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サッカーをする女の子は男の子っぽくなる?

こんにちは! 元女子サッカー選手の吉野です。今月もよろしくお願いします。

先日、私が社長を務める京都府京丹後市の女子サッカークラブKYOTO TANGO QUEENS全体で、SDGsに力を入れていく宣言をさせていただきました。私のクラブは多様性を受け入れ、新しい当たり前を創り出すそんな組織でありたいと考えています。

その想いを踏まえた上で、今回は、サッカーやっている女の子たちのママからよくいただく質問に答えたいと思います。

「サッカーを続けると、男の子っぽくなってしまうのでしょうか…?」

日本全国様々なところへサッカー教室をしにいくのですが、行く先々で女の子ママから

「サッカーを続けると、男の子っぽくなってしまうのでしょうか…?」

という質問を本当に本当にたくさんいただきます。

この質問を受けるたびに、『男の子っぽくなることはいけないことなのかな?』といつも思います。

確かに、WEリーグを見ても、なでしこリーグを見ても、女子サッカー界にはボーイッシュな選手が多いです。しかし、ボーイッシュな選手ばかりではないことも事実です。

私も今ではロングヘアですが、高校の頃はベリーショートにしている時期もありました。サッカーにかける情熱がそうさせたのか? 単純に髪の毛が邪魔だったのか? 理由はあまり覚えていませんが、あの頃はあまり外見のことは考えずに過ごしていたので、質問をくれるママたちが思うような「男の子っぽい子」だったかもしれません。

ですが、見た目が男の子っぽかったからと言って、私であることに変わりはありません。当時の男の子っぽい自分と、今の自分、見た目はだいぶ違うかもしれませんが、根本的な部分は変わっていないと思います。

最近では女子サッカー選手の中でもLGBTQだと公言して活動している選手もいますね。近年、多様性が認められつつある女子サッカーの世界では珍しいことではないと感じます。どの女子サッカー選手も、それぞれが“自分らしく”サッカーを続けています。

サッカーが多様性を認めてくれる場所であるように

 

さて、最初の質問に戻りましょう。
サッカーをしていると男の子っぽくなるのか、ということですが、答えはNOだと思います。先に述べたように、女子サッカー界にはいろんな個性を持った選手がいますし、どの選手も“自分らしく”サッカーを続けていてます。

もしサッカーを始めてお子さんが男の子っぽくなったなと感じるとすれば、それはその子自身が元々持っていた個性なのではないのかなと思います。サッカーをやっていたからそうなった、とかではなく、元々持っていた個性が表に出てきただけなのかなと。そして、その個性は誰かに否定されるものではないと思います。

どんな選手にも自分らしくサッカーをしてほしいしですし、自分らしく生きていってほしい。その権利に関しては、誰も否定できないことだと感じます。

それに、男の子っぽくなるのが心配だからといって、お子さんにサッカーをやめてほしいとは思わないですよね。女の子らしくたって、男の子らしくたって、サッカーを続ける権利はあるし、成長を求める権利もあると思います。保護者の方はそれを尊重して、子どもたちのサッカーを応援してほしいなと思います。

今後、ありのままを受け入れることができる日本女子サッカー界を作ることももちろん必要ですが、まずは、男の子っぽい、女の子っぽいでそのスポーツや子どもたちを判断せず、子どもたちの心をちゃんと見てあげることが必要ではないでしょうか。

みんなそのままでいいと思うのです。その子であることは、何も変わりないのだから。サッカーは多様性を認めてくれる、そんな場所であってほしいです。誰もが多様性を認め合える社会をサッカーを通して考えてみてほしいと思います。

WRITER PROFILE

吉野有香
吉野有香

元なでしこリーガー(女子サッカー選手)

愛知県出身。常盤木学園で全国大会優勝を経験後、なでしこリーグのクラブに加入。引退後に起業し、サッカー指導者やメンタルコーチ、解説MCなど、全国で広く活動している。
現在は株式会社ゆかサルを設立。京丹後市に女子サッカークラブを立ち上げ、まちおこしとサッカーを掛け合わせたプロジェクトを発足。同時に女子アスリートのキャリア支援なども行っている。

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