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元選手・スタッフが語る「なでしこジャパンのみらい」

元選手・スタッフが語る「なでしこジャパンのみらい」

7月26日(日本時間)から開催されるパリ五輪2024女子サッカー。大一番を目前に控え、なでしこジャパン(日本女子代表)、そして日本の女子サッカー界を支える方たちにインタビュー! 元W杯優勝メンバーと現役の日本代表を支えるフィジカルコーチに、チームの魅力はもちろん、舞台裏や女子サッカーの未来について語っていただきました!

一人でも「キーパーをやりたい!」という子を増やしたい

海堀あゆみ(WEリーグ コミュニティオーガナイザー)
1986年、京都府出身。小学2年時からサッカーをはじめ、高校3年時にスペランツァF.C.高槻(現:スペランツァ大阪)に加入。2008年になでしこリーグ(当時)のINAC神戸レオネッサに移籍。2011年にドイツで開催された女子ワールドカップでは、日本代表の正ゴールキーパーとして6試合全てでゴールを守り続け、日本の初優勝に貢献。引退後には、慶應義塾大学総合政策学部に入学。現在はWEリーグのコミュニティオーガナイザー、なでしこリーグ理事として、女子サッカーやスポーツの普及、発展に尽力。

現在はWEリーグのコミュニティオーガナイザーとして、たくさんの人にWEリーグをはじめ女子サッカーを知ってもらい仲間を増やせるよう女子サッカーの普及活動をメインに全国を駆け回っています! 普及活動を通じてサッカーに触れるきっかけづくりのお手伝いができればと思っています。あと個人的には私のポジションはゴールキーパーだったので、ゴールキーパーの魅力を伝えることで、新たな目線でのサッカーの魅力を発信したいですね。たしかに特殊なポジジョンだし、チャレンジする機会が少ないと思います。失点したら目立つとか、背が高くないと務まらない、といったネガティブなことよりもいいところをもっと知ってもらいたいです。私は身長がそこまで高くなかったので、どれだけ頑張ってもボールが届かないコースがありました。仲間と連携してディフェンスをしっかりすれば防げないボールはないし、仲間と連携して止めた時の喜びは特別です。W杯で優勝だってできるんです! 普及活動を通して「キーパーをやりたい」という子や「キーパーを通じてサッカーが好きになった!」が一人でも増えたら嬉しいですね。

私がより女子サッカーの未来について考えるきっかけになったのは、宮間あや選手が残した「女子サッカーがブームではなく文化になっていけるように」という言葉です。私自身W杯を優勝し、かつこの言葉に心を動かされ「文化になるってなんだろう?」とものすごく考えさせられました。ドイツW杯ではサッカーが生活の一部となっていて国民の関心事になっているし、カナダW杯では“お祭り”のようなすごいエネルギーで会場が満たされているなと感じました。まだ文化という言葉について模索している段階ではありますが、そんな空間を日本でもつくりだすことができれば、女子サッカー、ひいては女子のスポーツを取り巻く環境も変わっていくと思っています。私一人では無理ですが、JFAを通じて想いを一緒にする仲間たちと手を取り合って協力していけば実現すると信じています。

2020年から3年間「女子サッカーによる町おこし」を掲げる佐賀県みやき町のスポーツ政策ディレクターを務めさせていただきました。女子サッカーを軸にスポーツでまちの活性化を目指し、将来なでしこリーグ・WEリーグ入りを目指す、みやきなでしこクラブの立ち上げから関わらせていただきました。「なでしこジャパンは知ってるけど、なでしこリーグ・WEリーグがこんなにも遠い存在なんだ……」と最初は驚きました。私は家から1時間圏内に当時日本のトップリーグ(L・リーグ)に所属していた下部組織があり、将来サッカー選手を目指すには恵まれた環境にあったと、色んなところに行かせてもらい感じました。育成を大切にしたいという思いと、女子サッカーはU15世代でサッカーを続ける環境が少ないというところからクラブはU15から立ち上げ、選手の頑張りはもちろんですが、いろんな人の協力で今年度より九州リーグ2部に参入し、U-18、U-15で全国大会に初出場するまでに成長し、今年のSAGA2024国スポ・全障スポ(旧国体)にも選手が何名か出場する可能性があると思います。佐賀県内で高いレベルを目指しサッカーを続けられる環境ができたことは、女の子たちがサッカーを続ける中で一つ選択肢が増えたのではないでしょうか。地域によって課題は様々ですが、この経験を一つのモデルケースとして女子サッカーの普及・発展につなげていければと思っています。

