「暑熱順化」できていますか?夏本番になる前の熱中症対策とは
5月に入り心地よい気候が続くと思っていたのも束の間、朝晩は涼しいものの日中は急に暑くなる日が増えてきました。沖縄では既に梅雨入りもしたそうですので、本州の方でも そろそろ梅雨入りするかもしれませんね。夏に入る前の、この気温差の激しい 時期にお伝えをしたいのが【暑熱順化】です。
熱を下げる体のしくみについて
まず私たちの体の体温調整は、どのように行われているのでしょうか。 体を動かすと体内では熱が作られ、体温が上がります。体温が上がればその熱を逃すために身体は汗をかき、その汗が蒸発する際に熱を奪ってくれます。
風邪を引いて熱が出た時も同じです。熱が出た後に汗をかいてからしばらくすると、熱が下がっていたという経験をされた事はないでしょうか。これは体温を調整する機能が働き、発汗して体温を下げようとしたためです。体温が上がると心拍数が上がり皮膚の血管が開くため、体の表面から空気中に熱を逃す機能が働きます。そうした体の仕組みが体温を36~37度 くらいに保てるように調節をしてくれるのです。
この熱を下げるための調節がうまくできないと、身体の中に熱が溜まり熱中症が引き起こされるのです。
熱中症予防になる?暑熱順化とは
暑熱順化とは、体が暑さに慣れることをいいます。暑い日が続くことで、私たちの体は次第に暑さに慣れていき、対応できる体になっていきます。その「体が暑さに慣れること」を暑熱順化と言います。
暑熱順化ができていると、暑さを感じてからすぐに汗をかける機能が働き身体の表面から熱を逃しやすくなります。また熱中症予防には体内塩分を保つことが必要となります。暑熱順化をした体は発汗量が増えるため汗に含まれるナトリウムイオン濃度が低下し、塩分の喪失を抑えられると言われています。その結果、ナトリウムイオンの不足や体内温度がこもることで引き起こされる熱中症の予防になると言われています。
自分で行える暑熱順化トレーニング
暑熱順化をするためのトレーニングは自分で行うことができます。トレーニングというと、なんだか特別なプログラムをしないといけないように感じますが、室外トレーニングであれば1回30分のウォーキングや15分程度のジョギングなどの有酸素運動を週に5回程度行います。室内でのトレーニングであれば、入浴もトレーニングになります。毎日の入浴をシャワーのみではなく、じんわりと汗をかくまでぬるめのお湯に少し長めにつかることで暑熱順化トレーニングになります。
また無理に暑い日にトレーニングしないといけないわけではありません。運動により汗をかく事ができれば、体温調整機能は働いています。そのため、早朝や日陰などの涼しい場所でもトレーニングの効果は得られるのです。実は最近流行りのサウナでも、発汗性を促すため暑熱順化への効果が期待できるそうです。ジュニア世代にサウナはあまり身近ではありませんが、サカママ・サカパパには良いかもしれませんね。
暑熱順化トレーニングのポイント
快適に効率よく暑熱順化トレーニングをするために気を付けるべきポイントをまとめました。
- 汗をかくため運動の前後は水分補給を忘れずに
- 汗が蒸発しやすいように襟や袖口が開いた吸湿性の高い素材のウエアを
- 太陽の熱を吸収しにくい色(白やパステルカラー)・UVカット素材のウエアで
猛暑日に備えた暑熱順化を!
これから始まる梅雨時期の晴れ間・梅雨明けの時期は、まだ暑熱順化ができていない可能性が高いと言われているため、急な猛暑に対しての熱中症予防に注意が必要になります。 サッカーをする選手にとってこの暑熱順化は、脱水によるパフォーマンスの低下を予防するためにも必要であり、熱中症から身を守るためにも必要な知識になります。
個人差はありますが、暑熱順化トレーニングをしてから効果が表れるまでおおよそ1~2週間程度かかると言われています。暑くなってからではなく今のうちから少しずつできる対策をしながら、ベストなパフォーマンスでサッカーができるために、親子で暑熱順化について考えるきっかけになれば嬉しいです。