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チームプレーにも繋がる傾聴力を育てよう【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。

感染状況、感染対策の徹底により活動が少しずつ戻ってはきましたが、無観客試合が続いていたりと、サッカーの現場はまだ少し物足りない状況が続いていますね。

さて、今回のテーマは『傾聴力』です。以前より子どもと家にいる時間が増えているかと思いますので、会話の際に少し意識してみてほしいことなどを紹介します。きっと新しい発見があるかと思います。

日常生活はもちろん、サッカーでも大切な「傾聴力」

 

子ども達の感情や視点は自己中心的になりやすいものです。自分と他人が違うということ、違った感情があるということを意識し始めた段階で、少しずつ『話を聞く力』を養っていく必要があります。
なぜなら、年齢が上がり周囲を意識して日常を過ごすようになった時に、自分中心の視点や考え方しか持っていないと集団の中で自分を表現することが難しくなってしまうからです。

サッカーにおいても同様で、年齢が下がるほど個人が目立つ傾向があります。周囲との関係を上手く築けるようにならなければ、集団の中で自分のプレーを表現することが出来なくなってしまうでしょう。

さて、『話を聞く力』とは、『傾聴力』と言うこともできるかと思います。ただ話を聞くだけではなく、相手の話している表情やしぐさ、話の内容や相手の感情に寄り添いながら受け止めるように話を聴く力のことを指します。

この『傾聴力』を育てることは、周囲とより良い関係を構築するために必要になるだけではなく、自らの考えを言語化する力にも繋がります。
日常生活で必要になる力であることはもちろん、団体競技であるサッカーで活躍するためにも、とても大切な力と言えるのではないでしょうか。

子どもの傾聴力を育てるには?

それでは、子どもの傾聴力を育てるにはどうしたらいいのでしょうか? 日々のコミュニケーションの中で、次のようなことを意識してもらうといいかと思います。

子どもに質問をする

サッカーのことならよく聞いてます!という方も多いかもしれませんね。でも、ついつい熱くなって、「今日の試合は勝てた?」「ゴール決めた?」と質問攻めにしてしまったなんてこともあるかもしれません…。
結果を聞くだけの質問には、「勝ったよ」「ゴールを決めたよ」といったように、単純に結果だけが返ってきますよね。なので、少し工夫して、子ども達の表情を感じ取りながら会話を広げられるといいかと思います。

「今日のサッカーは楽しかった?」
「楽しかったよ!」
「どんなところが楽しかったの?」
「コーチにシュートを褒められたんだ!」

こうして会話のキャッチボールをしながら、子ども達が今日の自分を振り返ることが出来るといいですよね。そして、子ども達は一生懸命に話を聞いてくれる保護者の姿勢を見ているものです。アナウンサーになった気持ちでインタビューするのも面白いですよ。

子どもの話を最後まで聞く

子ども達は脳がまだまだ未発達ですから、考えながら話をすることがスムーズに出来ません。話をしたくても言葉が出てくるのに時間がかかったり、上手く話せないこともあります。

そこで大人が話を遮ってしまうと、子ども達の成長のチャンス、ここでは自分の考えを言語化する力を伸ばす機会を奪ってしまうことになります。子どもと会話をしているときは結論を急がず、ゆっくりと話を聞いてあげてくださいね。

子どもの話に共感してあげる

子ども達の話には自己中心的な考え方も沢山あると思います。大人は様々な経験を経ることで、他者の考えや視点を自分の中に取り入れて話すことができますが、当然ながら子ども達はまだまだ経験不足です。ですから、話が自己中心的になってしまうのも仕方ない側面があるかと思います。

子ども達の想いや感情を頭ごなしに否定するのではなく、まずは共感してあげることが必要です。話を聞いてもらえる経験をした子ども達は、同じように他の人の話を聞くことを覚えるでしょう。そうすれば、次第に他人の考えや視点を自分の中に取り入れることができるようになるはずです。

傾聴力を育むために必要なのは「大人の聞く姿勢」

 

質問すること、話を最後まで聞くこと、共感すること。全てに共通して必要なのは、「大人の聞く姿勢」です。子ども達は想像以上に我々大人の行動を見ているものです。だからこそ、まずは大人が『聴く』ことに向き合わなければいけません。

そして、傾聴力を育む中で一つ間違ってはいけないことが、大人にとって都合の良い子になってはいけない、ということです。
大人の話をしっかり聞いて、言われたことをちゃんと守る、これが出来るのは素晴らしいことです。ですが、『言われたことは出来るけど、言われないと出来ない』では物足りないと思うのです。
人の話を聞く『傾聴力』とあわせて、自分で考えて行動する力を身に着けられるといいですよね。

何はともあれ、まずは大人の「聞く姿勢」です。私自身も、「ゴール決めた?」とまず結果を聞きたくなる気持ちを抑えながら、「楽しかった?」と質問するようにしています。「楽しかった!」と息子が元気に答えてくれると、私も嬉しくなりますし、会話も広がっていくものです。

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル