夢を叶えた先輩に聞く!トレーナーという生き方。田中雅哉(ヴァンフォーレ甲府)
サッカーを仕事にする事は、プロサッカー選手になる以外にもたくさんある。今回、紹介するのはヴァンフォーレ甲府でトレーナーを務める田中さんです。アカデミーからプロ、幅広い年代の選手と関わるなかで得た学びや、選手をサポートするうえで心掛けていることについて伺いました。
Q1 スポーツとの関わりは?
選手に駆け寄るトレーナーに憧れ同じ道を志す
「Jリーグのトレーナーだと珍しいんですけど、実はサッカーをプレーしたことがなくて。ずっとバスケットボールをしていて、中学、高校くらいのときからスポーツを見るのも好きでした。バスケとか、それこそサッカーの試合をよく見ていて、その中で、選手が倒れたときに駆け寄ってくる人を見て『あれ、なんかかっこいいな』と思ったんです。調べてみると、アスレティックトレーナーという職業だとわかり、自分も同じように選手を支えるトレーナーになりたいと思うようになりました」
Q2 高校卒業後の経緯は?
国家資格取得後、TSRへ
「高校1年生のころからトレーナーという職業を目指していたので、卒業後に最初は柔道整復師の国家資格を取るための学校に進学しました。そこに3年通った後、目標のトレーナーとして働くために必要なアスレティックトレーナーの資格取得や、就職実績などがある東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)へ進学しました」
Q3 TSRで得られたことは?
インターンで実践的な経験を積む
「インターンでさまざまなスポーツの現場に行くことができました。実際に選手のマッサージをさせてもらったり、ストレッチの補助、さらにグラウンドで起きたケガの対処を近くで見させてもらえました。そういう実践に近い学習ができるのは、TSRに入ったからできた経験だったと思います」
Q4 現職への経緯は?
競技経験のないサッカークラブへ
「トレーナーを目指したときから『この競技に就きたい』とかはなかったんですけど、逆に自分がやったことのないスポーツで働いてみたいなという気持ちがあったんです。そして2年生の12月ごろ、地元のサッカークラブであるヴァンフォーレ甲府から『アカデミーのトレーナーを探している』というお話をいただいて、就職させていただきました。2年目からトップチームのトレーナーとなり、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に帯同させていただくなど、貴重な経験ができましたね」
Q5 現職の業務内容は?
信頼関係が大事な仕事、自分から動くことを意識
「練習前は選手のストレッチやマッサージを行い、練習中はグラウンドでモニタリング、そして練習後のケアやリカバリーを手伝うという流れです。アカデミーでは、小学生から高校生年代までトレーナーが自分一人だったので、コーチや監督といったスタッフ全員で協力して選手を見ているという感覚でしたね。当時の経験があるからこそ、トップチームでも周りを広く見ながら動くことができているのかなと思います。働いていて感じるのが、選手って良い意味でも悪い意味でも人を見ているので、自分が頼れるっていうふうに心を開かないと、なかなか相談してくれないんですね。子どもたちだけでなくプロの選手もそうなので、信頼を得るために自分からいろいろ話しかけに行くことは意識してやっています」
Q6 やりがいを感じる瞬間は?
サポートした選手の復帰や感謝の言葉をかけられたとき
「やっぱり試合に勝ってケガ人がいなかったときが一番嬉しいですね。試合に勝ってもケガ人が出てしまうと、本人と同じくらい落ち込んだり、どうにかして防げなかったかなという気持ちになります。それでも、ケガをして試合に出られなかった選手が活躍したり、いつもケアしている選手が『今日すごい調子よかったよ』みたいな声をかけてくれたときは、やりがいを感じますね」
Q7 高校生へ伝えたいこと
将来のためにいろんな経験を
「僕自身、高校生のころは勉強一筋でこれだけに集中するっていう感じじゃなくて、部活や友達との関係だったり、恋愛だったり、いろんなことに取り組んでいました。そのなかで培った人間関係やコミュニケーションのスキルは、絶対に大人になってから生かされていると思うんですね。いろんな経験をしていくことは視野を広げることにもなるので、結果的に将来の選択肢を増やすことにもつながると思います!」
ある一日のスケジュール
07:00 | クラブハウス到着/準備 |
08:00 | 練習前の選手のケア |
10:00 | 練習 |
12:00 | 練習後の選手のケア |
15:00 | メディカルのミーティング |
16:00 | 帰宅 |
写真協力/ヴァンフォーレ甲府