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サッカーを続けるために今すぐ知ってほしい! 女子サッカーのリアル

サッカーを続けるために今すぐ知ってほしい! 女子サッカーのリアル

パリ五輪での活躍など世界を舞台に躍進を続けるなでしこジャパン。代表チームとは対照的に、中学生になるとサッカーをやめてしまう女子は多いそう。でも、今、女子もサッカーが続けられる環境づくりや活動が行われているのを知っていますか?女子サッカーの普及や活動を支える4人のアツイ想い、ぜひ一読を!

U-15からの「みやきなでしこクラブ」を立ち上げ、全国大会に初出場

WEリーグ コミュニティオーガナイザー 海堀あゆみさん

現在はWE リーグのコミュニティオーガナイザーとして、たくさんの人にWE リーグをはじめ女子サッカーを知ってもらい仲間を増やせるよう女子サッカーの普及活動をメインに全国を駆け回っています。私のポジションはゴールキーパーだったので、ゴールキーパーの魅力を伝えることで、新たな目線でのサッカーの魅力を発信したいですね。仲間と連携してディフェンスをしっかりすれば防げないボールはないし、仲間と連携して止めた時の喜びは特別です。W杯で優勝だってできるんです! 普及活動を通して「キーパーをやりたい」という子が一人でも増えたら嬉しいですね。

2020年から3年間「女子サッカーによる町おこし」を掲げる佐賀県みやき町のスポーツ政策ディレクターを務めさせていただきました。女子サッカーを軸にスポーツで町の活性化を目指し、将来なでしこリーグ・WEリーグ入りを目指す、みやきなでしこクラブの立ち上げから関わらせていただきました。

育成を大切にしたいという思いと、女子サッカーはU-15 世代でサッカーを続ける環境が少ないというところからクラブはU-15 から立ち上げ、選手の頑張りはもちろんですが、いろんな人の協力で今年度より九州リーグ2部に参入し、U-18、U -15で全国大会に初出場するまでに成長し、今年のSAGA2024 国スポ・全障スポ(旧国体)にも選手が何名か出場する可能性があると思います。

佐賀県内で高いレベルを目指しサッカーを続けられる環境ができたことは、女の子たちがサッカーを続ける中で一つ選択肢が増えたのではないでしょうか。地域によって課題は様々ですが、この経験を一つのモデルケースとして女子サッカーの普及・発展につなげていければと思っています。

WEリーグ コミュニティオーガナイザー 海堀あゆみさん

WEリーグ コミュニティオーガナイザー 海堀あゆみさん

元サッカー日本女子代表。2011年にドイツで開催された女子W杯では日本の初優勝に貢献。現在はWEリーグのコミュニティオーガナイザー、なでしこリーグ理事を務める。

女子の「U-12→U-15の壁」をなくしていきたい

JFAコーチ関東女子担当チーフ 仲野浩さん

女子サッカー全体のJFA登録数は2023年末時点で5万2083人、全体のわずか6.2%となっています。中学年代にいたっては、10年前と比較して中体連の登録選手数の減少率(-38.5%) が示す通り 、小学生から中学生に上がるタイミングでサッカーを辞めてしまう子の割合が多くなっています。

JFA としてはこの3種(13歳~ 15歳)の女子登録数のへこみの解消はもちろん、サッカーを始める4種(12歳未満)の子どもたちを増やしていくことが女子選手全体の増加につながると考えています。 実は近年の調査で中体連(日本中学校体育連盟)に所属している女子選手、つまり部活動の男子チームの中に混ざってサッカーを続けている女子選手が、一定数いることがわかってきました。

大事なのはこれら共通の悩みを抱える子たちをいかに大事に扱っていくか。JFAでは、中学校女子選手を対象とした中学校女子サッカー部フェスティバルを全国で開催してきました。また、都道府県サッカー協会(47FA)でも、中体連に所属している選手を集めて合同練習会を行っています。

女子同士がチームで活動することの楽しさを地元に持ち帰り、選手活動を継続してもらう。その人数を一人でも増やすことが、中学校の女子サッカー部の増加につながっていきます。誰もが自分のレベルにあった環境で取り組めることが、本来あるべき姿なのです。

中学部活動の女子サッカー部は生まれづらい傾向にありますが、実際に埼玉県、沖縄県では盛んに女子の部活動が行われています。その成功例を部活動地域移行の活動に生かしていくなど、課題克服のチャンスはまだたくさんあると思っています。

JFAコーチ関東女子担当チーフ 仲野浩さん

JFAコーチ関東女子担当チーフ 仲野浩さん

2015年からナショナルトレセンコーチ関東女子担当(現JFAコーチ関東女子担当)を務め、2022年から同チーフ、EAFF U15女子選手権2024で監督を務めた。

