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渋谷駅で迷子?!小学2年生が1人でサッカー練習場へ

皆さまこんにちは!サカママコラム第17回は、子どもたちの送迎についてです。

多くのサカママ&サカパパさんたちの負担とも言える練習会場や試合会場への送迎。徒歩や自転車で行ける距離ならまだしも、最寄駅が遠い場所や電車やバスを乗り継いで行かなければ辿り着けない場所となると1人で行かせるにはなかなか抵抗があり、毎回車で送迎しているという方も多いのではないでしょうか。

我が家も長男が保育園でサッカーを始めてからかれこれ数年、車での送迎が当たり前になっていました。車の方が安全だからと、自転車で行ける距離でも送っていくことさえありました。そんな過保護とも言える我が家の状況が変わったのが、今年2月。主人が突然倒れ、1ヶ月入院することに。その間、所属チームの違う長男と次男を私1人で送迎することが不可能となり、必然的に長男が1人で電車で練習場へ通うことになりました。

監督から自立の話を聞き…「オレも1人で行く!」

長男のチームの練習場に行くには、迷路のような渋谷駅を使用しなければならず、さらに最寄り駅から練習場へも徒歩20分近く歩かなければいけません。これは少し心配な部分でしたが、長男はもう5年生。駅までの地図と電車の乗り場や降りてからの道順を紙に書いて渡し、ほとんど練習もしないまま1人で行かせたのですが、意外と迷うことなくすんなり練習場までたどり着くことが出来ました。最初は帰りに迎えに行っていたのですが、チームメイトと駅まで話しながら帰るのが楽しかったようで、1人で帰れるから迎えも来なくていいとのこと。おかげで私は次男の送迎に専念することが出来ました。

 
私より渋谷駅に詳しくなった長男。

次男はまだチームを移籍したばかりで、週3の平日練習も高速を使って1時間かけて送っていたのですが、ある時、監督が選手たちに「自立」についてお話しされることがありました。サッカーの準備もここまでの送迎も全部ママがやってくれている子と、全部1人で準備して1人で来ている子、どちらが成長しているかなと。その話を聞いた帰り道、次男が「ママ、オレ明日から1人で行く!!」と言い出しました。

確かに長男も1人で通うようになってから生活面でもプレーでも成長が見られましたが、まだ2年生になったばかりの次男に長男よりも遠い距離を1人で行かせる、ましてあの人混みの渋谷駅を1人で歩かせる…さすがに心配でした。なので、「ちょっとまだ早いかな~」と言ったのですが、「オレ、もっと上手くなりたいから!!だからお願い!1人で行かせてください!!」と懇願…。

一度こうなったら何を言っても折れない性格の次男。とはいえ、Suicaすら使ったことのない次男にいきなり明日から1人で行ってらっしゃいとは言えず、「じゃあ明日はママも一緒に行くから練習しよう!」と約束し、一度バスや電車の乗り方を教えながら練習場まで行くことにしました。

いざ次男と電車に乗るの練習をしてみると、とても不便なことが一つ分かりました。それは、漢字が読めないということ。長男には「ここの路線の、○○行きに乗ってね!」と言えば「分かった!」となるのですが、2年生の次男には難しすぎる漢字ばかり。急行や準急、各停なども意味が分からない中、習ったことのある漢字を見つけたり、電車の色や掲示板の文字の色で教えたりしながら、『これ本当に行けるのかな…』と不安が増すばかりのまま練習を終えました。

 
漢字だらけの案内板…。

ところが、練習を終えた次男は「よっしゃー!オレもう1人で行ける!!」と根拠のない自信たっぷり…。次の練習からは1人で行く気満々です。そこで当日は、練習に向かうため渋谷駅から乗ることになった長男にホームまで一緒に行ってもらうことにしました。

 
 

ホームで別々になるところで長男が電車に乗る次男を動画で撮って送ってきてくれ、無事に次男が1人で電車に乗ったことを確認。電車のドアが閉まり、お兄ちゃんにバイバイ~としている小さい次男の姿を見て私の頭の中ではドナドナの曲が流れていました。

 
ドナドナドナドナ…。

駅から練習会場までは近いので迷わず行けるはず…と思いながらも、何度もGPSアプリで次男の動向を見てしまいます。無事着いたら連絡してねと話していたので、LINEで「着いたよ!」と連絡が来てホッとしましたが、精神的には車で送った方が何倍も楽だわ…とぐったりしてしまいました。

ハプニング発生!渋谷駅で1時間迷子!?

