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「声がけの実践」の重要性と手順(プロセス)について

サカママWEBをご覧の皆さま、こんにちは! サッカーコーチ・企業研修・経営コンサルタントの丸山寛之です。

2021年が始まり早くも10日が過ぎましたが、いかがお過ごしでしょうか? コロナ感染拡大が収まらず、ついには私が暮らす東京は再び緊急事態宣言となってしまいました。せっかく再開したサッカーの活動も再び活動に制限がかかりそうです。ただ、今は感染拡大を抑えるためにできることをやるしかありません。

さて、先月までは「やる気と潜在能力を引き出す言葉がけ術!!」をシリーズで連載してまいりました。ところが、言葉がけや声がけの大切さはわかっているけど、なかなか実践できないという声を企業向けのセミナーや研修でよく聞きます。そこで、今月は「声がけ」を実践する重要性や、実践に向けての手順(プロセス)をご紹介していきたいと思います。

サッカーも「声がけ」も、実践しないと上達しない

早速ですが、皆さんに質問です!「声がけ」の実践において最も大切なことはなんでしょうか?

いかがでしょうか? いくつか思いつきましたでしょうか?

「相手によってどのような言葉をかけるか考える」
「とにかくやってみる」
「声をかけやすい雰囲気を作る」

…などなど、色々思い浮かんだのではないでしょうか。おそらく全て必要なことだと思います。その中でも、最も大切なことは「とにかく実践すること」だと私は思います。

「え、そんなの当たり前でしょ」と思ったあなた。本当に実践できていますでしょうか? 自転車に始めて乗った時のことを思い出してみてください。何度も何度もこけて、失敗を何度も繰り返した後に乗れるようになったのではないでしょうか。サッカーもそうですよね。

例えば、教室で自転車の乗り方の講義を何時間受けても乗れるようになりませんよね? サッカーの講義を何時間受けてもサッカーは上手くなりませんよね? 同様に「声がけ」も色々話を聞いたり、どんな言葉をかけようか考えたりしても、一向に上達しません。

「実践あるのみ」なのです。重要なことは「今すぐ実行に移すこと」ということを、改めて自分自身に確認しましょう!

「今すぐ行動に移すことが大切」ということは分かりましたが、そうは言ってもやはり「何て声をかければいいの?」と思っている方のために、実践に向けての手順(プロセス)の話をしたいと思います。

「声がけ」実践のプロセス!

実践に向けてのプロセスですが、いきなり素晴らしい声がけができるようにはならないかもしれません。自転車に乗ったことが無いのにいきなり自転車に乗れるようにはなれないのと同じように、良い声がけができるようになるまでにはプロセス、つまり手順があります。

では皆さんに質問です。

まず、声がけをしたい人を思い浮かべてください。その人が目の前に来て、声がけをするとしたら、まずなんと声をかけますか?

いかがでしょうか?
色々な言葉が思い浮かびましたでしょうか?
それとも何も思い浮かばなかったでしょうか?

声がけをするにあたり、まずは声がけをする雰囲気作りが必要です。

雰囲気を作るために、人と会ったときに最初に発する言葉はやはり「挨拶」や「様子伺い」ではないでしょうか。「おはよう」「こんにちは」など、笑顔の挨拶でスタートですよね。

「なんだ、当たり前じゃない」と思ったあなた。鏡を見て本当に笑顔になっているか確認してみてください。意外と自分で思っているほど笑顔になっていない場合がほとんどです。

笑顔で挨拶ができたら、次は、サッカー選手が相手なら「怪我とかしてない?」、「今日は体調問題ない?」といった様子伺いでしょう。例えば前回の練習で怪我をしたとしたら、怪我の様子を伺うということもあるかもしれません。

他には、ハイタッチや(コロナ禍の今は出来ませんが…)、練習前に早く来た選手を相手に「ちょっとボール蹴ろう」なんていうコミュニケーションもあるかもしれません。

このように、まずは笑顔で自分から声をかけて会話をすることで、話しやすい雰囲気を作ることが必要です。

笑顔で挨拶をして、話しやすい雰囲気を作り、さあ、いよいよ声がけの段階です。

サッカーの場合で言うと、選手のプレーに対して具体的な声がけをするには、「基準、あるいは方向性を示す」ことが必要になります。

例えば、練習テーマが「守備」だった場合で考えてみましょう。球際の厳しさにおいて、「相手がボールを持ったときには、必ず近い人が素早く相手にプレスをかけてボールを奪いに行こう」という一つの基準を選手たちに伝えたとします。

その基準ができた選手には、「プレスをかけて前を向かせなかった。すばらしい!」といった声がけができると思います。逆に、プレスはかけたが、ボールを奪いきれなかった選手がいたとしたら、「プレスをかけにいったのは良かった! 体を相手の前に入れて、奪いきれるようになろう!」といった声がけができますね。

このように、基準を示した上で声がけをしなければ、言われた本人も周囲の選手も「なぜ褒められているのか」、あるいは「何が足りなかったのか、何を改善しなければならないのか」ということが上手く伝わらないと思います。

ということで、声がけの手順をまとめると、以下のようになります。

  1. 雰囲気を作る
  2. 基準あるいは方向性を示す
  3. 声がけをする

これを踏まえて、後は実践あるのみです! 回数を重ねていけば、徐々に良い声がけができるようになるはずです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回はコロナの状況も鑑みてテーマを決めたいと思います。
皆さま、お体に気を付けてお過ごしください!!

WRITER PROFILE

丸山寛之

コア・エリート株式会社 代表取締役社長。 JFA公認C級コーチ、JFA3級審判員。 強いチームをつくる、チームプロデューサーとして経営コンサルティング、企業研修、講演等の傍ら東京都においてU-12の女子サッカーのトレセンコーチ、U-15の女子クラブチームのコーチを行う。また、年に数回はJFAのガールズフェスティバル等の開催にも加わり、将来のなでしこ育成に携わっている。