言葉がけでスキルが上がる3つのポイント②「場づくり」
皆さまこんにちは!いかがおすごしでしょうか? チームプロデューサーの丸山寛之です。
先月は「言葉がけでスキルが上がる3つのポイント」と題して、「①信頼関係の構築」、「②場づくり」、「③フィードバック」のうち、一つ目の「①信頼関係の構築」についてお伝えしました。今月は二つ目の「②場づくり」についてです。
今回は、信頼関係の構築の仕方は理解できているという前提で、次のステップとしての「場づくり」をお伝えしていきます。前回のコラムを読んでいない方は、あわせてチェックしてくださいね。
リラックスと集中の状態を作る「場づくり」
「場づくり」とは、ここでは選手を練習や試合において、選手自身の考えや、コーチなど、他の人の話を聞き、理解し、効果的な行動をとれる状態にすることを言います。そのためには、「リラックスと集中」の状態を作りだす必要があります。
人は追い詰められたりして極度な緊張状態にあると、判断力や考える力が低下します。また、寝起きのような極度にリラックスし過ぎている状態にあっても、同じように判断力や考える力は低下しています。このような状態では、いくら良い話をしても効果は上がりにくいです。
まずは一人ひとりの状態を見て、極度な緊張状態にある場合は適度なリラックス状態に、逆にかなりのリラックス状態にあるときは、適度な緊張状態に持ってくることが必要なのです。
極度のリラックス状態から気持ちを切り替えるには?
練習前に選手同士で話をして、大声で笑ったり、ふざけたりしている状態にあるようなときは、極度なリラックス状態にあると言えます。そのまま練習に突入していくと、笑いながらだったり、私語をしながらの練習になります。このような状態で練習に身が入っていないと、コーチの話の理解度も低く、練習の効果も上がらず、怪我をするリスクさえもあります。
このようなときは、練習に入る前に一旦集合させて、今後の大会やレギュラー争いであったり、個々の課題や目標を意識させるような話をしましょう。改めて自分が「なぜ、何のためにここにいるのか?」「今何をすべきか?」を考えさせる時間を作って練習に入っていくことで、極度のリラックス状態から気持ちの切替えができると思います。
極度の緊張状態をほぐすには?
逆に大事な大会で会場入りした際などは、選手がガチガチに緊張してしまっていることも多いのでないでしょうか。このような緊張状態にあるときに、コーチが戦術などの話を始めてしまうと、緊張がさらに高まってしまうこともあります。選手の心理としては、「ミスしたらどうしよう」「上手くできるかな」など、不安な気持ちになってしまうんですね。
極度の緊張状態にある選手は、コーチのアドバイスや選手同士の話し合いも十分理解しないまま試合に突入していくことになってしまいます。そうなると本来の能力が発揮されないばかりか、チームワークに乱れが生じ、本来とるべき戦略や戦術がとれなくなる可能性があります。
このような事態を避けるためにも、チーム全体や選手個人が極度の緊張状態にあると感じたときは、その緊張をほぐす必要があります。つまり、リラックスできるような話をします。もっとも簡単な方法は「雑談」です。
一番簡単な話は天気や気候です。他にも、最近遊びに行った時のことや趣味やテレビの話など、身近な話題がおすすめです。「クスッ」と笑いが出れば、尚良しだと思います。ただし、やり過ぎて「リラックスし過ぎ」にはならないように注意してくださいね。ある程度緊張がほぐれたようであれば、目的は達せられたと判断し、本来したかった戦術などの話に入りましょう。
常に選手の状態を見極め、適切な状態に導くこと
この「リラックスと集中の状態」というのは、普段の選手とのやり取りにおいても非常に重要になります。選手が「緊張し過ぎの状態」なのか「リラックスし過ぎの状態」なのか、「リラックスと緊張のバランスのとれた状態」=「リラックスと集中の状態」なのかを見極めながら接することで、適切な言葉がけができるはずです。チーム全体や個々の選手の状態にあった対応を行い、常に「リラックスと集中の状態」に選手を導くことが、「場づくり」の神髄です。
ということで、今回は「場づくり」についてお伝えして参りました。
次回以降、残りの「③フィードバック」をお伝えしたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。皆さま、お体に気を付けてお過ごしください!!