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もう一度考えたい保護者のサポートのあり方【大槻邦雄の育成年代の「?」に答えます!】

サカママ読者の皆さま、こんにちは。大槻です。
ついにカタールW杯が開幕しましたね。親子で寝不足になる人が増えそうです(笑)。日本代表の活躍を楽しみにしていますが、個人的にとても思い入れのある選手が選出されていることもあって、今大会は特別な思いで観戦することになりそうです。

さて、育成年代の現場でも、これからの冬のシーズンは各カテゴリーで全国大会が控えています。同年代の選手達の活躍を見ると、「我が子の活躍する姿を見たい!」という想いがより一層強くなるのではないでしょうか。とはいえ、サポートの方向性を誤ってしまうと、子ども達の成長を促すのではなく、その妨げになってしまうこともあるのが難しいところです。そこで今回は、「もう一度考えたい保護者のサポートのあり方」として、どんな風に子どもを見守っていくことが必要なのかを整理していきたいと思います。

他者と比較するのではなく、子ども自身の成長幅を褒めること

他者との比較ではなく、その子自身が出来たことや成長の幅を見てあげることの大切さについては、これまでも何度か取り上げてきました。ついつい我が子を周りと比べては、「○○君は出来ているのに……」と不安になることもあるかもしれませんが、他者と比較され続けた子は『どうせ自分はダメなんだ……』と自分に自信を持てなくなってしまいます。他者との比較が「頑張ってほしい」という気持ちからくるものであっても、これでは逆効果ですよね。

ですから、他者と比較して「出来る」「出来ない」を見るのではなく、まずはその子自身の取り組む姿勢を見てあげてください。結果が出ないこともありますが、それでも取り組む姿勢を育てることが何よりも大切です。なぜなら、その姿勢が習慣として身に着けば、困難な状況でも一生懸命に取り組めるようになるからです。そして、取り組みの中で生まれたその子自身の成長の幅を見つけ、そこを褒めてあげましょう。子どもにとって一番身近な存在のお母さん、お父さんからのポジティブな言葉は何よりも心強く感じるはずです。

自宅で試合を振り返るときの注意点

 

みなさんは、お子さんの試合を撮影してご自宅で振り返ることはありますか? 私の周りでも、親子で映像を見ながら反省会をしているという話を聞くことがあります。子どもと一緒に試合の映像を見ること自体は悪いことではないと思いますが、ここで一つ気をつけてほしいなと思うことがあります。

それは、ミスの指摘や良くないところばかりを取り上げてしまうことです。本来、家というのはリラックスできる場所。その家に帰ってきてからもダメ出しをされてしまったら、子どもはどう感じるでしょうか。その後のプレーでミスを極端に恐れてしまったり、臆病なプレーが多くなってしまったり、サッカーが嫌になってしまう……なんてこともあるかもしれません。

そもそも課題や改善点を指摘するのは、「上手くなって欲しい」という想いがあるからだと思います。それであれば、最終的にポジティブなイメージを持てるようにすることが必要です。出来なかったことだけではなく、出来たことやチャレンジしたことを褒めて、あくまでも「ポジティブな反省会」になるよう意識してみて欲しいと思います

サッカーに必要な協調性を育むためには、大人の働き掛けが必要

 

サッカーはチームスポーツですが、年代が低くなると個人で打開していく子が目立つ傾向にあることも確かです。そうすると、「周囲を無視しても自分で行け!」となってしまうかもしれませんが、それはNGです。積極性は大事ですが、自分に都合の良い時だけ積極的になったり、都合が悪いと不貞腐れてしまう……そんな姿勢ではチームの雰囲気は良くなりません。ただ、まだ周囲を意識して動くことができない年代の子ども達には難しいところもありますから、周囲との協調関係に子ども達を導くのは大人の役割でもあると思います。

サッカーに必要な協調性を育む場所は、グラウンドだけに限りません。例えば、学校のグループワークなども協調性を育む良い機会になると思います。一つの作品を仕上げていくために、それぞれが役割や担当を持って作業を進めていく。その際の意見の食い違いや方向性の違いを、それぞれの話に耳を傾けて調整していく。そうして一つの作品を作り上げていく過程が成長に繋がるのではないでしょうか。サッカーにも似たようなところがあると感じるので、サッカーをサッカーだけで切り取らず、周囲の大人が広い視野を持って子ども達を導いていくことも大切だと思います。

得意を褒めて伸ばし、自信をつけることが優先

子どもの出来ることよりも、出来ないことの方が気になってしまうという方も少なくないと思います。出来ないことや苦手なことは、どうしても目につきやすいですよね。もちろん苦手に目を向けることも大切ですが、子ども達に関して言えば、出来るだけ得意なことや出来ることに目を向けて欲しいと思います。というのも、苦手の指摘を先にしてしまうと、子ども達の中に自信が育たないからです。大人であれば出来ないことへの指摘を上手く処理して自分を高めていけると思いますが、子ども達に関しては、まず自信をつけてあげることが先だと思います。自信という基盤が出来ていれば、苦手なことに向き合う強さも身についていくはずです

子ども達は自信を持つことで大きく成長します。そして、高い自己肯定感は、「自分は認められているんだ、思い切ってプレーしてやろう!」という気持ちにも繋がるはずです。得意なことに自信を持ち、それを成長させていくことは、子ども達が自分自身を作り上げていく上で非常に大切なことです。苦手なことにも挑戦できる確かな基盤を作るためにも、出来ないことよりもまずは出来ることを認め、子どもの得意を伸ばしていきましょう。

一番近くにいる保護者だからこそ、長い目でじっくりとサポートを

 

今までの連載でのトピックをまとめるようなかたちで、保護者の効果的なサポートについて整理してきましたが、いかがでしたでしょうか?

我が子のことを心の底から信じてあげられるのは、保護者の皆さまに違いありません。良いときも悪いときも一番近くで見守ってあげられるからこそ、子どもの成長をじっくりと見守ってほしいと思います。赤ちゃんが歩き始めるのに個人差があるように、子ども達の心と身体の成長にも個人差があります。出来るから良い、出来ないから悪いと一時的に判断してしまうのではなく、子ども達の将来を長い目で見て、それに応じた働き掛けをしたいですね。

WRITER PROFILE

大槻邦雄
大槻邦雄

1979年4月29日、東京都出身。
三菱養和SCジュニアユース~ユースを経て、国士館大学サッカー部へ進む(関東大学リーグ、インカレ、総理大臣杯などで優勝)。卒業後、横河武蔵野FCなどでプレー。選手生活と並行して国士舘大学大学院スポーツシステム研究科修士課程を修了。中学校・高等学校教諭一種免許状を持ち、サッカーをサッカーだけで切り取らずに多角的なアプローチで選手を教育し育てることに定評がある。

BLOG「サッカーのある生活...」も執筆中
★著書「クイズでスポーツがうまくなる 知ってる?サッカー

株式会社アクオレ株式会社ティー・パーソナル

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