今のなでしこジャパンは池田太監督を中心にすごくいいチームだし、世界のトップに近いところにいると思います。私の注目はやっぱりキーパーですね(笑)。山下杏也加選手(INAC神戸レオネッサ)は長い間、なでしこジャパンをけん引し世界にも引けをとらない実力者だし、平尾知佳選手(アルビレックス新潟レディース)の抜群の安定感はなでしこジャパンの大きな武器です。パリ五輪は大きな大会だし、良いときもあれば悪いときもありますが、色んな思いをぶつけてみんなの心に届くようなサッカーができると、結果がついてくるんじゃないかと思います。終わった時に“最初よりも試合を重ねるごとにいいチームになったね”と言われるくらい成長してくれると思います。やはり女子サッカーを多くの人に知ってもらい”女子サッカーを文化”にするには、なでしこジャパンの選手たちの活躍が不可欠です。これからも彼女たちの活躍を応援しています。みなさんもぜひ彼女たちにエールを送ってください!

 

日本女子の強みを伸ばせば世界のトップに負けない

 

大塚慶輔(なでしこジャパン フィジカルコーチ)
1977年、北海道出身。国際武道大学卒。2000年に日本スポーツ協会公認のアスレティックトレーナーの資格を取得し、筑波大学大学院体育研究科を経て複数のJリーグのクラブでフィジカルコーチを担当。2021年から「なでしこジャパン」のフィジカルコーチに就任し、選手のフィットネス強化に努める。AFCフィットネスコーチレベル2取得。

女子サッカーにフィジカルコーチとして関わるようになったのは、2020年に大宮アルディージャを退団した直後に、JFAからU-16/U-19日本女子代表を担当するお話をいただいてからです。当時U-19日本女子代表監督だった池田太さんが、なでしこジャパン(日本女子代表)の監督に就任したタイミングで、「一緒にやってもらえないか?」とお誘いをいただきました。僕にはフィジカルコーチとしての価値を感じることが大きく2つあって、一つは監督から直接指名をいただけること、そして選手から「大塚さんとやってきてよかった」と言ってもらえることにあります。ビッグクラブだから、J1リーグだから、という「どこ」ではなく、フィジカルコーチとして「誰」と取り組むかを信条としています。

選手がケガをしないように積み上げていくのがトレーナーだとしたら、理想のパフォーマンスから逆算して、今何をすべきかを選手に示唆していくのがフィジカルコーチだと思っています。背の高い欧米の選手に勝つには相手の懐に入っていってぶつかっても負けない身体づくりをしなくてはなりません。例えば1年後にオリンピックが控えている状態で、その目標を達成するために何に取り組むべきなのかを明確に話してあげる。意識は変わっても身体はすぐには変わりませんからね。綿密な計画を立てる必要があります。
クラブチームであれば選手の取り組みをずっと見ることができますが、代表チームではそうはいかないし、もし選出されなかったら見ることもできません。そのジレンマは当然ありますが、なでしこジャパンの選手たちは僕の目の届かないところでもしっかり継続してくれる印象があります。これは女子スポーツ界全体にも言えることかもしれませんが、伸びしろがまだたくさんあると思っています。昨年の女子W杯でなでしこジャパンが証明したように、欧米の選手の直線的な動きに対してターンで切り返したり、動き続けたりという部分では世界でもトップのスキルを持っています。僕も育成年代から女子サッカーと関わるようになって積み上げてきたものがありますし、この強みを伸ばしていけば、世界にも通用するだろうし、金メダルを取れるチャンスは十分あると思っています。

★2人の単独ロングインタビューはMS&ADインシュアランスグループサイト「歩みをとめない者たち」でも掲載予定です。ぜひ一読を!

★7月13日(土)に、なでしこジャパン国際親善試合「MS & ADカップ2024」を開催。女子W杯の前に、チェックしておこう!

写真/金子悟、Getty Images

MS&ADインシュアランス グループはサッカー日本代表を応援しています。

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