試合に出るためにも大切!「信頼関係」を築くために必要なことって?
元プロサッカー選手で現在はメンタルトレーナーとして活動する山下訓広さんによる連載第4回目。今回のテーマは「信頼関係の築き方」。調子がいいのに試合に出られない…そんな時は、監督との信頼関係についても考えてみるといいかもしれません。
調子は良いのに試合に出られない!それ、監督との信頼関係がポイントかも?
お子さんが試合になかなか出られないと、少し不安になってしまうという方、多いのではないでしょうか。「技術が足りないのかな?それととも他の何かが足りないのかな?」と悩んでしまうかもしれませんが、もしかすると、監督との信頼関係がポイントになっているかもしれません。特に「監督が選手のどこに信頼を置き、選手を評価しているのか」は見極められているでしょうか?
私も現役時代、調子がいいのに試合になかなか出られない年がありました。練習ではしっかりとパフォーマンスを出来ているのに、「なぜ試合に出られないんだ?」と考えていました。この時に問題があったのが、監督との信頼関係でした。といっても、監督と仲が悪かったとかそういったことではなく、監督が求めている信頼が何かを理解出来ていなかったのです。
信頼を得るにはどうすればいい?
そもそも「信頼」とはどういったものなのでしょうか?「この人のことは信頼できる」そんな風に思う時は、どんな心理が働いていると思いますか?
例えば、洗濯機を買うとしましょう。日本製の有名メーカーの洗濯機(10万円)と、海外製の聞いたことがないメーカーの洗濯機(8万円)があります。どちらかを選ぶ時、どんな行動を取りますか?
恐らく、それぞれの洗濯機にはどのような機能があるのか、海外製の洗濯機はどこの国のものなのかなど、それぞれの洗濯機の特徴を調べるのではないでしょうか。安心して買い物をしたいはずですから、それぞれの情報を集めるはずでず。この「安心できること」こそが、信頼になるのです。情報を集める行為が信頼に結びついていくとも言えます。何の情報もない物や人を信頼しろと言われても、難しいですよね。
サッカーの中での信頼にも同じことが言えます。監督に自分の情報を開示できているか、ここがポイントです。この選手はどんなプレーが出来るのか、どんな事を考えてプレーしているのか、監督との信頼関係を築くには自身の情報を開示して安心できる選手になる必要があるのです。
監督が選手のどこに信頼を置くのか、理解できてる?
とはいえ、一生懸命自己開示をしてアピールしても、なかなか信頼関係が築けない時もあります。このような時は、監督がどこに信頼を置いているのか、評価基準をしっかりと捉えられていないのかもしれません。
一口に信頼を置くと言っても、相手の何を重視しているかは人によって違います。サッカーであれば、選手の「能力や技術」に信頼を置く監督もいれば、普段の練習態度やマナーなど「考え方や意図」に信頼を置く監督もいます。そして、どちらか一方だけしか信頼しないということは少ないはずです。ですから、自分のチームの監督がそれぞれにどれくらいの信頼を置くのか、その割合を考える必要があるのです。
今思い返すと、自分が試合に出られなかった頃の監督は7:3くらいで「考え方や意図」に信頼を置く人だったと思います。監督はチームのために戦える人間性やサッカー以外の部分での振る舞い、つまり内面の部分を重視していました。それなのに私は、「技術で他の選手に勝っているのになぜ出られないんだ?」と悩んでいたんですね。この時必要だったのは、内面の情報を開示していくことだったのです。
そのことが何となく分かってからは、サッカー以外の挨拶や練習態度も意識し、チームのためになるような発言を心掛けました。そうすると、それを見ていた監督とも次第に信頼関係が構築され、スタメンで試合に使ってもらえるようになったのです。
「この選手を出せば安心だ」と思ってもらうためには…
もちろん監督やコーチの顔色を伺いながらサッカーをする必要はありませんが、たくさん練習した成果を試合で出したいと思うお子さんは多いはずです。なかなか試合に出られず悩んでいるという場合は、監督との信頼関係は築けているか、という視点からもアドバイスをしてあげるとチャンスが増えるかもしれません。
試合に出るには監督との信頼関係が非常に重要になります。「この選手を出せば安心だ」と思ってもらえる選手になるためにも、監督が選手のどこに信頼を置くのかを理解し、自分はこういう選手ですとアピール(情報開示)できるように意識してみてくださいね。