夢を叶えた先輩に聞く!フィジカルコーチという生き方。
フィジカルコーチという生き方。
前鶴 洋(ジェフユナイテッド市原・千葉U-18)
サッカーを仕事にすることは、プロ選手になること以外にもたくさんある。今回、登場いただく前鶴さんは、夢の仕事に就いた後も、専門学校に夜間で通い国家資格を取得して、現職に至ったという。「好きなことを仕事にすること」の難しさ、楽しさについてお話を伺いました。
Q1.現在の主な業務内容は?
A パフォーマンスを最大限引き上げる
「今年の3月からジェフユナイテッド市原・千葉U-18でコンディショニングコーチを担当しています。Aチーム、Bチーム合わせて46名のパフォーマンスをいかに最大化していくかが私の役割です。そのために選手のコンディションをチェックし、どんな練習・トレーニングをするのか、どれくらいの強度でやるのか、といったメニューを監督・コーチと話し合い調整しています」
Q2.サッカー歴は?
A プレーしたのは小学生まで
「小学生の頃に街クラブでプレーしていたのですが、部活動がなかったこともあって中学以降はサッカーとは別のスポーツをやっていましたね。トレーナーという職種では珍しいケースかもしれませんが、僕はサッカーに関して“見る側”でした」
Q3.トレーナーを志したのは?
A 大学2年次に人生を見つめ直した
「大学に進学し、2年生の時に『自分のやりたいことは何なのか』を見つめ直したんです。このまま普通に一般企業に就職するのか、それとも夢であるサッカーに関わる仕事を目指すのか。プレーヤーではない自分がどうしたら現場で働けるのかを考えた時に、選手を支える『トレーナー』という道があることを知りました。そこで一大決心をして、親に大学中退を申し出て、東京・スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)に進むことを決めました」
Q4.TSRで学んだことは?
A AT資格取得に仲間と取り組んだ
「スポーツトレーナー科(二年制)入学時、僕は身体に関する知識がまったくなかったので、それこそイチからのスタートでした。2年生からはアスレティックトレーナー(AT)実習を180時間受け、高校のサッカー部、社会人のラグビー部での現場実習で経験を積みました。AT資格試験に向け、学校の施設を借りて同級生と夜遅くまで実技試験の練習をし、助け合ったことは今でも思い出深いです。現在、同じチームにいる西潟亘トレーナーもTSRで同様の経験をして、今一緒に現場で働いています」
Q5.卒業後の経緯は?
A 違うカテゴリー・競技を兼任
「誘いをいただいたフットサルクラブのバルドラール浦安でキャリアをスタートしました。同時に駒澤大高のサッカー部のトレーナーもやらせていただき、社会人と高校生、サッカーとフットサルという、カテゴリー・競技の違うチームを経験したことは、今の自分の大きな軸となっています」
Q6.現場で感じたこと、努力したことは?
A 夜間で学び理学療法士を取得
「痛めた靭帯の回復期間で差異が出たり、ひねった箇所と反対側の部位に痛みを感じる等、現場では“教科書通りにいかない”場面に多く直面しました。選手を支えるために、より『身体の仕組み』を理解したいと思い、TSR姉妹校の東京メディカル・スポーツ専門学校(TMS)の理学療法士科に夜間で4年間通い、医療機関での6カ月以上の実習を経て、国家試験に合格することができました。現場でしか見えないこと、勉強して知識を得なくては見えないこと、その両面がトレーナーにはありますので、常に自分をアップデートしていかなくてはいけないと思ってます」
Q7.現職で大事にしていることは?
A コミュニケーションを第一に
「Jクラブの育成組織の命題はプロ選手を一人でも多く輩出することにあります。今はスマートフォンで予定を送ったり、連絡が簡単にできますが、テキストだけでは伝わらないことが絶対にあります。顔を見てのコミュニケーションは、僕が育成年代を担当する上で大事にしていることです」
Q8.高校生に伝えたいことは?
A やりたいことを早く見つけよう
「自分のやりたいことを早く見つけてほしいです。好きなことを仕事にすることは難しいことです。だからこそ、仕事にできたら一生続けられるものだと思っています。みなさん、それぞれの夢に向かってがんばってください」
【ある1日のスケジュール】 | |
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11:00 | 出勤・サプリメント購入など 事務作業 |
13:00 | 監督・コーチと練習内容、ウォーミングアップのメニューを調整 |
16:00 | 選手の体調チェック 練習準備 |
17:00 | トレーニング開始 ウォーミングアップを担当 トレーニングメニューの調整 |
19:00 | トレーニング終了 翌日の準備→帰宅 |