JICAボランティア(青年海外協力隊)のサッカー隊員が感じた南米ボリビア ユース事情~第9回~

JICAボランティア(青年海外協力隊)のサッカー隊員が感じた南米ボリビア ユース事情~第9回~

サカママ読者のみなさま、こんにちは!
第9回となる今回は、ボリビアのコーチのレベルについてお届けしていきます。

南米ボリビア ユース事情
後列左から、メキシコ人、日本人3人、アルゼンチン人、チリ人
前列左から クラブ代表(ボリビア人)とボリビア人女性コーチ
(後列左から4人目が森下)

ボリビアのコーチ事情

私が滞在した2年間(2017年1月~2018年12月)だけでも様々な国のコーチが仕事を求めてボリビアに来ていました。
その理由の1つとしては、ボリビアは経済でも発展途上国ですが、やはりサッカーにおいても発展途中。外国人コーチが入りやすいよう状況になっているからです。

また、他の南米の国々と比べて重大な犯罪が少なく、比較的平和で安全な国ということもあります。家族で海外から来てコーチをしている方とも何人か知り合いました!
ですが、あくまでも周囲の中南米諸国と比べて安全というレベル。軽犯罪(スリ・窃盗・空き巣・置き引き等々)は日本とは比べ物にならないくらい頻繁にあります!!
ちなみに、私がいたスクレ市はボリビア国内でも1番安全な街といわれていて、中心街はインフラも整備されていて都会的な町でした!

あとは、選手としてプロを目指しボリビアに来た人々が、選手生活の後にコーチ業をやる場合もあるようです。
私がいたスクレ市内のクラブチームを例に上げてみましょう。少年クラスだけでも、フラメンゴというクラブにブラジル人コーチ、AMERICAというクラブにはコロンビア人コーチ、Nueva Era(ヌエバ エラ)というクラブにはアルゼンチン人のコーチがいました。

  • 南米ボリビア ユース事情

    ブラジル人コーチと

  • 南米ボリビア ユース事情

    コロンビア人コーチと

  • 南米ボリビア ユース事情

    アルゼンチン人コーチと

↑彼らは遠いアジアの日本から来た私と特に仲良く接してくれました~

コーチたちはどんな指導をしてる?

私が見た市内の育成チームの練習メニューは基本的にどこのチームも似通っていて、アップ、アジリティ系中心のフィジカルトレーニング、ゲーム、たまにスモールサイドゲーム(4vs4や6vs6)という感じでした。
ゲーム中心で、パスやコントロールの技術練習やチャレンジ&カバー等々の練習をしているところはほぼ見当たらなかったです。
ただし、ゲームではある程度できていたり、ゲーム形式のトレーニングでそういう技術の部分や個人戦術・グループ戦術についてコーチング・指導している方はいました。

南米ボリビア ユース事情
他県のクラブ代表(有名な元ボリビア代表選手らしいです)

ボリビアでのコーチ講習会

2年間の滞在の間、運良く3回ほどサッカー指導者講習会に出席させてもらうことができたました。

1回目に参加した講習会は、コロンビアから指導者育成グループを呼び開催されたもの。

南米ボリビア ユース事情スクレ市で行われた指導者講習会のチラシ

<2017年10月26~28日>
50人前後がチュキサカ県付近から参加。
ジュニオールFCというクラブが主催し、スクレ市サッカー協会も少しお手伝いという感じの講習会でした。
一応、この時はコロンビア出身の南米サッカー連盟(CONMEBOL)認定の指導者養成組織?の方が来られて実技講習を2日、講義を1日やってくれました。

南米の中でもブラジルやアルゼンチン、そしてコロンビアの裕福なビッククラブの下部組織を例にし、「トレーニング内容」や「タレント発掘のシステム」、「トレーニング機器・機材の紹介、販売」、「トレーニング風景の動画DVDの販売」等々が主な内容でした。

南米ボリビア ユース事情
指導者講習会の様子(1日目)

主催チーム(ジュニオールFC)の小学生選手をモデルにして、トレーニングの紹介・講習を実施。

南米ボリビア ユース事情
指導者講習会の様子(2日目)

