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【レポート】サイエンスxデジタルを使ったサッカー脳の鍛え方

【レポート】サイエンスxデジタルを使ったサッカー脳の鍛え方

元サッカー日本代表の太田宏介選手と早稲田大学で物理の研究をしている田中香津生先生を迎えて行ったSTEAMサカママイベント。ここでは、2対2の崩し方をサッカーでの動きとサイエンスの側面からご紹介します。

サッカーの動きは計算で導くことができる!サイエンスの力が加われば頭脳プレーヤーに

今回のSTEAM サカママイベントでは、サイエンスとデジタルを用いて、2対2の時に、どのように相手を崩すか、守備をするかなどを太田選手と田中先生がレクチャー。「運動神経は才能だと思いがちですが、人の動きを計算することによって同じことができるようになるんです」と田中先生。ブランコに乗れなかった田中先生は、乗る時の動きを計算したことで克服できたそう。実はサッカーの動きも計算することができ、それがわかるとプレーの幅が広がることに!

「近年は、世界のトッププレーヤーもデジタルを活用したり、科学的な分析がないと戦えなくなってきている時代。だからこそ、サッカー選手もサイエンスを理解し、パソコンが使えることが必要になってくると思います。サッカーが好きでサッカーを楽しむ能力がある子どもたちに、サイエンスの力が加われば、頭脳プレーヤーになれる可能性も。サイエンスを習得すれば、いろいろなことが楽しめるようになるので、小学生の頃から、サッカーとサイエンス、デジタルを結び付けた体験をしてほしいと思います」(田中先生)。

講義、トレーニング、ワークショップ、試合を行い、頭と身体を使ったイベントに。

STEAM教育とは?

Science, Technology, Engineering, Art, Mathematics などの各教科での学習を実社会での問題発見・問題解決に活かしていくための教育手法。STEAMサカママイベントは、スポーツ教育の新しいあり方としてSTEAMSports Laboratory 監修のパスコースと算数の関係を可視化するサッカー教材の開発などに携わる田中香津生先生協力のもと実現。
※参考:株式会社 STEAM Sports Laboratory

基本の2対2の崩し方

ワンツーでの崩し方

DFの2人が近づいてきたタイミングで、へパス。その瞬間、DF の2人は、パスをされた方に意識がいき、へボールを取りにいこうと動き始めます。その時、DF の2人の距離がずれ出したタイミングで、DF2人の足が届かないスペースがあれば(青い〇が重なっていない場所)、へ再度パスをすることで、ワンツーが成立。

ドリブルを使った崩し方

とはの間へドリブルを行うことで、をマークするのか、にボールを取りに行けばいいのか迷います。へのマークを選択した場合、はのズレが起こり、スペースが空きます(青い丸の間が空く)。そのタイミングを逃さず、へパスを出し(はの間にパス)、の背後を取ってゴールに近づくことができます。

相手のプレーの“その先”を考えることを習慣に

味方にパスを出したら相手はどうよせてくるか、 スペースはどこが空くかなど、その先まで考えながらプレーすると、プレーの幅や視野が広がり、いろんな選択肢が持てるようになるので、よりサッカーが上手くなり、楽しくなると思います。

太田宏介選手

太田宏介選手

元サッカー日本代表、FC町田ゼルビア所属。

太田選手のボールスピードは時速151km!

「PKの時、ボールの時速やGK までの距離がわかれば、決まる可能性が高くなるのでは⁉」という田中先生の考えをもとに、ボールスピードを測ってみることに! 距離を測り、シュートしたシーンをdynabookのパソコンで撮影して時間を出し、時速を計算。なんと太田選手は、軽くシュートをした際で時速63km、本気でキックした時は、時速151kmという結果に!

2対2の守備のスペース(円)は計算できる!

パスを通せるスペースの計算方法とは?

2対2の時、守備の選手のスペース(相手のボールが取れるスペース)は、ボールの速さと距離の比率から物理の式(メネラウスの円※)を使うと計算できる!
※メネラウスの円は、高校生の物理で習う内容です

田中先生考案のスペースの計算ができるデジタルシミュレーションを使うと…

ボールを蹴る位置により、円(守備)のスペースは変化。この位置からボールを蹴ると、守備の選手の円は重なってしまい、パスが通せるコースは存在しないことに。

この位置からボールを蹴ると、青い円の間に隙間ができるので、ゴールが狙いやすい(パスが通しやすい)ことに!

僕が感覚で身に付いていたプレーが計算で出せるとは!数年早く知りたかった‼

サイエンスの力を使えば、さらにサッカーがおもしろくなる!

こんなふうにサッカーで動ける範囲も、計算を使って出すことができるんです。守備のスペースがわかれば、ボールを取られずにすむ可能性は高いですよね。2対2をする時に「相手が何mまで近づいたら、ボールを蹴る」ということを意識しながら練習すると、円の考え方にも結び付きやすいと思います。サイエンスの力を使えば、よりサッカーがおもしろくなるはずです。

田中香津生 先生

田中香津生 先生

早稲田大学理工学術院総合研究所の主任研究員(研究院准教授)。専門は素粒子や宇宙などの物理の研究。STEAM Sports Laboratory監修のパスコースと算数の関係を可視化するサッカー教材の開発などに関わっている。

dynabookのパソコンを使いボールの動きを考察

PKや2対2のトレーニングの後は、dynabookのパソコンで撮影した映像を確認しながら、ボールの動きを考察。どんなふうに突破したかをペンツールなどを使用して書き込み、振り返りを行いました。また、その内容を発表し、太田選手と田中先生がアドバイス。「サッカーをしながら考えたことを言葉にできるのは、本当に素晴らしい!」と太田選手からのコメントも!

鳩貝 淳さん

鳩貝 淳さん
円を使ったスペースの説明は、子どもたちも視覚で理解でき、わかりやすかったと思います。息子の2対2のプレーを見ていると、普段よりもスペースを使った動きを意識してやっているように感じました。好きなサッカーのことだからこそ、よりパソコンにも興味を持って取り組めていたように思います。

鳩貝 空くん(小6)
2対2の時に、太田選手が教えてくれたことや、田中先生に教わった相手には自分がカットできる円があるというのを意識し、タイミングを見てパスを出すことができました。算数とサッカーが繋がっていることが少しわかった気がします。


片山芳江さん

片山芳江さん
サッカーのことは全くわからないのですが、田中先生がスペースを円で表してくれたのは、わかりやすかったですし、講義の内容もとてもおもしろかったです。最後、田中先生が試合に参加されたのですが、キーパーをやりながらも、いろいろ考えて動いているんだろうなと思って見ていました(笑)。

片山空駆くん(小4)
2対2のトレーニングでは、相手を引き寄せてスペースをつくってパスを出したり、教えてもらったことが実践できました。すごく楽しかったです!

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写真/奥西淳二

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