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「FC東京のアタッカー」流コンディショニングとは? 紺野和也 with 中村有希

今季FC東京でプロ3年目を迎えた攻撃的ウイングが躍進を続けている。昨季大ケガに見舞われながらもリハビリを経てスケールアップに成功。献身的なサポートを続けたフィジオセラピストの中村氏とともに、ケガの克服と好調を支えるコンディショニングの取り組みについて聞いた。

 

フィジオセラピスト・中村有希さんの仕事内容

 

今季のFC東京トップチームのコーチ陣は18人体制。その中でフィジオセラピストの中村さんは選手の障害予防、長期リハビリテーションを担当している。リハビリではドクターやトレーナーと連携し、患部を管理しながら、それ以外の筋トレやストレングストレーニングでパフォーマンスを維持し、選手がより良い状態で復帰するためのサポートを行う。

#1 高卒後に肉体改造!8kg増量!

高卒後に進学した法政大学は全国トップレベルのチームで、スピードとフィジカルの差は明らかでした。そこで食事と筋トレを意識的に取り組み1年間で8キロの増量に成功しました。朝練のために毎朝5時起きで夜10時には就寝し、練習前後、そして風呂上りのストレッチは細かく長く入念に行いました。

#2 客観性データを基にしたカラダのケア

プロになりカラダのケアをより意識するようになりました。FC東京では定期的な検査により選手個々のコンディションが数値化され、専門家からフィードバックをもらえます。自分では快調と思っていてもカラダの内側のことはわからないですからね。コーチから「ここが弱い」と指摘を受けた部分は用意されたトレーニングメニューで改善を続け、栄養士の方からは細かい食事・栄養のアドバイスをもらえます。客観的データに基づいたアドバイスを受けるので、改善できている選手は多いと思います。

中村フィジオセラピストが解説!

栄養素の不足はパフォーマンスに直結する

FC東京では体重・体脂肪を毎日選手から申告(任意)してもらい、3カ月ごとに血液検査をして、選手の栄養やカラダの内側の状況を把握しています。メディカルチームではデータをもとに選手の疲労の具合をチェックし、スタッフで話し合ってトレーニングメニューを提供しています。例えば鉄が不足し貧血傾向だと後半に動きがガクッと落ちるので、チームとしてフォローアップできるようにしています。

#3 ケガと向き合い、復帰後は筋力の数値UP!

昨年3月、膝前十字靭帯損傷(全治約6~8カ月)のケガをしました。大きなケガはもちろん、手術も初めてでしたが、中村有希さんやスタッフの方々が時間をかけて改善に向けたメニューを考えてくれました。良い状態で復帰できると信じていたので、リハビリを苦にすることもなく、予定より早く復帰することができました。足の筋力は復帰後の方がより数値が上がっていて、今季のプレーにも表れていると思います。大きなケガを乗り越えられたのは大きな自信となりました。

 

中村フィジオセラピストが解説!

リハビリ期間に潜在能力を引き出せた

紺野選手はコツコツと寡黙にリハビリに取り組み、予定よりずっと早く復帰できる状態になりました。ケガと向き合ってカラダを鍛錬する姿勢は、尊敬に値する日々でした。もともとのポテンシャルは感じていましたが、改めて紺野選手のバネや筋肉の質は素晴らしいと感心しました。リハビリに向き合っていくなかで、まだ眠っている良い要素を引き出していく作業はフィジオセラピストとして非常に興味深かったです。

#4 パワーの源となる食事はバランスを意識!

大学時代に味の素の栄養講習(勝ち飯)を受けてから、食事は主食・汁物、主菜・乳製品・果物・副菜と、栄養が偏らないようにバランスを意識しています。僕は野菜が大好きなので、よく取り入れていますね。食事はすべてのパワーの源なので、妥協はしないようにしています。足りていない栄養素は、栄養士のフィードバックでわかるので、それを基に補っていくようにしています。

中村フィジオセラピストが解説!

食事で“内側”からケアすることが大事!

ストレッチなどカラダの外側からケアすることも重要ですが、食事で栄養を取り入れて“内側からケアする”こともすごく大事です。食事・栄養はコンディショニングに欠かせない要素ですので、チームとして取り組んでいます。

#5 休みすぎはNG!?連戦とリカバリー

連戦の中日はコンディション調整が大半を占めます。どこまでカラダの状態を維持して次の試合に向かえるかがポイントになります。ただし、「休みすぎ」も良くありません。どのくらい動けば良い状態を保てるかをプロ1年目から試していて、3年でようやく見つけられたと思っています。理想のコンディショニングは人それぞれ違うと思うので、それを確認する作業はすごく大事だと思います。

 

中村フィジオセラピストが解説!

連戦はアクティブリカバリーを推奨

僕は職業柄、選手の歩き方を見て疲れているかが分かります。そこの観察はすごく大事にしていて、ケアしているときの筋肉の張り等も含めてトレーナーと共有しています。連戦の取り組みでは紺野選手が言うように休みすぎてもいけません。中日のトレーニングはセット数や負荷量を落としてもストレングスは入れるようにして、低強度のエクササイズ(アクティブリカバリー)を推奨しています。

高校生でもできる!今日から実践できるコンディショニング

コンディショニングは意識次第で高められる!

睡眠・食事・ストレッチなど基本的な部分は誰でも意識できることです。例えばFC東京の森重真人選手は誰よりも早くトレーニングルームでカラダをつくっていて、だからこそ長くプレーできているんだと見本にしています。貴重な高校での部活動を頑張ってください。僕も今季は得点・アシストを10記録できるように頑張ります!


日々の“モニタリング”で自分を知ろう!

紺野選手のように自分のカラダを理解しておくことが大事です。日々、自分を“モニタリング”し、そこで得られる気づきを自分自身でフィードバックしていくことが良いパフォーマンスにつながります。高校生は血液検査など細かいデータを採ることはできませんが、自分のカラダの変化を観察し、その対応策を大人や専門家に聞くことはできるはずです。

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写真提供/©F.C.TOKYO

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