主催チーム(ジュニオールFC)の中・高生選手とスクレ市の選抜チームU-16をモデルにして、トレーニングやゲーム分析の紹介・講習を実施。

  • 南米ボリビア ユース事情

    トレーニング道具&使用例の紹介1

  • 南米ボリビア ユース事情

    トレーニング道具&使用例の紹介2

南米ボリビア ユース事情
講習会、講義の一部
コートを12分割し、スペースやポジションのバランスについての説明

2回目に参加した講習会は、JFA主催のフットボールカンファレンスのボリビア版のような会。スクレ市で開催されました。

南米ボリビア ユース事情2018Congreso Científico Docente Fútbol
(サッカーコーチ科学勉強会)のチラシ

<2018年1月22~23日>
80人前後がボリビア全土から参加。
やはり、途上国のボリビア。サッカーにおいてもまだまだ南米では下位に位置し、隣接しているアルゼンチン、パラグアイ、チリあたりを参考にしている部分が多々あります。
特にアルゼンチン!この時はアルゼンチンサッカー協会から指導者育成のためにコーチがきて、講習会・研修会を開いていました。

こちらの研修では、実技によるトレーニング紹介、ケガについて、審判について、フットサルについて、女子について、少年サッカーのタレント発掘について、等々のコースを選択制で受講する形式でした。
少年サッカーのコースを受講した時に、(もちろん全てスペイン語での講義のため詳細までは全然把握できておりませんが…)才能のある子を育てようという感覚より、才能のある子を見つけて、しっかりと確保しよう!アルコールや麻薬等々にながされてサッカーをやめてしまわないように、地域で、クラブで、市や県の選抜チームでしっかりと見守ろうという印象をもちました!
教育という言葉ももちろん出ていましたが、日本で言う『トレセン制度』に近いものがまだあやふやな感じのボリビア。
「才能ある選手を伸ばす」というより、「制度をしっかりと確立し、才能ある選手を手放さないようにして行こう!!」という感じの話がメインでした。

南米ボリビア ユース事情
スクレ市内の他のクラブチームのコーチの方々と参加

また、スクレ市では今までサッカー協会認定のコーチライセンスがA級、B級、C級とあったようなのですが、それとは別に形を変えて2020年に向けてボリビアサッカー協会がコーチライセンスを設定し直すアナウンスがあった際は、講習会会場で反対意見がとても多く少し混乱がありました。
しっかりとした説明ができない・しない協会側と、好き勝手に自分の意見を主張するコーチ陣の攻防はラテンの国ならではと思いました。。。(しかも80~100人前後の会場で行われる 汗)

ボリビアのサッカー事情を語ってみて…

話は少し変わり…。
メキシコのパチューカの支部がラパスにできたり、アルゼンチンのボカジュニアーズの支部がスクレにできたりしていましたが…

南米ボリビア ユース事情

昔から海外の有名チームの名前を借りるだけのチームが多く、2・3年で撤退してしまうと私の上司のレオナルドさんは言っていました。
日本では海外有名チームの哲学やメソッドを取り入れて、まじめにやっているチームも多々あると思いますが、、、
ボリビア国内の海外有名チームにおいては、まだそこまで信頼や持続力、継続力はないような感じで、有名な名前を使えば選手が集まりやすい、ただそれだけのような雰囲気がありました。(今後はわかりませんが…)

南米最貧国であり、南米サッカー連盟所属10ヵ国中最下位のボリビアの「サッカーのレベル・様子」や、「サッカーコーチのレベル・様子」を語っていると不思議な感覚になります。
簡単に一言で表現するなら、「日本より低い」と言えますが、20~30年前の日本?!と感じる部分も多々あるのです。また、南米の国(サッカーが国技の国)だけあり、ブラジル、コロンビア、アルゼンチン、チリ、ペルー、ウルグアイ、パラグアイといった強豪国の情報、システム、道具、価値観、考え方や方法が日本よりも早く入ってきていて、レベルが高いと感じる部分もありました。

さて、次回はボリビアの「学校の様子」を体育の時間を中心にお伝えしたいと思います。お楽しみに!

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