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行き詰まったときに見直したい「目標達成に向けた考え方」

行き詰まったときに見直したい「目標達成に向けた考え方」

元プロサッカー選手で現在はメンタルトレーナーとして活動する山下訓広さんによる連載第29回目。目標達成に向けて努力しているとき、成果がなかなか実感できず壁にぶつかることがあると思います。そういったときには、今の自分に必要なことを考え直してみることが大切です。

目標達成に向けた考え方

中学生のA君からこんな相談がありました。

A君:「目標設定をして取り組んでいるのですが、なかなかレベルアップしている気がしません。モチベーションは高く日々取り組めているのですが、思ったとおりに成長できている気があまりしないです。どうしたらいいですか?」ということです。

私も同じような経験があります。このとき、どのように目標に対しての道のりを考えていくと、よりスムーズに自分の成長を感じながらやるべきことを整理できるのかご紹介していきたいと思います。

まずA君の目標と現状について聞いてみました。

A君:「プロサッカー選手になることが目標です。そのために、自分のチームでスタメンとして出られるように今努力しています。今は途中出場が多くスタメンになるためには評価されなくてはいけないので、自分の苦手とするプレーのレベルアップを意識しています。僕はパスが苦手なので、今より正確に失わないパスを出せるように日々練習に取り組んでいます」

そこでどんなことに取り組んでいるのか聞いてみました。

A君:「パスを受ける前に周りを見ることを心掛けています。練習後にも正確に蹴れるようにパスのトレーニングをしています。少しずつ良くなっている気がするのですが、評価につながっているか分からなくなるときもあります」

ちなみにA君の得意なプレーは何ですか?

A君:「ドリブルです。ドリブルは好きでよく仕掛けます。ドリブルはある程度評価してもらえていると思っています。でもパスが苦手なので、まずはパスをより質の高いものにしないと試合に出られないと思います」

目標達成のために、現状の自分に必要なこと

A君は試合に出ることを目標にして取り組んでいました。このとき目標のために必要なことを自らピックアップして取り組んでいるようでしたが、ここでA君にこんな質問をしてみました。

評価されないと試合に出られないと言っていましたが、監督が求めることとはどんなことですか? どんな選手が評価されていますか?

A君:「ディフェンスをしっかりできることが大切かなと思います。あと僕はサイドハーフなのですが、チャンスのときにしっかりスペースに走り込めることも求められている気がします」

となると、今自分が試合に出るために必要なことはどんなことがありそうですか?

A君:「運動量な気がします。ディフェンスでも攻撃の場面でも走り込んで行けることかな。あとはチャンスのときにドリブルなどでもっとチャンスを演出できれば、もっと評価につながる気がします」

それでは目標達成のためにどんな取り組みが必要そうですか?

A君:「前からディフェンスに行くことと、チャンスの場面で走り込んで行けることかもしれません。体力には自信があるので練習や試合でやってみます!」

すると1カ月後こんなご報告がありました。

A君:「スタメンで出られる回数がかなり増えました。自分がやっていることが評価につながっていることが実感できました」

今の自分が直すべき課題を整理すること

目標達成するために必要なことを考えてみると、たしかに苦手の克服も大切な一つになると思います。しかし今の自分の状況で必要なことを考えてみると、違う課題が見えてくることがあります。

スタート地点から見るゴールまでの道のりと、ゴールからスタート地点を見る道のりは違って見えることがあるということです。今回は試合に出るために評価されることをゴールとして考えました。A君は現在の自分から見て苦手克服が目標達成に必要と考えていましたが、評価されて試合に出るために必要なことを考えたときに、運動量という課題が見えてきたということです。

レベルアップ(成長)していくうえで自分の課題の整理ができていることがとても大切になります。お子さんが成長に困っているとき、このような視点から声掛けしてみると頭の中がより整理され、よりレベルアップしやすい環境づくりができると思います。ぜひご参考にしてみてください。

WRITER PROFILE

山下訓広

1986年5月29日、千葉出身
流通経済大学付属柏高等学校、流通経済大学卒業後、J2 ロアッソ熊本に入団。
ロアッソ熊本退団後、シンガポール、ミャンマー、インドネシアと東南アジアでプロサッカー選手として活躍し11年間のプロ生活を経て、現在は株式会社43Labに所属しメンタルトレーナーとしてトップアスリート、ビジネスマン、ジュニアアスリートに向けたメンタルトレーニングを行っている。

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