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サッカーはサッカーだけで育つのか?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サッカーはサッカーだけで育つのか?【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆様、こんにちは。大槻です。

5月はゴールデンウィーク期間中の試合や遠征など、サカママ読者の皆さまにとっては、お忙しい時間を過ごされたことと思います。まだまだ新年度になって慣れないことも多いかと思いますが、皆さまも生活のリズムが掴めるまでは、どうか慌てずに過ごしてくださいね。

サッカーのコーチをしていると「どうやったらサッカーが上手くなりますか?」と子ども達に聞かれることがあります。「もちろん技術や戦術的なことも大切だけど、日常生活を一生懸命取り組むことが大切だよ。」と伝えるようにしています。

なぜなら、一見サッカーに関係ないようなことでも、実は多くのものが紐づいているからです。サッカーがきっかけになって日常にある様々なことに興味を持ち、それぞれの知識を得ていくことでサッカーの領域が広がっていきます。そしてそれは結果的にサッカーに対する考え方も広がり、競技力の向上に繋がっていくのだと思うのです。

私はサッカーに限らず子ども達の教育を考える時には、物事を捉える視野を広げて考えてみること、多角的に物事を捉える習慣が必要だと考えています。そこで今回は「サッカーはサッカーだけで育つのか?」というテーマでコラムを書いてみました。サカママの皆さんも是非、考えてみてください。

チームワークを育てる

チームワークを育てる

皆さんが小学生だった頃を思い出してみてください。学校で隣の席の友達、班やクラス単位で何かを作り上げるような経験をしたことはありませんか。きっとほとんどの方の記憶にあるのではないでしょうか。その時に、考え方や見方の違いで意見が食い違ったりしたことがあったかと思います。考え方や意見が違うことは当たり前であって、悪いことではありません。そういった様々な意見を集約して一つのものを作り上げることの難しさこそが勉強なのだと私は思っています。

これはサッカーにも重なる部分があると思います。チームで活動する際には、チームの仲間だけでなく様々な人との関わりがあります。自分一人でプレーをしている訳ではありませんから、関わる人への感謝はもちろんのこと、仲間とイメージを共有して同じ方向に向かってプレーをしていく必要がありますよね。加えてチームの雰囲気が良くなければ、ポジティブな結果を引き寄せることは出来ません。そこにはチームワークが必要です。それはグラウンド上で行われるサッカーだけで育つものではなく、学校での活動や日常生活にもそのような場面があると思うのです。

お互いを知ることで育つ「感謝」の気持ち

サッカーの指導現場でも度々『「感謝」の気持ちを持ちましょう!』と子ども達に話をすることがあるかと思います。しかし「感謝」の気持ちの大切さを一方的に話しても「感謝」の気持ちは育たないのではないかと思っています。私はお互いがお互いの立場を理解して、お互いを知ろうとすること、知ることが必要だと思っています。

「出来ること」と「出来ないこと」

様々な意見があるかと思いますが、私は子ども達が自分で出来ることは、自分で出来るように働き掛けていくことが大切だと思っています。もちろん能力的に出来ないことを求めてもそれは難しい話です。(大人の出来て当たり前は子どもの当たり前ではありませんから…)まずは「やってみる」こと。そしてやってみた結果をポジティブにフィードバックしてあげる。少し根気のいる作業ではありますが、段階的に自分で出来るように働き掛けていくことが大切だと思います。自分自身でやってみることでお父さん、お母さんがやってくれていることへの「感謝」が育っていくのではないでしょうか。

「知る」ことの大切さ

以前、私が担当していた小学生チームを連れて「サッカーの社会科見学」を実施したことがあります。練習グラウンドの芝生を管理する方、用具を管理する方、施設管理の方、食事を担当する方など、サッカーそのものではなくて周囲にあるお仕事を実際に観た後に、どのような想いを持って仕事に向き合っているのか、苦労話や仕事をしていて良かったことなど話をしていただきました。

後日、感想文を書いてもらったのですが、子ども達の多くはサッカーを取り巻く様々な仕事があることを知らなかったようですし、今回の社会科見学をきっかけに一気にサッカーの見方が広がった様子でした。(その子ども達の中には、W杯にも出場した日本代表選手もいましたね)。

この視点は子ども達だけでなく、大人同士でも必要なことだと思っています。お互いの仕事を知ろうとすること、立場や状況を理解しようとすることで「感謝」の気持ちが育っていくのではないでしょうか。お互いの仕事が見えないと「不安」になったり「疑心暗鬼」になったりするものですからね…。子ども達だけではなく、大人もそういった意識を持っていきたいですね。

サッカーの領域を広げてみる

学校の勉強とサッカーとの繋がり

サッカーの領域を広げてみる

学校の勉強とサッカーとの繋がりについて考えてみましょう。先日、子どもから社会の宿題について質問をされました。「〇〇県の名産品を答えなさい。」という問いなのですが、なかなか覚えられないとのこと。そこで私は「Jリーグチームのある場所をイメージして考えてみたら?例えば…」とJリーグクラブのある土地の名産品の話をしてみたんです。すると興味深そうに教科書を読み始めたんです。「ほら、サッカーを中心にして考えてみたら、もっと他のことにも興味が出てくるんじゃない?学校の勉強もそんな風に考えてみたらどう?」と話をしました。

実は学校で勉強していることは、サッカーと紐づくことが多いのです。その土地の名産品はもちろんですが、文化や言語、歴史、建物、音楽、ファッションもそうだと思います。サカママの皆さんの身近なところで言えば、料理や食事もそうですよね。身体作りにはどんな栄養素が必要なのかな?子ども達の一緒にそういった話題になることもあると思います。少し視野を広げてサッカーを考えてみると、領域がどんどん広がっていくと思います。

海外でプレーをする選手の増加

最近は海外で活躍をする選手が増えてきましたよね。言語を巧みに操り、インタビューに応えている姿に憧れを持つ子ども達も多いのではないでしょうか。海外で活躍している日本人選手の多くは、現地での生活に馴染み生活を楽しんでいるようにも見えます。その国の文化や歴史を知ること、言語を操れること、その土地の食文化に触れること、ファッションや音楽を楽しむこともあるでしょう。もちろんサッカー選手ですから、サッカーそのものに対して真剣に取り組むのは当たり前です。しかし、多角的な視野に立ってサッカーを捉えていくことが、サッカーそのもののパフォーマンスにも影響してくるのだと思います。そして、そういった多角的な視野を持つ選手が求められてきているような気がしています。

まとめ

サッカーの練習というと技術や戦術の話になりがちですが、日常や学校生活など一見サッカーには関係がないようなことも、サッカーのパフォーマンスに影響するようなことがあります。もちろんサッカーそのものの練習は大切です。しかしサッカーに紐づいていることの領域を広げることで、サッカーへの考え方や捉え方がポジティブに変わって行くと思うのです。子ども達だけでなく、大人もサッカーそのものを多角的に捉えてみる必要があるのかもしれませんね。

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WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル