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成長に繋げていくミスの処方箋とは?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

成長に繋げていくミスの処方箋とは?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆様、こんにちは。大槻です。

ついに夏休みに入りましたね!夏休みの予定は、サッカーの遠征や合宿もあると思いますが、たまにはサッカーから離れて思い切り夏を楽しむのも必要な時間のような気がします。サッカーのみならず屋外では異常な暑さを感じる日もありますから、子ども達の体調管理だけでなく保護者の皆様も気を付けてくださいね。

さて、夏休みに入ると子ども達のサッカーを観る機会も多くなってくると思いますし、子ども達と過ごす時間も増えてきますよね。子ども達のサッカーを観ていると〝いつも上手くいく訳ではない〟と頭では解っていても、子ども達のミスが目についてしまい、あれこれと言ってしまいがちではないですか?言った後に後悔したりすることもしばしば…。そこで今回は〝ミスの処方箋とは?〟と題して、サッカーにおけるミスや失敗をどのように成長につなげていくのかを整理していきたいと思います。

ミスには種類がある

 

私が子ども達の指導をする上で大切にしていることがあります。それはミスの種類を見極めること。一見、同じようなミスに見えてもどこに原因があるのか?を見極めていかないと成長には繋がりません。ミスが発生した「本当の原因」を解決する意味でも、まずはミスの種類を見極めることが大切です。

そこで私はミスの原因をしっかりと見極めるために、ミスを大きく分けて4つの種類に分類しました。
※あくまでも私自身が分類しているミスの種類なので参考程度に聞いてください。

①技術的なミス

例)単純に狙っているところに蹴れない、ボールが止められないといった技術的な要素が起因しているミスのことを指します。

②戦術的なミス

例)ゴールが空いているのにも関わらずシュートを狙わずにパスをしてしまいボールを奪われてしまったなどの戦術的な選択ミスのことを指します。

③コンディションが起因するミス

自身のコンディションや天候や外的要因によって発生するミスを指します。集中しろ!と言っても改善できないこともありますから、しっかりと見極める必要があります。
例)朝ご飯を食べて来なかったので全く動けなかった。

④精神的なミス

この精神的なミスはとても範囲が広く、複雑です。子ども達の対話の中や表情から読み取って、プレー中の状況などを観ていないと見極めるのが難しいミスだと思います。プレーだけのことは言えば、前のプレーでミスをしてしまったという不安感、レギュラー争いをしている選手の焦り、ミスをすると叱責されてしまうことへの恐怖などで単純な技術ミスや効果的な判断が出来なかったりするものです。

しかし、それがピッチ上の問題だけではない場合もあります。日常生活に起因することもありますし、友達関係・勉強やプライベートなことが影響していることもあります。〝やるべきこと〟から逃げてしまっていたりすることもあるでしょう。自分自身と向き合わせる必要があるかもしれません。特に育成年代の子ども達に関わる際には、多角的な視野で子ども達を見守ること、ピッチの上で観てているものだけで判断していても成長に繋がらないことが多くあるのです。

ミスの処方箋

ミスを大きく分類したときに、どの部分が原因だったのかを把握しておかなければ改善に繋げることが難しくなります。病気に対するお薬の処方箋と同じかもしれませんね。ミスに対する処方箋を周囲の大人が見極めていく必要があります。処方箋が間違っていれば、改善に導いてあげることが出来ません。

戦術的には理解しているけど技術が追い付いていないのか、またはその逆なのか。『狙っているところは良かったよ!そこに蹴るためにはどこにボールを止めたら良かった?』頭ごなしに指摘をするのではなく、子ども達のプレーの意図や狙い、またどういう気持ちでプレーしていたのか?そういった視点で子ども達を観ていくことが大切です。子ども達への理解がやる気を促し、次への努力を生むものです。

だからと言って過保護にする必要はありません。すぐに答えを与えるのではなく、様々な問題に対してどのように立ち向かえば良いのか?道を示してあげる必要があります。多角的な視野を持って、子ども達と向き合っていくことが大切だと思います。

 

■保護者の皆様の効果的なサポートは?

それでは保護者の皆様はどのようなサポートが必要なのでしょうか?下記の過去記事も参考に読んでください。
過去記事:その反省会、本当に必要ですか?

ジュニア年代では試合後の送迎の車の中で〝反省会〟が行われているという話をよく聞きます。子どものために…と思ってやっていることかもしれませんが、逆効果になっている可能性もあるので注意が必要です。

我が子のプレーですから、良いプレーよりも悪いプレーに目が行きがちです。とにかく悪かったプレーやミスを取り上げて、車中で子どもが不機嫌になってしまい、話が喧嘩で終わってしまうような話もよく聞きます。保護者側からの一方的な話は、低学年のうちは黙ってきいているかもしれませんが、大きくなってくると聞き入れることもなく気持ちが離れていくことに繋がっていくでしょう。

ですから、保護者の皆様も、ミスや失敗に対しての働き掛け(処方箋)は正しかったか?そういった視点を持っておくことが必要だと思います。そしてそれは、グラウンド上でのプレーだけでなく、日常生活、心の持ち方、取り組む姿勢、感情な多角的な視点を持っておくと良いと思います。もちろん、人間ですから感情的になることもあると思いますし、それが悪いという訳でもありません。アベレージを出来るだけ高いところで維持出来たら良いですよね。

 

■最後に

子ども達はいつも一生懸命です。ミスをしようと思ってミスをしている訳ではありません。グラウンド上で起こるその時々のミスに対して、4つに分けて考えてみてください。そしてそこにはグラウンド上のプレーだけではなくて、多角的な視点が必要になることもありますから、見えているものだけで判断してしまうと成長のきっかけを失ってしまうこともあります。

保護者の皆様、少し引いた場所から子ども達のことを見守ってあげてください。きっと気が付かなかったことに気が付けるかもしれません。

アンケート

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以下のアンケートは回答したい質問だけでもご応募が可能です。

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル