【SPECIAL INTERVIEW】元サッカー日本女子代表 丸山桂里奈さん
元サッカー日本女子代表の丸山桂里奈さんは、ワールドカップに2回出場し、オリンピックの舞台も3度経験。
そんな丸山さんにご自身の経験、女子サッカーの魅力や見どころをうかがってきました。サカママへのメッセージも必読です。
6年生の時に始めたサッカー
わずか1年でセレクションに合格
―まずは、サッカーを始めたきっかけを教えてください。
「もともとサッカーに興味はなかったんですけど、小学6年生の時、好きな男の子に誘われて(笑)。小学校のサッカークラブと、東京ガス(現・FC 東京)のサッカースクールに通いました。そこで、サッカーがおもしろいと思えるような練習があったり、外国人の選手が教えてくれて。サッカーが楽しい、ワクワクするという感覚があったのを今でもすごく覚えています」
―その後、読売メニーナ(日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織)に。サッカーを始めて1年でセレクションに合格したんですか?
「セレクションを受けたきっかけは、小学校卒業後、近所のおじさんに『新聞に読売メニーナの入団試験が載ってたから受けてみたら?』と言われたからなんです。会場には200人くらいいて、選ばれるのはたった10人。私はただ足が速いという感じだったので、落ちたと思っていたのですが、ほんとにたまたま受かって。そこから『もっとサッカーが上手くなりたい』と思うようになり、3年間技術をすごく学びましたね」
好きなサッカーを続けられたのは
両親が反対せず、信じてくれたから
―当時、ご両親は、どういったサポートをしてくれていました?
「練習の送り迎えやお弁当作りなど、いつも何も言わずにやってくれていたので、すごく感謝してますね。それと、両親は私がやることに反対したことは一度もないんです。サッカーを始める前に、陸上をやっていたので、じつは陸上で中高一貫の学校が決まっていて。でも、サッカーが好きで楽しいし、読売メニーナに合格したから本格的にサッカーがしたいって伝えたら『自分が決めたことを信じて進むのがいい』と言ってくれました」
―得意なことと、好きなこと。どちらを選ぶか、子も親も悩むところですね。
「得意なことは、得意な分できてしまうけれど、壁にぶつかった時に、好きなことのほうが乗り越えられると思うし、続けられる気がするんです。それに、好きだからめちゃくちゃ練習したり、誰よりも負けないように頑張ろうとする力がでてきたり。こんなにサッカーを続けてこれたのも、やっぱりサッカーが好きだったからだなって。でも、むずかしいですよね。得意で好きっていうのが一番いいんですけど(笑)」
オリンピックの舞台では
わけへだてない応援が力に
―丸山さんはオリンピックに3度出場し、2012年には銀メダルを獲得されていますよね。オリンピックの印象はどうでした?
「アテネ、北京、ロンドンに出させてもらいましたけど、母国ではなくてもみんながわけへだてなく応援してくれるんです。それが、ほんとに頑張れる力になるんですよね。東京五輪でも、応援してくれる人の力が選手の背中を押すと思うので、私は精一杯応援します!! オリンピック前には、メンバーのことなど、いろいろな声があると思うんです。でも、私たちが優勝したワールドカップの時も、予選で敗退するって言われてましたからね。だから、オリンピック前の試合で負けたり、課題があったとしても寛容にみてますし、きっとメダルを取ってくれるんじゃないかなって思ってます」
―なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)の魅力、強みは?
「最後まで諦めない、ひたむきさがあるところだと思います。それは、佐々木則夫前監督をはじめ、代々の監督も言ってましたから。全員が同じ方向を向いて一生懸命ひたむきにやるからこそ、いろいろなチームから集められても、ボールを蹴ったらすぐにわかりあえるし、まとまりもあるんだと思います。昔は、足が速い人、ドリブルが上手い人など、個々にあったけど、今はみんな上手く、技術もしっかりしています。それに、顔もかわいいですしね」
―なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)の国際親善試合「MS&AD カップ」の前に、サッカー日本代表を応援するMS&ADグループと日本サッカー協会(JFA)との共催でサッカー教室を行っているのをご存じですか?
「あや(宮間あやさん・元なでしこジャパン)から聞きました。以前、参加してましたよね。女子選手を中心とした大規模なサッカー教室で、しかも代表の監督やOGらも参加するのはなかなかないですし、すごくいい取り組みだと思います。代表の監督の言葉は子どもたちのモチベーションになるだろうし、こういうところから代表選手が何人か出たりするんですよね。あやに教えてもらえるなら、私も学びたいくらいですし!」
―最後に、サカママにメッセージをお願いします。
「お母さんたちが、お弁当を作ってあげたり、子どものために一生懸命してあげていることって、大人が考えているよりも、子どもには伝わっていると思うんです。私は6年生の時、反抗期だったこともあって、『ありがとう』とはあんまりいわなかったですけど、いつもありがたいなと思ってましたから。私がサッカーを続けてこれたのも両親が支えてくれてたおかげです。各家族で色々なやり方はあるかもしれないけれど、どのやり方が正解ではなく、家族で、こうと決めたことをやり続けていくことが、子どもがサッカーを続けることにもつながるんじゃないかと思います」
丸山さんに3つのQuestion
読売メニーナの練習がある日は、お母さんが1日に2回、お弁当を作ってくれてたんです。朝、学校のお弁当、練習前にもう1つ作って、それを電車に乗る前に届けてくれて。彼氏にお弁当1つ作るのでも大変なのに、1日2回なんて絶対無理です(笑)。
シュートのセンスがあり、仲間に決めさせてあげようという気遣いもできる選手だと思います。ボールを止めて蹴ることは、地味であっても一番大事なこと。それが確実にできる技術をしっかり持っているからこそ、なでしこを支えているんだとも思いますね。
現役の時も、今も「何でも一回チャレンジしてみよう」と思ってやっています。上手くいかない時も、もう一回やってみようって。できなかったら、それでいいし、できるんだったら、もっとやればいいし。できないかもと思ってやめるのではなくて、何でも一度チャレンジしてみることが大事だと思います。私は、サッカーを始めたのは遅かったけれど、代表になれました。どんなことでも、ほんとに信念をもって続けていれば、夢は叶うと思います。
presented by MS&ADホールディングス
写真/野口岳彦