イベントには育成・普及だけでなく、人を巻き込む大きな力がある

茨城県サッカー協会女子委員長兼女子サッカー普及コーディネーター 廣原啓二さん

茨城県サッカー協会(IFA)女子委員長として、年代別のリーグ戦や年間を通じた試合環境の整備はもちろん、他県との交流を注力してやってきました。しかし現在、茨城県に女子チームは30弱ほどしかありません。県内の女子サッカーの選手数は現状維持を保っていますが、中学年代のチームは増えておらず、減少傾向にあります。今年から始動するJFAとMS&ADインシュアランスグループの価値共創事業「JFAxMS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクト」の話を伺い、声を挙げさせていただきました。

プロジェクトの立ち上げに合わせて、茨城県で11月17日に部活動改革に関する全国の取組みとその課題や解決策について情報を発信する「JFAxMS&AD 地域スポーツ改革カンファレンス」と、中学校女子選手を対象とした合同練習・交流試合「JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”フィールド(以下、なでしこ“つぼみ”フィールド)」が開催されることになりました。

今回のなでしこ“つぼみ”フィールドは、男子に混じってサッカーをする子に、女子だけでサッカーをする環境を経験してもらい、高校までサッカーを継続してもらうことを目的としています。こういった場に来ること自体勇気がいることですが、知らない子たちでもボールを蹴るとすぐ仲間になって、チームとして活動することができるのが女子選手の特徴でもあると思います。

大きなフェスティバルは選手普及の効果はもちろん、関わる人を巻き込んでいく力があります。今回の貴重な時間を“継続”へとつなげていきたいですね。

茨城県サッカー協会女子委員長兼女子サッカー普及コーディネーター 廣原啓二さん

茨城県サッカー協会女子委員長兼女子サッカー普及コーディネーター 廣原啓二さん

2003年女子チームの東小沢FC バンビーナを創設、現在も監督を務める。2018年から茨城県サッカー協会(IFA)女子委員長、2021年から現職。

日本女子の強みを伸ばせば世界のトップに負けない

女子サッカーにフィジカルコーチとして関わるようになったのは、2020年に大宮アルディージャを退団した直後に、JFAからU-16/U-19日本女子代表を担当するお話をいただいてからです。選手がケガをしないように積み上げていくのがトレーナーだとしたら、理想のパフォーマンスから逆算して、今何をすべきかを選手に示唆していくのがフィジカルコーチだと思っています。

背の高い欧米の選手に勝つには相手の懐に入っていってぶつかっても負けない身体づくりをしなくてはなりません。例えば1年後にオリンピックが控えている状態で、その目標を達成するために何に取り組むべきなのかを明確に話してあげる。意識は変わっても身体はすぐには変わりませんからね。綿密な計画を立てる必要があります。

これは女子スポーツ界全体にも言えることかもしれませんが、伸びしろがまだたくさんあると思っています。昨年の女子W 杯でなでしこジャパンが証明したように、欧米の選手の直線的な動きに対してターンで切り返したり、動き続けたりという部分では世界でもトップのスキルを持っています。僕も育成年代から女子サッカーと関わるようになって積み上げてきたものがありますし、この強みを伸ばしていけば、世界にも通用するだろうと思っています。

※取材内容と肩書は2024年7月時点のものです。

なでしこジャパン フィジカルコーチ 大塚慶輔さん

なでしこジャパン フィジカルコーチ 大塚慶輔さん

2000年に日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの資格を取得、筑波大学大学院体育研究科を経て複数のJ リーグのクラブでフィジカルコーチを担当。2021年から現職。

★さらに詳しい4人のインタビューはこちらの記事で公開中!!
※4人のインタビューは2024年6月、10月に行いました

「JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクト」を始動!

11月から開始した「JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”プロジェクト」。本プロジェクトは、JFAとMS&ADインシュアランス グループが自治体などと連携し、中学生年代女子の受け皿となる地域クラブ創設や運営などをサポートするもの。その第一弾として、11月17日(日)に茨城県水戸市で「JFA×MS&AD なでしこ“つぼみ”フィールド」(交流試合)を開催。

当日は茨城や栃木、千葉、さらに能登の生徒が参加し、ゲストには、宮間あやさんや鮫島彩さんなど元なでしこジャパンのレジェンドが多数集結。さらに、佐々木則夫JFA女子委員長も参加し、試合では巧みなプレーを見せてくれました!

Photo:©JFA

写真/金子悟

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