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考える力を育むために大切なこと【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サッカーにも繋がる考える力を育むために必要なこと【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
9月も終わりに近付いてきました.早いもので今年も残すところ、あと3か月。今年こそは!と思っていたのに、なかなか手に付かなかったこと、チャレンジしようと思っていたことはありませんか?自分もまだ少しだけ残っています...まだまだ時間は残されていますから、向き合うことからスタートしてみてくださいね。

さて、今回は試合観戦中に聞こえてきた『考えろ!』というフレーズ。
日常生活でもついつい『自分で考えなさい!』と子ども達に言ってしまいがちですが、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか?

この『考えなさい!』というフレーズですが、言われたものの一体何を考えれば良いの?という子ども達も少なくないはず...子ども達が自ら考える力を育むためにはどのような働き掛けが良いのでしょうか?一緒に考えていきましょう。

その子に応じた表現で伝える

スポーツのみならず、日常をより良く生きていくためにも『考える力』は必要ですよね。しかし、何も知らない真っ白な状態なのにも関わらず『なんで分からないの?』と言われても、実際は何が分からないのかも分からない状態だったりします。

特に子ども達の指導現場においては、そういった場面に遭遇することがあります。「わかるだろう…」と思って大人と話をしているような表現を使うなど、少し難しい言葉や表現を使っていると〝?マーク〟が浮かんでいる様子の子ども達を見かけます。言葉の意味やそもそもの理解力が追い付いていなければ、考えることが出来ません。
※これは理解できないことが悪いということではなく、周囲の大人が段階的に理解を促していけば良いのです。

年代やその子に応じて、受け取りやすい言葉や表現を使う必要があります。サッカーのみならず大前提として〝大人の当たり前は子どもの当たり前ではない〟ということを頭に入れておかなければなりません。

 

『考えろ!』という指示

サッカーの現場に行くとグラウンドから『考えろ!』という言葉を頻繁に聞きます。
〝状況に応じて打開策を考えなさい〟ということなのですが、これには2つの見方が出来ると思います。

①日常のトレーニングの中で何を考えるべきか?が提示されている。
②全ての判断を子ども達に委ねてしまっている。

判断を子ども達に委ねることもあると思いますが、子ども達が自ら考えて動いていくには日常のトレーニングの中で何を考えるべきか?という基準が習慣化されていた方が遥かに解決する力が身に付いていくものだと思います。

もちろんそれでも上手くいかないことがあると思います。しかし、その基準があるからこそ〝〇〇した方が良い〟という状況に応じた考え方の変化が生まれてくるものです。

※幼い子に散らかっているおもちゃを〝片付けなさい!〟と言っても片付けられないのと、似たようなところはあるかもしれません。ミニカーは赤の箱に、ぬいぐるみは青の箱に…という具合に考える基準があると整理がしやすいですよね。

サッカーは団体競技ですから、思い通りになることの方が少ないと思います。試合中に起こる様々なイレギュラーに対して、状況に応じて自分達で考えて行動に移していかなければなりません。その際に自分達の考える〝基準〟を持っていなければ状況を打開するために何を考えなければならないのか?が見い出せませんよね。

ですから、サッカーにおいても基準を示してあげることは、子ども達がグラウンド上で『考える力』を身に付けるためにも必要なことなのです。

 

日常の中で『考える力』を養うには?

サッカーも人がやることですから、その人の思考や考え方、価値観などが大きく影響します。グラウンド上だけで『考える力』が身に付く訳ではなく、日常生活のちょっとしたやり取りのなかでも子ども達は『考える力』は身に付けていきます。そのためには、周囲の大人の関わり方を含めて日常の環境を整えていく必要があるでしょう。

会話の重要性

是非、子ども達と会話をしてみてください。日常のちょっとしたことに対して、疑問形で働き掛けてみてください。

なぜ、そう思ったのか?
なぜ、そのような行動をしたのか?

子ども達が自分自身の想いや考えを話すことで、頭の中が整理されていくと思います。自分自身を振り返ることで『考える力』を養うことが出来ます。その際には出来るだけ、断定的な発言は避けて子ども達の意見を引き出してみてください。

解りやすくしてあげる→お手本(基準)を示してあげる

子ども達は難しすぎると投げ出してしまうこともありますから、解りやすくして頭の中を整理してあげることが必要です。
※サッカーのトレーニングでも、年代やグループによって難易度をコントロールしてあげると良いと思います。そして、その上でお手本(基準を)を示してあげるとより理解が進むでしょう。視覚から得た情報の方が頭の中で処理がしやすいところもあるでしょう。それが考えるきっかけとなって、試行錯誤に繋がり、自分で解決していく力に繋がっていきます。

失敗に寛容であること

我が子には失敗して欲しくない。子どもが失敗をして落ち込む姿は見たくないものですよね。しかし、大人が先回りをしてしまい、子どもが失敗をしないようにしていると失敗をする経験を失います。危険を伴うことは別ですが、間違っていても止めずにやらせてみることも時には必要かもしれませんね。何故なら、失敗から学ぶことはとても大切なことだからです。 そして、その失敗をしっかりとフィードバックしてあげることが必要です。

物事を批判的に捉えてみる

批判を推奨する訳ではなくて、物事の考え方のことを指しています。

これは本当のことなの?
違った見方や方法があるのではないか?

物事を批判的に捉えることで、自分の考えや意見を導き出していくことが出来るでしょう。決して答えは1つではありませんし、様々な考え方があっても良い訳です。物事を鵜呑みにせずに自分で考える習慣を身に付けていきましょう。もちろんそのためには知識も必要ですから、学び続けなければなりません。

しかし、ここで大切なことは誰かを否定して自分を肯定するのではなく、ポジティブに周囲を巻き込んでいくことですから注意が必要かもしれませんね。

ここでは、日常生活の中で考える力を養うために必要なことをまとめてみました。
考える機会は日常生活の中に沢山あると思います。しかし、忙しい毎日の中で時間的にも物質的にも利便性が求められる時代です。大人ですら、考える機会を失ってきているかもしれません。まずはお互いを尊重する姿勢や気持ちを持つこと、そして問題があった際には解決に向けて一緒に考えていくことが大切だと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はサッカーにも繋がる〝考える力〟を養うために必要なことをまとめてみました。サッカーに限らず、考える習慣を身に付けることは子ども達が大人になり、社会に出ていく中で必要な力です。

そして目指すべきところは〝考える〟だけではなく、自ら考えて行動に移していく実行力を身に付けていくことだと思っています。それは、考えることを習慣化した先にあることだと思います。サッカーを通して〝考える力〟を養い、周囲を巻き込みながら実行出来るような力に育てていって欲しいと思います。

あれこれと言いたくなる気持ちを我慢して、子ども達の成長を見守っていけるようになりたいですね。

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WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル