その際に汗と一緒に鉄も失われてしまいます。2~3ℓの汗をかけば、鉄分が1mg失うともいわれます。また避けられるものではありませんが、月経による鉄分喪失の影響もあります。

症状は、疲れやすい・だるい・息切れ・動悸・食欲不振などです。

②溶血性貧血

赤血球が破壊されヘモグロビンが血球の外へ溶出することを溶血といいます。スポーツをする選手にとって起きる溶血は、足底が繰り返し衝撃を受けることで血管が圧迫され、赤血球が破壊されてしまい起こります。陸上競技の長距離やサッカー、バレーボールなどの、足裏に強い衝撃を受ける競技に多いといわれています。

症状は、疲れやすい・だるい・息切れ・動悸・食欲不振などです。

 

スポーツ貧血の事例

思ったように走れない、持久力がなくなったなどの症状があればスポーツ貧血を疑います。知り合いのコーチは、学生時代にスポーツ貧血になったことがあったそうです。

今までは何てことなくできていたことが、できなくなっていき日に日に悪化していきました。ついにはアップでフラフラになったことから、さすがにおかしいと病院受診をしてスポーツ貧血と判明したそうです。

鉄欠乏性貧血の最終段階にくるとヘモグロビン値や血清鉄が減少しますが、初期では貯蔵鉄を使用するため、血液検査でヘモグロビン値は正常値を示すことが多くあります。そのため、ヘモグロビンに変化する前の段階であるフェリチンの値に注目が必要ですが、一般的な検査では調べないことが多い項目になります。

【検査データや年齢、競技なども考慮し診断されます。最近はスポーツ内科を専門とされている先生もいらっしゃいます。】

スポーツ貧血の治療法とは?

基本的な治療は食事療法になります。成長期でもあるジュニア世代には、鉄不足という事もありますが、そもそものエネルギー不足があることも多くあります。成長期では、通常よりエネルギーを必要としており、さらにサッカーをする分のエネルギーも必要になります。まず優先して年代や活動量などにあったエネルギーを摂取し、バランスの良い食事を心がける必要があります。

鉄分を多く含む食事はご存知かと思いますが、非ヘム鉄といわれる植物性食品(ほうれん草・豆製品など)よりヘム鉄といわれる動物性食品(肉や魚など)の方が吸収率は高いといわれます。ですが平均して10%と高いものではありません。そのため吸収率を上げるために、ビタミンCを摂取すると3倍以上に吸収率が上がるともいわれています。さらにタンパク質もヘモグロビンを作るために不可欠でもあります。

スポーツ貧血を起こさない為に今回のコラムを参考にしつつ、バランスの良い食事を心がけてください。

 


※本記事は、看護師としての経験や知識をもとに書かれているものです。
貧血が疑われた場合は、専門の医療機関をご受診ください。

WRITER PROFILE

山村麻衣子
山村麻衣子

シングルマザーとして3人の子育てをしながら、救命センターで看護師として働き、スポーツナースとしても活動しています。末っ子は高校サッカーで全国を目指し奮闘中です。万が一が起きている現場にいるからこそ、スポーツの現場でも安全や予防の必要性を感じているので、コラムではメディカル目線のサポート情報などを中心にお届けしていきます。