初めて1人で練習会場に行って帰って来れた次男はもう自信たっぷり。「次も1人で行く!!」と意気揚々です。初日は改札まで迎えに行ったのですが、「1人で待ち合わせ場所(車を停めている場所)まで行けるのに!!」と怒られてしまったので、2日目は帰りも駅の近くで車を停めて待つことにしました。

 

そして、練習が終わる頃になると、次男から「今から電車乗る!○○分の電車!」と連絡が。そのすぐ後に長男からも「今終わったよ~。△△分の電車に乗るね」と連絡が来ました。曜日によってそれぞれ練習会場が違うのですが、この日は2人とも同じ路線で長男の方が次男より10分ほど早く渋谷駅に到着しそうだったので、「改札前で○○(次男)を待っていて欲しい」とお願いしました。(私が行くと怒られてしまうので…)

長男が到着してから15分が経ち、そろそろ合流したかな~と思っていると、「○○(次男)が来ない。もう電車は到着しているのに」と連絡が。いつもの改札と違う所から出てしまったのかなと慌てて次男に連絡してみると、「なんか間違えちゃった!」と余裕の声…。まだ改札は出ていなそうだったので、一度ホームに戻っていつもの改札から出るように伝えました。

それから数分経ち、改札前で待っている長男に連絡するもまだ次男が来ないと…。再び次男に連絡するも電話に出ず、おかしいと思いGPSを確認してみると…なんと次男の居場所はスクランブル交差点のド真ん中!!しかもスマホの充電は残り1%の表示…。私、真っ青…。

 

これは待機している場合じゃない!と長男に連絡し、次男を探すことに。何回電話しても出ない、充電切れたのかも、どうしよう誰かに攫われたら…と半泣きになりながら部屋着で渋谷駅をダッシュ。この時点で到着から40分が経っていました。連絡もつかず、途方に暮れていると、次男から連絡が!

「大丈夫?!今どこにいるの?!」
「う…わーーーんわーーーん」

先ほどの余裕の声とは打って変わって大泣きしている次男。

「何か見えるものない?!何でもいいから見えるもの言って!中にいるの?外にいるの?駅員さんいない?!誰かに話してみて!」

充電が1%しかないので、何とか居場所だけでも知ろうと私も必死です。でも、何を聞いてもパニックで泣いている次男。スピーカーで話していたようで、近くの女性が駅員さんを呼んでくれる声が聞こえました。

「お母さんですか!?」
「はい!!すみません迷子になったようで、今探しているんですけど…」
「充電1%しかないので場所言いますね!○○口にいます」
「ありがとうございます!!今行きます!!」

次男がいたのは本来の出口とは真逆の方向で、私より渋谷駅を分かっている長男でも使ったことがない出口でした。私も初めて行く場所で迷っていると、駅員さんがスマホを充電してくれたらしく、次男から再度電話がありました。改めて詳しい場所を聞き、ダッシュで向かうと駅員さんに見守られしょんぼりしている次男を発見…!次男が駅に到着してから約1時間が経過していました。

駅員さんにお礼を言ってその場を後にすると、駅員さんの顔が見えなくなったところで次男が私に抱きつき号泣。どうやら駅員さんの前で泣くのが恥ずかしく、我慢していたようです。その後、長男もなんとか合流。練習後で疲れているのに渋谷駅中を探し回ってくれたようで、心配と安堵で長男も泣いていました。

後から詳しく聞いたところ、間違った改札から出てしまい、戻ろうとしものの道が分からず、知らない道を歩いているうちに迷ってしまったとのこと。ここは渋谷駅じゃない、知らない場所に降りたんだと思ったそうで、駅員さんに「渋谷駅だよ」と言われても「こんなシブヤじゃありません」と、余計に混乱してしまったようです。

 

今では1人で準備も移動もバッチリ!

これに懲りてしばらく1人で行かないと言うかなと思ったら、「ママ。今日は失敗しちゃったけど、次は頑張るから、もう一度ぼくにチャンスください」と言うのでビックリ。その次もまた間違えた改札から出てしまったのですが、一度間違えた道だったので修正方法も覚えたらしく、無事に待ち合わせ場所まで辿り着くことができました。そして、迷子になってから3度目の正直で、今度は失敗せずに1人で帰って来ることが出来ました。出来た時の自信に満ち溢れた表情を見て、子どもはこうやってたくさん失敗して成長していくのだなと改めて思いました。

 

今では1人で学校から帰って来て、水筒やサッカーの準備をして、鍵を閉めて、バスと電車に乗り練習会場へ行っています。そして練習終わりはチームメイトと途中まで電車に乗り、1人で帰ってくるようになりました。時間が遅い日以外は送迎不要になったので、練習を見る機会が減ってしまい、子どものサッカーを見るのが大好きな私は少し寂しい気分です(笑)。

それでも、先日帰りの電車でおばあちゃんが立っていたので席を譲ったという話を聞き、嬉しく思いました。まだ7歳。親の方が心配ですが、子どもは知らないうちにたくさん吸収して成長しているのだなと実感しています。

WRITER PROFILE

早坂英里
早坂英里

料理&テーブルコーディネート教室
【Eri’s Kitchen】主宰
アスリートフードマイスター/(社)日本テーブルデザイナー協会認定講師/専門学校 テーブルコーディネート講師

12歳と9歳の子を持つサカママ(サカママ歴8年)
兄弟それぞれ都内の強豪クラブチームに所属。5年以上続けている朝練は兄弟の日課。プロサッカー選手を目指す子どもたちの為に日々首都高を走り回り、食事やマッサージなどサポートに務める。