メインコンテンツに移動

夢を叶えた先輩に聞く!トレーナーという生き方(多田智典/ベガルタ仙台)

サッカーを仕事にする事は、プロサッカー選手になる以外にもたくさんある。今回、紹介するのはベガルタ仙台でトレーナーを務める多田智典さん。15年にわたりJリーグクラブのトップチームで選手のケアに努める、プロフェッショナルの取り組み方について伺った。

Q1 サッカー歴は?

高3年次に選手権に出場
「小学2年から始め、高校時代は地元の宇都宮白楊高校で全国高校サッカー選手権大会にも出場しました。怪我をした時に、リハビリの失敗で復帰が遅れたりパフォーマンスが上がらなかったり、かなり苦労した時期がありました。そんな時にトレーナーの方に出会い、寄り添ってもらえたことでその重要性に気付き、自分もトレーナーを志すようになりました」

Q2 TSRに入学するまでの経緯は?

鍼灸師の資格取得後に
「トレーナーになるためにはどうしたらよいのか? 自分で色々と調べながら、あるトレーナーの方に相談したところ、『鍼灸(の資格)を武器にしたら良い』とアドバイスされ、鍼灸の学校に入学しました。そこで(鍼灸師の)国家資格を取得した後、Jクラブとつながりのある東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)へ入学しました」

Q3 TSR卒業後の進路は?

インターンからJクラブへ
「2年生の12月ごろに横浜FCから学校にトレーナー募集の話がありました。まだ在学中でしたが、学校の推薦をいただき採用いただくことになりました。すでに鍼灸師の資格を持っていたこと、TSR入学時から『卒業後はJリーグで働きたい』とアピールしていたこと、現・ジェフユナイテッド市原・千葉で半年ほどインターンの経験を積んだことで、学校も推薦をしてくれたのだと思います。夢が叶って嬉しかったですね」

Q4 プロ選手から学んだことは?

カズさんから学んだプロ意識
「TSR卒業後に、いきなりJ1のチームを担当することになったので、本当に右も左もわからないという状態でした。そんな時にカズさん(三浦知良)の施術をお手伝いする機会がありました。緊張している僕に『もっとこうした方が選手は効果を感じられるよ』と気さくにアドバイスしてくれたことを覚えていま す。カズさんとは9年間横浜FCで一緒だったのですが、『常に100%の力を出すのがプロ』だということを学びました。辛い時でも嬉しい時でも、どんな時でもプロとして力を発揮するんだという心構えができました」

Q5 現在の業務内容は?

選手のケア、リハビリ、治療
「トレーナールームの準備から始まり、選手のケア・ストレッチ・テーピング等をします。トレーニングのモニタリングも行い、時にはドリンクの準備やボール拾いもします。練習後はケア・治療・リハビリなどを行い、明日へのミーティングをするといった流れになります」

Q6 TSRの学びが今活きていること

謙虚な姿勢、思いやりを忘れない
「先生から学んだ『トレーナーは謙虚でいなさい』『思いやりを持ちなさい』という言葉は、今でも人生の糧にしています。トレーナーというのは、マネージャーやコーチ、通訳といったチームの歯車の中の一つです。それぞれの歯車が上手くかみ合って初めてチームも機能していきます。『謙虚さ』『思いやり』というものの大切さは、実際にチームに入ってから強く実感しました」

Q7 喜びを感じる瞬間は?

チームの勝利への貢献
「やはり、プロサッカークラブの一員として勝利を目指して日々活動しているので、死に物狂いでトレーニングを重ねた結果、試合に勝って全員で喜んでいる瞬間が一番ですね」

Q8 日々心掛けていることは?

勝つ確率を1%でも上げる
「僕は常に『勝つ確率を1%でも上げられるための努力をしよう』と意識して活動しています。そうすることで、自ずと今何をしないといけないのか、次は何をするのかを思い描きながら行動することができ、それが僕ら(トレーナー)がチームにいる意味だと思っています。言われたことを一生懸命やるのは誰でもできます。先を見据えた行動が自分のためにもチームのためにもなるのかと思っています」

 
「チームが勝つ確率を1%でも上げられる」ために、多田トレーナーは選手のケアに全力を注ぐ。

試合前の週間スケジュール(アウェイゲームの場合)

試合4日前 通常業務&試合荷物準備
試合3日前 通常業務&試合荷物準備
試合2日前 通常業務&試合荷物出し
試合前日 TR後アウェイ移動、夕食後ホテルでケア(終了23:00)
試合当日 スタジアムに約5時間前に到着しトレーナースペース&ロッカールーム準備
※ナイターゲームの場合後泊しホテルでケア
試合翌日 TRM&リカバリー
試合翌々日 オフ
※病院付添、ケア等あれば出勤
★スポーツ専門学校が気になったら…footies!学校資料請求のご案内

文/緒方瑞貴
写真協力/©VEGALTA SENDAI