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夢を叶えた先輩に聞く!フィジオセラピストという生き方(中川慶彦/鹿島アントラーズ)

サッカーを仕事にする事は、プロサッカー選手になる以外にもたくさんある。
今回、登場いただいた中川さんは、鹿島アントラーズでフィジオセラピストとしてチームを支えている。自分の専門性を客観視しながら、さらなる武器を得るために選んだ選択とは? スポーツ業界の最前線で働くプロの取り組み方について伺った。

Q1 フィジオセラピストとは?

理学療法士のこと
「フィジオセラピスト(PT)とは理学療法士のことで、ケガなど身体に障害の発生が予測される患者に対し、運動機能の維持・改善を目的とした運動による治療を行います。基本的には病院に勤めて仕事をするケースが多く、総合病院だとリハビリテーション科にあたります」

Q2 現在の業務内容は?

鹿島アントラーズでPTを担当
「私が所属している鹿島アントラーズでは、メディカルチームのトップにドクターがいて、PTやトレーナーがいます。主に治療、コンディショニングに関してはPT、練習前後のケアがトレーナーの担当になります。PTの役割は試合、もしくは練習中にケガをした選手のリハビリテーションをサポートします。選手が肉離れ、捻挫、靭帯断裂などのケガをしてしまった場合、適切なリハビリを行い、走ったり、ボールタッチができる状態にまで持って行きます。他方、トレーナーはアスレティックトレーナー(AT)の資格やマッサージの資格を持っており、グラウンドでの応急処置、選手のマッサージ、テーピング、針治療等を行っています」

Q3 高校卒業後の進路は?

病院勤務からTSRへ
「高校2年次にスポーツでケガをして、リハビリをした経験が私の転換期だったと思います。父が医療従事者だった影響もあり、大学に進学してPTの資格を取得しました。大学院で修士を取り、病院で仕事をしていたのですが、あるときに『本当に自分が何をしたいか』を真剣に考えました。そこで出した結論は、この道を選んだきっかけでもある『スポーツに関わること』だったんです。しかし年間で1万人以上がPTとして活動している中、それだけでは埋もれてしまうと思いました。スポーツの専門性を身につけ、アスレティックトレーナー(AT)の資格を得るために東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)に進学しました」

Q4 TSRで学び、今に生きることは?

どんな状況でも相手を思いやる気持ち
「業界トップレベルの講師の方々から、スポーツ現場で働く者としての“マインド”を勉強させていただきました。特に印象に残っているのが、後関慎司(同校副校長)先生から『どんな状況でも、相手に対して思いやりを持ちなさい』と教わったことです。ケガ人が多く、少しでも全員に対応が行き届いていないと感じた時は、この言葉を思い返し、自分を律するようにしています」

Q5 現職の経緯は?

ドクターやPTとの関わりから
「国立スポーツ科学センターに務めていた頃、ユニバーシアードに帯同させていただくなど、サッカー選手を多く担当する機会に恵まれました。そのときに知り合ったドクターや同じPTの方とのつながりから、今季よりJリーグの鹿島アントラーズのPTとして、選手を担当させていただくことになりました」

Q6 PTとして大事にしている事は?

自身の健康管理もシビアに
「まず自分の健康管理ができていないと、この仕事は務まりません。PTとして身体能力を改善、向上させるための動作を、自分が見本となって示さなければ選手には伝わりません。トップアスリートであればあるほど、その目は厳しくなります。だからこそ、私自身も緊張感を持って、自身の健康管理、身体機能の向上に努めています。また、日によって選手の求めることは変わっていきますので、そこはチームとして、もう1人のPTと相談しながら慎重に進めています」

Q7 喜びを感じる瞬間は?

復帰した選手が躍動する姿
「私の役割は、ケガをした選手の身体機能を回復するまでリハビリ・トレーニングに付き合うことです。ですから、ケガを克服した選手が無事にピッチに戻る姿を見ることが喜びであることは間違いありません。ただ、選手がケガなくシーズンを通して戦えることが1番の理想です」

Q8 高校生に伝えたい事は?

人のために何ができるのか
「相手のために、自分は何をできるのか。その気持ちを持つことは、何もPTやATに限ったことではないと思うんです。サッカーだって1人では何もできませんよね? 大学に進学しても、社会に出ても、集団の中で『相手を思いやる気持ち』を持つことは大切です。高校生の内にその考えができるようになれば、次の一歩を踏み出す大きな原動力になると思います」

ある1日のスケジュール

7:30 出勤
8:00 ミーティング
8:30 マッサージなど選手のサポート
10:00 トレーニング開始
ケガをしている選手のリハビリ対応
12:00 トレーニング後の選手のケア
13:00 昼休憩
14:00 選手のリハビリ対応
17:30 帰宅
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